2012年5月9日 (水) 掲載

◎バドミントン佐々木翔選手、五輪出場正式決定 出身の北斗で祝賀会

 【北斗】日本バドミントン協会は8日、東京都内で記者会見し、北斗市出身の佐々木翔選手(29)のロンドン五輪男子シングルス出場を正式に発表した。これを受け、北斗市役所では佐々木選手の後援会(会長、高谷寿峰北斗市長)が祝賀セレモニーを開いた。同市役所には「祝五輪出場決定」と書かれた横10メートル、高さ1・2メートルの看板が掲げられ、佐々木選手への応援ムードを高めた。

 セレモニーは関係者や市民約120人が参加。初めに佐々木選手の出場が決定したことが報告されると「必翔」と書かれた旗が振られ、拍手が起こった。看板の除幕式後、高谷市長が「5万人の市民が応援する態勢を作りたい。佐々木選手は夢、希望、感動を与えるパフォーマンスを発揮してほしい」と述べた。

 続いて佐々木選手のお礼のメッセージを妻・琴美さん(29)が代読。「小さいころからの夢であった五輪出場を地元の人たちに報告できることをうれしく思う。本番に向け、皆さんの期待と応援を活力として、練習に励みたい」と紹介された。

 佐々木選手の父・敬悦さん(52)は「20年間夢見てきた五輪に向け、残り80日間を充実した練習で過ごしてほしい」、琴美さんは「北斗市の皆さんの温かい声援に感謝します」と話していた。また、小中学時代を育てた北斗上磯ジュニアの諏訪内信二監督(57)は「昔のことを思い出し、こみあげてくるものがある。気負いなくプレーしてくれれば、結果は付いてくる」と期待を寄せていた。

 佐々木選手は7月4日に地元入りする予定。(山崎純一、小林省悟)

 



◎本年度1隻目海へ 函館どつくで進水式

 函館どつく函館造船所(函館市弁天町、大村靖夫社長)が建造中の新造船「ツインラック エス・ダブリュ」(1万9850トン)の進水式が8日、同造船所で行われた。同社が開発した木材兼ばら積貨物船「スーパーハンディ32」で、本年度は1隻目。本年度も7隻のペースで建造を予定している。

 同型船は喫水を浅く、船体の幅を広くするなどして積載容量、推進力を高めている。船体の全長は約176メートル、愛大幅は約29メートル。船主は台湾の海運会社・シーウェイで、船籍はパナマ。

 進水式には約300人の市民などが訪れ、カメラを構えたりしながら静かに様子を見守った。命名式で船名が高らかに読み上げられた後、船首に取り付けられた縄を切るとシャンパンが割れ、船は水しぶきを上げながら海に滑り出した。今後は海上で内装工事などを行い、6月下旬に船主に引き渡される。

 次回の進水式は7月2日の予定。(斎藤まや)



◎企画【JOMON第2部E】安井努さん

 規則的に並ぶ石の輪が神秘的に見えた。「本当に、すごいなと思った」。森町鷲ノ木遺跡から発掘されたストーンサークル(環状列石)を見た時の興奮は今も忘れることができない。2003年の秋だった。

 縄文愛好者らでつくる森・鷲ノ木ストーンサークル研究会(夏坂幸彦会長、34人)の副会長を務める。同研究会は、道央自動車道の建設ルート上で発掘された同サークルを文化遺産として残そうと04年5月に発足。立ち上げからのメンバーで、当時は事務局の仕事を担当し、夏坂会長を支えた。

 ストーンサークルは、南北37メートル、東西34メートルと道内最大(全国で3番目)の大きさ。立冬に駒ケ岳山頂からの日の出を望める場所にあるなどから祭祀(さいし)・儀礼が行われた神聖な場所と考えられている。

 発掘当時、学術的に価値の高い遺跡として道教委も保存に動いたが、道央道のルート上にあったため、別の場所に遺跡を移設するか、何らかの方法で現地に保存するかで意見が割れた。町内は駒ケ岳噴火の防災上、道路の早期完成を優先する意見が大勢を占め、研究会の訴えはなかなか浸透しなかった。結論が出るまで工事は中断され、関係者に「仕事どうしてくれるんだ」などと露骨になじられたこともあったという。

