2012年6月14日 (木) 掲載

◎鎌田さんら徒歩で道内一周

 函館在住の鎌田悦子さん(67)と札幌在住の稲垣ユキさん(67)が13日、約2年間をかけて、徒歩で北海道一周を達成した。約2600キロを歩き抜き、鎌田さんは「実感が少しずつわいてきた。やっぱり北海道は広い」と話し、稲垣さんは「旅で出会った人とのつながりが大きな財産です」と喜びを語った。

 ウオーキング運動の普及推進に取り組む「函館歩け歩けの会」副会長の鎌田さんと、札幌のウオーキング団体に所属する稲垣さんは、約10年前のイベントで出会い意気投合。その後も家族ぐるみで交流を深めた。北海道の広さを自分の足で体感し、車移動では気付かないものを再発見しようと、歩いての北海道一周を決意した。

 2010年5月10日にJR函館駅をスタートし、日本海側を北上。北海道をモチーフにした手作りゼッケンや旗をつけたリュックと農作業用の麦わら帽子をトレードマークに、1カ月に約1週間、1日約30キロのペースで歩き、同9月に稚内に到着した。鎌田さんの夫、光夫さん(69)と稲垣さんの夫、豊司さん(74)がサポート隊として参加し、再スタート地点やゴール地点から車での送り迎えも行った。そのほか、全国から応援隊として参加したウオーキング仲間8人も一緒に歩くなど、2人を支え続けた。鎌田さんは「心細く、2人だけではくじけていた。みんなの協力でがんばれた」と振り返る。

 道内一周に要した日数は約100日。「つらかったのは、1日で9キロしか歩けなかった稚内の猛吹雪。心に残っているのは、サロベツ原野で波が打ち寄せている北海道ならではの美しい景色」と稲垣さん。2012年6月5日に洞爺から再スタートし、各市町村の自治体なども訪ね、旗へ応援メッセージを書いてもらった。同13日にスタート地点のJR函館駅で悲願の北海道一周を達成した。

 鎌田さんと稲垣さんは「みんなの思いが詰まった旗は大切な宝物。この年齢でもかなえられる夢があることを孫たちに伝えたい。また、どこかで歩きたい」と笑顔で話していた。(柏渕祐二)



◎さぶりメロン収穫始まる

 【森】道南ブランドとして人気が高い「さぶりメロン」の収穫が13日、森町の農家で始まった。今月の曇天続きで仕上がりが遅れたものの、玉伸びや糖度ののりも順調。14日朝に、函館市青果物地方卸売市場(西桔梗町)で初競りにかけられる。

 産地である厚沢部町の「さぶ」と森町の「り」をとって命名。両町で生産された赤肉メロンのうち、糖度15度以上、重さ1玉1・9〜2・1キロ(1箱2玉入り)、ネットの張り具合が良いものを、さぶりメロンとして出荷。上品な甘みと果汁感が売りで、贈答用などに使われる。

 森町白川の黒田貢さん(45)方のビニールハウスでは早朝に数個を収穫。黒田さんは「まずまずの出来。糖度も17度になっている。ぜひ食べてほしい」と話していた。

 森がハウス、厚沢部がトンネル栽培と生産方法が異なる。早出しの森産は8月中旬まで出荷が続き、厚沢部産は9月出荷が多い。JA新はこだて(畠山良一組合長)によると、赤肉メロン生産者は森、厚沢部とも11戸。(山崎大和)



◎医学部構想で同志社総長と市長が会談

 学校法人同志社(京都市)の大谷實総長が13日、函館市役所を訪問し、市が同志社大学に打診している医学部誘致構想について、工藤寿樹市長と意見交換を行った。函館新聞の取材に対し、双方ともに同構想について「大きな進展はない」としながらも、同志社が毎年6月に開いている新島襄海外渡航の地(大町)での碑前祭を通じて、双方の関係を強化していくことを確認した。

 大谷総長は14日に開かれる碑前祭出席のため来函し、市役所を訪問した。大谷総長と工藤市長が会うのは初めてで、約30分間会談した。

 医学部誘致構想をめぐっては、工藤市長が5月に京都を訪れ、同法人の八田英二理事長兼学長と会談している。大谷総長は取材に対し、医学部設置に関する進展や市からの具体的な誘致策はなかったと明らかにした上で、関西で医師が充足している状況から「函館は地方としては最も同志社と縁が深い。医学部を設置する場合には、当然一つの候補地となる」と強調。

