2012年6月1日 (金) 掲載

◎函館空港に不法侵入者 空港事務所や道警函本などが訓練

 函館空港(函館市高松町511)で31日、制限区域内の不法侵入事案を想定した訓練が行われた。空港関係者や警察などから50人が参加し、緊急時のそれぞれの対応などを確認した。

 同空港事務所や道警函館方面本部など13の関係機関で構成する函館空港保安委員会の主催。2004年に羽田空港に覚せい剤を使用した男が車で侵入した事件を受け、全国の空港で毎年、同訓練が実施されている。

 訓練は男2人がフェンスを乗り越えて、滑走路近くの制限区域内に侵入し、うち1人が車を盗み逃走したとの想定。不審者をバスの運転士が目撃し、通報を受けた警察官が暴れる男1人をすぐに取り押さえ、もう1人の男が近くにあった車を奪い逃走したが迅速に確保した。車の周辺に化学薬品とみられる物が置かれたとの想定訓練も同時に行われた。

 金子守夫空港長は「訓練を見て安心感を持った。有事の際は迅速かつ適切な対処ができて当たり前。今回の訓練を今後の職務にも生かしてほしい」と講評した。(小杉貴洋)



◎北海道製菓が、五島軒とコラボ カレーおかき発売

 北海道製菓(大縄町15、宮本正社長)は6月1日、老舗レストラン五島軒とコラボレーションして開発した本格カレー風味のお菓子「五島軒 欧風カレーおかき」を発売する。宮本社長は「サクサクの食感でカレーが溶け込んだ、まろやかなおかきを味わって」と呼び掛けている。

 日本人に人気のカレーライスに注目し、米を原料とするおかきとカレー風味を組み合わせようと同社が企画。今年1月から何度も試作を繰り返し、上品でまろやかな五島軒伝統の本格カレー味を再現した。

 国産米を100%使用し、サクサクとした軽い食感で、幅広い年代に親しまれるようなおかきに仕上げ、パッケージも歴史ある五島軒のイメージに合わせて上品なデザインにした。1箱8袋入り(1袋12c)で630円。道内の空港、JR駅の売店、観光土産店で販売する。また、11日からはスタンドパック袋タイプ(65c)も350円で全国のスーパーを中心に販売予定。

 宮本社長は「これまでにない、本格的なカレーおかき。函館の企業の協力で開発した商品を全国で楽しんでもらえれば」と話している。(柏渕祐二)【写真えとき】=1日から発売する「五島軒 欧風カレーおかき」



◎オンパク今年は初の夏開催 30日から35講座 「食」充実

 湯の川温泉を舞台にした体験型イベント「はこだて湯の川温泉泊覧会(オンパク)」が6月30日から7月8日に開かれる。通算8回目となる今年は初めて夏場に開催。35のプログラムすべてに温泉入浴の特典が付き、マグロや料理教室など食に関する企画を充実した。

 函館湯の川温泉旅館協同組合(22施設)などでつくる実行委の主催。昨年と同じ9日間の日程で定員は計711人。前回よりプログラム数を減らしたが、グルメや癒やしを中心に14の新企画を用意。開催時期も例年の秋ではなく、「より市民も旅行客も参加しやすい初夏に設定した」(同実行委)。

 開幕イベントはその場で解体した松前マグロ丼や、ご当地グルメに関するトークショーが付いて2000円。最終日にはその日水揚げされた新鮮なイカが食べ放題で、通常は日帰り入浴できない湯の川プリンスホテル渚亭での入浴が付いて1500円と、イベント時だけの割安な価格に抑えた。

 新企画ではランニングやヨガ、エステ、メークなど健康や美容関連のプログラムも充実。プロから握り方を学ぶ寿し職人体験や松倉川ハイクなど、毎回キャンセル待ちが出る人気プログラムもそろえた。実行委の河内孝善事務局長は「市民の参加が9割を占め、認知度も高まってきた。オンパクを目的した観光客も大歓迎で、地元の隠れた魅力を発信したい」とPRする。

 プログラム内容をまとめたB5判のガイドブックは2万部作製し、6月1日から組合加盟施設や市役所などで配布している。予約は6月17日午前9時から、専用ダイヤル(TEl0138-36-5505)で先着順で受け付ける。問い合わせはオンパク事務局TEL0138-57-8988。(森健太郎)


◎函館市の医学部誘致構想 国の認可が課題

 函館市が打ち出した、同志社大学(京都市)に対する医学部誘致構想への関心が高まっている。道内の医師不足解消と同時に、新たな地域活性化策として期待する声が上がる一方、国が現段階で医学部の新設を認めていない上、同志社大も新設の意向を明言していないため、工藤寿樹市長は「期待を持って進めていくには至っていない」と語る。構想の問題点を整理し、実現へのカギを探った。