 「その場所にあるから意味がある」。その一心で保存運動に力を注いだ。研究会として縄文研究者の講演会を町内で企画し、保存整備に向けた募金活動もしながら理解を求めた。

 05年2月、遺跡の下にトンネルを掘削して環状列石を保存することで、道・道教委と日本道路公団(現ネクスコ東日本)が合意。06年には、国の史跡に指定され、翌年には道、東北3県が縄文遺跡群として世界遺産登録に向け動きだした。10年にはトンネル工事が完成し、昨年、高速道路も開通。保存活動がひと段落し「心からほっとしています」。

 元々小学校の教諭で、教職の後半は課外活動で児童たちと一緒に縄文土器をまねた焼き物づくりに取り組んだことも。子どもに目を向けた活動には自然と熱が入り、08年に町内の幼児、小中学生、高校生から募集した絵を使い、紙芝居の制作に尽力。「子どもたちに縄文をもっと伝えたい」と笑みがこぼれる。

 世界遺産登録を目指す中で、研究会としてどう軸足を定めるか—。視野に入れた活動を模索中。「(世界遺産に向け)町全体が応援団になっていければ。サークルが町の宝物だという意識をもっと醸成していかないと」と力を込めた。(鈴木 潤)(第2部おわり)

 ■プロフィル やすい・つとむ 1938年、八雲町生まれ。60年3月、道教育大函館分校(現函館校)修了後、同年4月から鹿部中を振り出しに教職の道に。99年3月、八雲栄浜小を最後に定年退職。2004年に鷲ノ木ストーンサークル研究会に入会し、07年から副会長。73歳。


◎北海道の漁業担う35人が入所 道立漁業研究所

 【鹿部】道立漁業研修所(町本別、一條雄治所長)は8日、本年度の総合研修入所式を同所体育館で開いた。渡島管内の3人をはじめ、全道から集まった18〜24歳の計35人が11月まで寮生活を送りながら、漁業就業に必要な技能や知識を学ぶ。道漁業を担う希望の星≠ニして第一歩を踏み出した。

 1997年4月に現研修所を開設以来、今年で16期目。これまでに渡島73人、桧山25人を含む618人が修了。道南からは本年度、福島吉岡漁協1人、南かやべ漁協2人が入所した。

 式典で一條所長は「初心を忘れず、勇気と根気を持って研修に励み、胸を張って浜に帰ってほしい」とあいさつ。来賓の川村茂町長が「自分の目標に向かって大いに努力を」と励ました。

 受講生を代表し、網走市出身の今野寛之さん(22)が「将来の漁業の担い手として、また社会人として、1日も早く漁業経営や地域活動を担えるよう努力することを誓います」と決意を述べた。

 受講生は、漁船の操縦免許など8種類の資格取得に挑むほか、ロープワーク実習、町内での養殖ホタテ貝の耳吊(づ)り研修など計706時間に及ぶカリキュラムを行う。(山崎大和)


◎森町 町長答弁めぐり議会紛糾

 【森】町議会5月会議が8日、開かれた。町有地売却問題などについて、議員3氏が相次いで動議をかけて、緊急質問に立ち、答弁内容をめぐり議会が空転。議員、佐藤克男町長双方に議事の進行を妨げる発言も相次ぎ、予定された議案の審議をせずに休会した。

 質問に立ったのは、松田兼宗氏、堀合哲哉氏、黒田勝幸氏の3人。堀合氏は、町有地売却問題の公文書紛失について経過をただした。佐藤町長は「警察の捜査に影響がある」として、答弁を避けたほか、紛失への自身の関与を否定した。

 また、黒田氏は、前副町長を刑事告発した件について質問。佐藤町長は「法(刑事訴訟法)に従ってのこと。本来なら、議会側から告発の声が出て当然のことだ」とした。自身の懲戒処分については、捜査などの終了後に科すとした。

 3氏の緊急質問終了後、町長の答弁内容が不十分だとして、堀合氏が議会運営委員会の開催を提案し、この日の議案審議を取りやめて休会を決めた。散会間際に、佐藤町長が「本題に入る前に緊急性のない動議はおかしい」と述べたことから、再び議席から反発するやじが飛び、議会が閉じられた後も、佐藤町長との議員とのにらみ合いが続いた。

 この日の空転で、9日で任期満了となる教育委員任命の同意案件1件や、グリーンピア大沼の電話機交換機設備改修工事費などを盛り込んだ一般会計補正予算案など議案4件の審議が行われず、11日に本会議を再開することを決めた。(今井正一)