 同志社としての課題に財政問題や、関西を離れて設置することの整合性を挙げ、「財政問題の高いハードルに関しては、市長に伝え、理解いただいた」と述べた。同法人が設けている、医学部に関するプロジェクトチームの今後の方向性については「まったく分からない。情報を集めたり、国の動向を調査したりしているが、理事会にも具体的な報告はまだない」と述べるにとどめた。

 工藤市長も「新しい材料はなく、詰め込んだ話はしていない」とした一方で、同志社側が懸念する財政問題に関し、市立函館病院を連携病院とすることで、大学が付属病院を設置した場合と比較して運営コストは抑えられると強調。同市長は取材に対し「赤字の大半は大学病院が抱えている。(連携病院だと)学部へのリスクは少なく、普通の医学部よりは負担額は違ってくると話をした。付属病院と医学部の赤字がどれほどか、今後検討していく必要がある」と話した。

 また毎年6月14日に同志社が行い、市が後援している碑前祭に関し、大谷総長は前日の講演会開催などを提案し、工藤市長もこれを評価。大谷総長は「来年から市と一緒に具体的な検討を進めたい。地域との連携が重要になる」と述べた。(千葉卓陽、山崎大和)


◎茂辺地への診療所開設、医師から前向きな返答

 【北斗】第2回定例市議会は13日、一般質問を続行。市は、医療機関のない状態が続いている茂辺地地区への診療所開設に前向きな姿勢をみせている医師がいることを明らかにした。現在はこの医師からの正式な回答を待っている段階という。

 藤田啓実氏への答弁。

 石川英明民生部長が「ある医師から検討したいという前向きな答えをいただいている」と報告。その上で、「現時点ですぐにとはならないが、ちょっと答えを待ってくれないかという話をもらった」と答弁した。高谷寿峰市長も「今は正式な返答を待っているが、一定の時期がたてばまた確認をしたい」と話した。

 市によると、茂辺地地区に唯一あった診療所は2007年に医師が亡くなり廃業。その後、市が渡島医師会などと情報交換しながら近隣の医療機関や個人医師に開業の依頼を続けてきたが、地域性や経営の難しさなどから医療機関のない状態が続いていた。

 同地区の人口は2496人(5月末現在)で、高齢者が多い。

 一般質問にはこのほか2氏が立った。主な質疑は次の通り。

 仲村千鶴子氏 防災会議への女性委員の登用は。

 高谷寿峰市長 女性委員は1人委嘱したい。女性の意見を反映させる取り組みについては、女性に限らず市民の意見として防災計画に反映させたい。

 渡野辺秀雄氏 北斗市観光振興プランにある「ヘリテージツーリズム」(歴史遺産観光)の資源開発の内容は。

 高谷市長 市にはトラピスト修道院といった歴史的な名所が数多くある。これらの資源を生かすためにはソフト面の強化が必要で、観光ボランティアガイドの組織化などを検討していきたい。(後藤 真)


◎おしま病院でボランティア養成講習会

 函館おしま病院(函館市的場町19、複徳雅章院長)で運営するボランティアグループ「ミント」の新規メンバーを養成する本年度講習会が13日、同病院で始まった。市民約20人が受講し、ホスピスケアを提供する同病院の取り組みなどを学んだ。

 ミントは、ホスピス病棟や介護療養病棟で療養中の患者の余暇活動の手伝いや週1回の喫茶サービスなどを行う。養成講習会は毎年開講していて、今年は13日と20日の2日間にわたり、ホスピスの紹介やボランティア活動などについて看護師や職員が講義する。

 初日は福徳院長やホスピス病棟の看護師、医療ソーシャルワーカーが講師を務め、ホスピスケアの特徴や入退院支援の概要などについて説明した。

 福徳院長は現代医療の問題点や終末期医療の課題にも触れながらホスピス病棟開設に至った経緯や思いを語り、「ホスピスは死にゆく人や末期がんの人だけが対象ではない。がんと診断された時から緩和ケアが必要で、がん以外の他の病気も適用される」と強調。

 院内の取り組みとして、患者の身体、精神的なケアだけでなく家族や遺族のサポートにも取り組んでいることを紹介し、「家にいるような温かい雰囲気の中で苦痛なく、自分らしい生き方を支える—を理念としている」と述べ、受講者も真剣に聞き入っていた。(鈴木 潤)