2012年5月6日 (日) 掲載

◎サクラ満開 花見客でにぎわう

 函館海洋気象台は5日、函館のサクラ(ソメイヨシノ)の満開を発表した。五稜郭公園や函館公園などの名所には大勢の花見客が訪れ、にぎわった。

 同気象台によると、満開は昨年より1日早く、平年と比べると1日遅い。五稜郭公園内にある標本木で80%以上のつぼみが開いた状態になったことから満開を観測した。

 函館のサクラは今月2日に開花したが、大型連休後半の3日、4日と悪天候に見舞われ、花見スポットは閑散。5日午前、断続的に降り続いた雨がようやくあがり、客足が戻りだした。

 五稜郭公園は堀の外周が淡いピンク色で彩られ、家族連れや若者のグループなど大勢の花見客が焼き肉やビールを楽しむ光景が見られた。満開となったサクラを撮影しようと、アマチュアカメラマンの姿も。

 友人ら約20人のグループで花見の幹事を務めた会社員、小倉翔太さん(23)は「毎年ここで花見をしている。とにかく雨がやんで良かった。久々に合った仲間と一緒に語り合いたい」と話していた。(鈴木 潤)



◎科学体験 親子でびっくり 丸井今井でイベント

 科学への興味を育むイベント「はこだて赤テント」が5日、丸井今井函館店(本町32)6階特設会場で開かれた。約200人の家族連れが訪れ、二酸化炭素やヘリウムなど目に見えない物質の重さについて体感するサイエンスショーやものづくり体験を楽しんだ。

 こどもの日にちなみ、会場となった同デパートが主催。奇数月の第3土曜日にWAKOビル(若松町20)内大門キッズスタジアムで開かれている「はこだて赤テント」の運営に関わるサイエンス・サポート函館(美馬のゆり代表)の協力を得て、昨年に続き2回目の開催。

 この日は、市内の大学関係者や函館国際水産・海洋都市推進機構、一般の団体などが参加し、子どもたちに“科学の楽しさ”を伝えた。サイエンスショーでは、水にドライアイスを入れ二酸化炭素が発生したところに、シャボン玉を吹くと、比重の関係でシャボン玉が浮く実験などがあり、間近で目にすると、「すごい」と驚いた様子だった。

 そのほかにも、海藻を観察し、おしばを作る教室やよく飛ぶ飛行機づくりなどが行われ、参加者は興味深く取り組んでいた。(小杉貴洋)



◎企画【JOMON第2部C】徳永 ふさ子さん

 ハトやクルミの形をした土製の笛、人間の紋様をかたどった土器の太鼓…。先人が遺した楽器≠奏で、その響きを自由に体感してもらう。謎に満ちた縄文の世界へ迫る一つのアプローチとして、昨年始めた活動だ。「現代にも通じる彼らの精神性を考えるきっかけにしてほしい」

 「縄文の音を想像できる実演の場を用意してもらえませんか」。2010年6月、函館のある市民団体からフォーラム「JOMONを世界へ」への出演依頼を受けた。当時について調べると、動物の形をした笛のような土製品が函館市の垣ノ島遺跡から出土していることが分かった。「人々が自然に感謝し、崇拝していた証し」。これまで無関心だった太古の遺物が、いとおしい宝物に思えた。

 取り寄せた複製品の土笛は「ヒュー」という素朴な音がした。音楽仲間が縄文期の木片をモデルに試作した琴の試作品は、かすかに響くだけで音量は小さい。音に何らかの魂を見いだしていた先人の姿が脳裏に浮かんだ。

 これを手掛かりに、同年8月のフォーラムでは「ハトの生涯」をテーマに鳴き声や風といった自然の音を再現した。「たとえ仮想の世界でも訴えるものはある」と確信した。

 さらに研究を進めるうち、声楽家として気にかかることがあった。日本で最も古いとされる音階(ドレミソラ)の起源は一体いつなのか。「原始的で懐かしさを感じさせる5つの音」は、「上を向いて歩こう」「もののけ姫」など数多くの名曲に生かされている。「縄文時代に既に使われていたとしたら…」。想像は尽きなかった。

