2012年6月12日 (火) 掲載

◎厚沢部小児童が育てたカワヤツメ放流

 【厚沢部】厚沢部小学校の4年生29人が11日、クラスで育てたカワヤツメ(ヤツメウナギの仲間)の稚魚1万匹を厚沢部川に放流した。「大きく育って元気に戻ってきてね」と声を掛けて見送った。

 体長1センチほどの稚魚は、厚沢部町河川資源保護振興会の山下清会長(62)と坂本和晃副会長(53)の手ほどきで、5月に子どもたちが人工授精から水温の管理に取り組んだもの。同校では4年目にして初の成功となり、「ふ化はとても難しく、児童による取り組みでは全国でも珍しい」(坂本副会長)という。

 子どもたちは山下会長の指導で、緩やかな水の流れと腐葉土の豊富な水辺を選び、同振興会で用意した5万匹も加えて丁寧に放流した。稚魚は川辺で3〜4年、近海で3年ほど過ごして再び川に戻ってくるという。

 佐々木心君(9)は「稚魚がどのように大きく成長するかが楽しみ」、片桐乙葉さん(9)は「いつもかわいがって育てた稚魚と離れるのは少し寂しいけど、元気に育ってほしい」とにっこり。山下会長は「この活動を通じて、日々の暮らしの中における河川との関係や自然保護への思いを深めてもらえれば」と話していた。

 この放流活動は、道と北海道環境財団、北海道コカ・コーラボトリングが取り組む環境保全活動「北海道e−水(いーみず)プロジェクト」の助成を受けて実施した。(田中陽介)



◎障害者虐待相談窓口 10月に設定

 函館市は、障害者虐待の早期発見や防止に向けた「障害者虐待相談窓口」を10月に設置する。市役所本庁舎と亀田支所の2カ所に開設する予定で、社会福祉士と保健師といった専門の資格を有した人員を置く。今後は関係団体と協議会を立ち上げるなどして準備を進めていく。

 昨年6月に成立した「障害者虐待防止法」の10月施行に伴って開設。家庭や福祉施設、職場で発生した事例や虐待と思われるケースの相談に対応する。

 通報のあった場合は内容に応じて事実確認し、家庭内で発生したケースは市が一時保護などの支援に当たる。福祉施設と職場の場合は虐待の有無を確認した後に道や道労働局に報告し、必要な措置をとる。悪質なケースは事業所指定の取り消しなどを行う。学校で発生するケースは、市の「子どもなんでも相談110番」などで受け持つ。

 これまで、障害者虐待と思われる事例の相談は市に数件寄せられている。障害者以外でも、昨年度には市内高齢者施設で従業員による入居者虐待が発覚。また、昨年度に子どもなんでも相談110番に寄せられた相談件数は過去最多の428件に上るなど、虐待防止策の幅広い強化が求められている。

 市は今後、9月までに警察や弁護士、人権団体といった関係団体で構成する「市障がい者虐待防止対策ネットワーク協議会」(仮称)を立ち上げ、組織作りを進める。またマニュアルの作成や、職員・施設従業員を対象にした研修会も開く予定だ。

 市障がい保健福祉課は「虐待防止法は今まで高齢者と子どもにはあったが、障害者だけ唯一なかった。相談窓口を設けることで助言や解決に向けた対応をし、虐待を未然に防いでいきたい」としている。(後藤 真)



◎HAC再建問題 道が経営改革案説明

 経営難に陥っている北海道エアシステム(HAC)の再建問題で、道の担当者が11日、函館市役所を訪れ、函館—旭川線の休止や函館—丘珠線の増便など経営改革案を説明した。応対した片岡格副市長は「基本は路線の維持存続」としながら、「全体の経営状況を考えれば(休止が)理解できないわけではない」と一定の理解を示した。

 道は8日の経営検討委員会で示した改革案への理解を求めるため、11、12の両日、幹部職員が手分けして路線が就航する関係自治体を訪問。函館では道建設部の土栄正人土木局長や横山純一空港活性化推進室主幹ら5人が、片岡副市長、妹尾正白市港湾空港部長らと面談した。