 市は西尾正範前市長時代に公立はこだて未来大への医学部設置を検討したが、工藤市長が市の財政負担などを理由に見送った経緯がある。今回あらためて市が誘致に動いたのは、同志社大の創設者・新島襄と函館との深いつながりに加え、財政負担が少なく、医師不足の現状に変わりがないことが挙げられる。

 新島は勉学のため函館から米国に密出国し、帰国後、京都に同志社英学校を創設したことで知られる。同志社側も、八田英二理事長が工藤市長との会談で、函館に絞っていないとしながらも「(医学部設置は)昔から思いはある」とし、仮に作る場合には、建学の精神に基づく医学部を設置したい旨を示したという。

 函館市医師会の伊藤丈雄会長は「先進、高度医療や研究機関としての拠点となり、将来的には地域で医療の質、量の確保もできるようになる。地域経済の波及効果も期待できる」と期待感を示す。

 2008年に厚生労働省がまとめた調査によると、人口10万人当たりの医師数は南渡島で222・6人と道内3番目に高いが、南桧山で122・3人、北渡島・北桧山で114・6人。道南3地域とも全道平均(224・9人)全国平均(224・5人)を下回る。

 医学部そのものも道内には北大、札幌医大、旭川医大の3校のみ。中国地方に6校、四国地方に4校、九州・沖縄は11校あることと比較した場合の“偏在”は明らかだ。

 加えて市は、国が導入に向けて検討を進める病院船(災害時多目的船)の母港として函館港を使ってもらおうと、誘致活動を活発に進めており、医学部とセットで、観光面も絡めた医療産業の拠点化を視野に入れている。

 実現へのネックは、国が現段階で医学部の新設を認めていないこと。文部科学省が設置した検討会では約1年間かけて議論したが、新設については賛否両論を併記する形で論点をまとめており、それ以降目立った動きはない。

 国は1979年の琉球大(沖縄)を最後に新設を認めていない一方で、2008年からは既存大学の定員を増やす政策に転換。入学定員は07年度の7625人から本年度には8991人まで増やしたが、「地域の医師確保の観点から、緊急臨時的に認める」(文科省)との姿勢を示している。

 また、医学部新設は附属病院の設置が条件。未来大に設置する場合には市立函館病院の附属病院化が検討されてきたが、今回のケースでは市が土地確保などで協力しながら、同病院や市内の大規模病院の「連携病院」としての活用を検討する方針。市病院局の吉川修身局長は「仮に連携病院として協力していくためには、人材確保や体制の整備など、解決しなければならない課題は大きい」と話す。

 今後は国や同志社大の動向を見極めながら、実現の可能性を模索していくことになる。伊藤会長は「本格的に誘致するのであれば、地元から待望論や必要論をどう醸成していくかが大事。行政や経済界、医療現場、市民も含めて姿勢を示していく必要があるのでは」と指摘する。(千葉卓陽、鈴木潤)


◎市シルバー人材センターが総会 公益法人移行後初

 函館市シルバー人材センター(南谷正巳理事長)の本年度総会が31日、函館市芸術ホール(五稜郭町)で開かれ、本年度の事業計画案や収支予算案など報告3件や議案5件を承認した。4月から公益社団法人に移行し初の総会で、事業目標として会員数1200人、受注契約金額4億円、会員の就業率90%を目指し、より公益性の高い事業運営を進めていく方針。

 総会には約280人が出席。冒頭、南谷理事長が「公益社団法人として社会的に高い評価が得られる一方で重い責任が伴う。そのことを腹に据えて頑張っていこう」とあいさつ。

 次いで長年、活動に尽力した役員、正会員合わせて36人の表彰が行われ、受賞者を代表し、前副理事長の白木荘太さんが「賞に恥じないよう、これからもセンターの基本理念のもとに努力を重ねる」と謝辞を述べた。

 本年度は会員の入会促進や就業先の開拓・拡大、安全就業の徹底・事故防止など10項目の活動を実施。昨年度で終了したサン・リフレ函館の指定管理者に再度選定されたことから、本年度から5年間、業務を受託し、昨年度から行っている企画提案方式事業にも取り組む。

 このほか、11年度の事業実績は、前年度比4・5%減の4億1650万円、受注件数は1万1177件(前年度比1・9%減)。会員の傷害事故や賠償事故が前年度よりも13件多い33件と、過去最高となったことなどが報告された。(鈴木 潤)