 昨年12月からこれまでに4回、土笛や太鼓を用いたコンサートを函館市内で開いてきた。郷愁を抱かせる澄んだ響きに、子どもも大人も聴き入る。「今も身近なところに縄文の名残のようなものはとどめている。自然と共生していた人々の精神に学ぶものはある」。そう力を込めると、人々は大きくうなずいた。

 この言葉を裏付けるのは、各地の縄文遺跡で戦の痕跡が見られないこと。「世界中で紛争が絶えない現代とは比べられないくらい、命あるものを尊ぶ風潮があったのでは」。音楽という概念のない悠久の大地に響いた笛や太鼓は「人間に豊かな心をもたらしてくれた」と信じている。

 本道と北東北の縄文遺跡群を世界遺産へ—。「そんな動きがある今だからこそ縄文に注目してほしい。私たち人間が幸せに生きるヒントが、分かるかもしれないから」(長内 健)

 プロフィル 札幌出身。東京芸大音楽学部声楽科卒業、同大学院修士課程修了。函館には1989年に移り住み、道教育大函館校非常勤講師などを務めた。2006年に「函館メサイア教育コンサート実行委」、10年には「函館の音楽と歴史を考える会」の創設に携わり、現在音楽監督を務める。


◎サラキ岬カラフルに チューリップフェア開幕

 【木古内】「チューリップフェア2012」(実行委主催)が3日、国道228号沿いのサラキ岬で開幕した。開幕から2日間はあいにくの雨だったが、5日は時折晴れ間がのぞき、訪れた観光客は開花したチューリップを見て楽しんでいた。12日ごろから見ごろを迎えるという。イベントは20日まで。

 サラキ岬には60種5万本のチューリップが植えられており、早咲きの品種がすでに開花。赤や黄色の花を咲かせ、岬一帯をカラフルに彩っている。花壇整備などに取り組む「咸臨(かんりん)丸とサラキ岬に夢みる会」の久保義則会長は「咲いているのはまだ2割程度。見ごろはこれから。お楽しみに」と話している。

 乙部町の看護師、平野由香里さん(30)は子ども4人を連れて来場。「咲いているチューリップはどれもきれいだった」と笑顔を見せていた。

 同フェアはゴールデンウイークの3〜6日と12、13、19、20日の計8日間、町内の飲食店が出店し、町の農水産物や料理などを販売。20日は「チューリップ祭り」と題し、ジンギスカンで花見を楽しんでもらう。予約は10人以上で1人1500円。問い合わせは町観光協会(商工会内)TEL01392・2・2046。(松宮一郎)


◎Uターンラッシュ始まる

 ゴールデンウイークを古里や行楽地で過ごした人たちのUターンラッシュが5日、函館でも始まった。JR函館駅や函館空港は、土産やバッグなど大きな荷物を抱えた家族連れらで終日混雑。各交通機関とも6日がピークとなりそうだ。

 5日のJR函館駅発の特急列車は、青森行き8便、札幌行き6便が満席に。改札口やホームでは、「元気でね」と家族を見送る姿が見られた。6日は青森行き7便、札幌行き8便が満席となっている。

 函館市在住の笹谷光治さん(73)は、盛岡市から訪れた孫の今日子さん(9)、鈴(りん)ちゃん(5)と2日間を函館で過ごした。「雨で花見はできなかったけど、ボウリングや食事に出掛けたりと貴重な時間を送ることができました」と笑顔で話した。

 函館空港も混み合った。航空各社によると、5日の本州方面行きの便はほぼ満席。6日も全日空、日本航空、エアドゥの全便で満席となっている。札幌と函館を結ぶ高速バス「はこだて号」も、5、6両日ともに予約で埋まっている。(長内 健)