 会談は非公開。会談後、片岡副市長は旭川線の休止について「地域に影響が大きく、できれば存続してほしい」として道の主体的な経営改善を要望する一方、「経営状況が悪いのは理解できないわけではない」と理解も示した。改革案の是非は「市議会とも相談し、地域の合意形成を図ってから判断したい」と述べた。

 今後、焦点となる函館市の増資の可能性について、道側は「今後の議論で話が出る可能性はあるが、現時点ではない」と明言を避けた。一方、丘珠線の増便や函館—奥尻線の維持は市側も歓迎した。土栄局長は会談後に「一定の理解を得られた」と述べ、今回の意見を踏まえ、13日の検討委で最終結論を出す方針だ。

 土栄局長らは同日、奥尻町役場も訪れ、同様に改革案を説明。新村卓実町長は引き続き路線の維持を求め、「町として今後も運賃割引などで支えていきたい」と伝えた。12日には函館商工会議所を訪問する予定。(森健太郎、田中陽介)


◎函館アリーナの基本設計 今月中に提出へ

 函館市議会の総務常任委員会(工藤恵美委員長)が11日開かれた。市教委は2015年夏のオープンを目指す「函館アリーナ」に関し、今月中に平面図や、整備スケジュールなどを提示する意向を明らかにした。

 アリーナの設計をめぐっては昨年12月のプロポーザルコンペ(提案型公募)で業者が決まり、2つの楕円形アリーナが8の字型につながっている外観が特徴。

 市教委は設計業者との協議事項について、車椅子用の観客席を増設する方向性や、武道場で弓道の大会が開催できるよう検討を進めていることを説明。種田貴司生涯学習部長は「総事業費63億円で収めるべく、最終的な詰めの段階」とし、今月中に図面を示せるとの考えを示した。

 各委員からは、建設財源に予定する合併特例債の5年間延長について質問があり、種田部長は関連法案が先週末、衆院を通過したことを説明した上で「仮に延長にならなくても、14年度に完成するスケジュールも設計業者と話している」と述べた。

 また、道が作業を進めている津波の浸水想定に関し、市教委は現段階の対策として、鮫川の氾濫を想定して機械室を1メートルかさ上げするとし「道から浸水想定が出てきたら、可能な限り入れていく」とした。委員会ではこのほか、5月にまとめた地域防災計画の改定について報告があり、了承した。(千葉卓陽)


◎がごめ連合 3社27品目 認証第一号

 函館沿岸を中心に生息するガゴメコンブ産品を開発・販売する企業などでつくる「函館がごめ連合」(布村重樹代表、37社)が作った独自の認証制度で、認証商品第一号が誕生した。梶原昆布店(豊川町、梶原健司社長)の刻みコンブなど3社27品目。基準をクリアした目印(シール)を商品に張り、ガゴメブランドを守る。

 認証を受けたのは梶原昆布店の20品目ほか、たかせ(七飯町、高瀬宣夫社長)のこんにゃくなど6品目、三豊(北斗市、塩田康就社長)のしょうゆ漬けの計27品目。同連合ブランド協議会(委員長・安井肇北大大学院教授、11人)が「函館エリアで収穫されたガゴメであること」など基準11項目すべてを満たすことを確認、認証した。同連合のアンテナショップ「ねばねば本舗」(若松町、石原健店長)以外に卸す場合は、販売先の指導もメーカーが担う。違反があった場合は認証を取り消す。

 シール(25ミリ×28・4ミリ)はガゴメの緑色を使ったシンプルなデザイン。シールをメーカーが買い取り、商品に張って納品してもらう。

 制度はカゴメの浜値の上昇に伴い取り扱う業者が増えていることから、粗悪品や模倣品を締め出す狙いがある。同本舗を運営するノース技研(布村社長)が渡島総合振興局の協力を得て5月に導入。連合の事務局を担当する石原さんは「連合のはんてんにも、このロゴを入れて積極的にPRしていく。現在ほかに4社が申請準備を進めており、順次、認証商品を増やしていきたい」と話している。(山崎大和)