2012年6月17日 (日) 掲載

◎ライダー99人 爆音爆走 木古内エンデューロ

 【木古内】全国の選手が集うオフロードバイクの耐久レース「サバイバル2daysエンデューロIN木古内」(町、町観光協会主催)が16日に開幕した。99人のライダーが町中野の特設会場で、土ぼこりや水しぶきを上げて熱い走りを繰り広げた。

 木古内の初夏を盛り上げるイベントとして毎年開かれてきたが、コース設定の難しさなどを理由に、第25回の今回が最後となる。2010、11年は口蹄疫や東日本大震災などの影響で開催しなかったため、3年ぶりの開催となった。

 役場前で行った開会式では、大会長を務める大森伊佐緒町長が「四半世紀続いた本大会が幕を下ろします。大変残念ではありますが、この日まで支えてくださった大勢のライダーや関係者に心から感謝を申しあげます」とあいさつ。出場者代表で福島県富岡町の小坂竜也さん(34)は、「スポーツマンシップにのっとり正々堂々と戦います」と宣誓した。

 この日決定したコースの周回数は3周(初心者クラスは2周)で、4時間以内に走りきる。4人ずつが一定の間隔を置いてスタートする形式で、選手は次々と爆音を響かせながら全長36キロの難コースに挑んでいった。

 初日を完走したのは98台で1台は途中棄権した。17日は午前8時に競技開始の予定。午後2時には終了し、同4時に表彰式を行う。(斎藤まや)



◎エゾシカ 狩猟捕獲最多 799頭

 2011年度の渡島管内でのエゾシカ狩猟捕獲数が、前年度より266頭多い799頭と過去最高を記録したことが、渡島総合振興局のまとめで分かった。また、農林業被害や交通事故などを防ぐため、狩猟期間外でも道の許可により捕獲できる「許可捕獲」も、管内は前年度を183頭上回る400頭(11年度)に上り、個体数が確実に増加していることを裏付けた。

 エゾシカ捕獲には、狩猟と許可捕獲の2種類がある。渡島の11年度の狩猟期間は昨年10月22日〜今年3月25日。この期間に、同振興局で登録した狩猟者291人が管内で捕獲したのは雄272頭、雌527頭の計799頭。06年度以降、5年連続で増加している。内訳は函館市の310頭(前年度比6頭減)が最多で、知内町の304頭(同197頭増)が目立つ。ほかに福島町47頭(同38頭増)、森町44頭(同2頭増)、鹿部町41頭(同25頭増)など。

 また、渡島で登録した狩猟者が管外に出向いて捕ったのは、前年度より53頭少ない255頭(雄87頭、雌168頭)。

 桧山振興局によると、桧山で11年度に登録した狩猟者112人が管内で捕獲したのは雄34頭、雌22頭の計56頭。管内の11年度の許可捕獲数は12頭だった。

 渡島総合振興局は「ここ数年の増え方が著しいので、明らかにエゾシカの個体数は増えている。放置すると、どんどん増える可能性があり、捕獲努力を今後も続けていきたい」(環境生活課)としている。(山崎大和)



◎消費増税に市民批判 民自公3党合意

 民主、自民、公明3党が、社会保障と税の一体改革関連法案をめぐる修正協議で合意した。現行5%の消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる法案が成立する見通しとなったが、不況が続く中での増税に、函館・道南の住民からは反対意見や、政治に対する注文の声が相次いでいる。自治体や経済界もまた、法案成立への動向を注視している。

 3党合意を受け、今後は増税に慎重な意見が根強く残る民主党内の了承手続きが焦点となる一方、最低保証年金創設と後期高齢者医療制度の廃止など、民主党がマニフェスト(政権公約)で掲げていた施策への結論は出なかった。

 函館市民からは増税への落胆とともに、政党への不信感を募らせる声が出ている。青柳町の無職信太(しだ)政さん(83)は「2年のうちに5%も増やすのは乱暴だ。食料品や日用品など生活に直結したものは税率を据え置き、ぜいたく品は増やすなど市民生活への配慮が必要」と批判。また、民主、自民両党の協議の進め方について「すっかりなれ合いになってしまった感がある」と指摘する。

 市内本通の主婦川上香代子さん(39)は「日本の消費税は税率も国税収入に占める割合も低いので仕方ないかも知れないが、10%となると家庭に大きく響く。夫の飲食店経営にも影響が出ると思うので、生活の意欲が失われる気分」。湯川町の主婦本田香澄さん(51)は「報道の中で、社会保障の部分が見えてこない。消費税増税・法人税減税で『負担を分かち合うという』というのは、国が地方の暮らしを見ていないと感じる」と話した。

 一方、自治体は個人消費の冷え込みに伴う税収悪化を懸念するとともに、消費税収入の動向に関心を寄せている。

 財源不足が続く函館市は、「消費税は公平な税負担だけに、市民生活への影響がどれほど出るか心配」(財政課)と話す一方、現在の消費税5%のうち1%が入る、地方消費税交付金の今後を注視。本年度当初予算では28億円が国から交付されている。

 消費税が10%に増えた場合、交付金は単純計算で倍になるが、同課は「上積みされる5%は社会保障に充てるとしているが、今の段階では具体的に何に使っていいかが未知数。生活保護や後期高齢者医療への支出が無視できない状況だけに、早く示してもらえれば」。

 北斗市企画財政課の財政担当者は一般論として、「個人消費の冷え込みの話は当然出てくる。企業の生産活動に影響すれば、法人税の税収減にもつながる」と話す。

 同市は2015年度の北海道新幹線開業で一定の固定資産税増収などを見込んでいるが、今回の消費増税の影響は未知数とする。社会保障改革の中で、市が独自の予算措置で上積みして実施している施策と重なる部分で「国の制度基準の拡大など、好材料があれば」と期待する。

 地元経済界の立場は複雑だ。函館商工会議所の酒井康次専務理事は「大局的に見ると増税はやむを得ない」とする一方で、「一般市民はもちろん、中小零細企業は今でもギリギリで商売をしている。増税で消費意欲が減退すればさらにモノが売れなくなり、厳しい環境に追い込まれる」と地域経済への影響を懸念。「増税のタイミングを見ることや、弱者救済などの経済対策が必要」としている。


◎水難救助 安全対策徹底

 同僚に誓う再発防止—。函館市消防本部は昨年から、水難事故対応の見直しを進めている。昨年6月に同本部高度救助隊の潜水隊員、山口広明さん(34)が海中で車の下敷きになる事故をきっかけに、全国的にも導入が少ない浮力を使って水中の重量物を上げる装備品の取り入れや訓練時間を増やすなど万全の体制を整えた。山口さんは現在も意識不明の状態が続いており、職員は「一日も早い回復を」と願いながら、悲しい事故の撲滅に力を注ぐ。

 昨年6月9日、男性の運転する車が海中転落する事故が発生。車は水深約6メートルで運転席側を下にして、ほぼ垂直の状態で立っていた。隊員3人が男性を救出、二次検索中に車が倒れて山口さんが下敷きとなった。

 この事故を受け、同本部は水難救助活動検討委員会を立ち上げ、昨年8月に消防庁に報告書を提出。車が垂直で立った状態で発見されるのは非常に珍しく、調査ではトランク内に200キロ程の浮力があれば直立は可能という結果が出た。実際、車内にはスーツケースなど気密性の高いものが多くあり、救助のため窓ガラスを割った際に空気が抜けて車が倒れたと見られている。計算上、空気が抜けた後、早くて16秒後には倒れ始めるとされている。

 これまで海中で車が倒れるとの想定はなく、同本部では昨年10月から浮力で500キロの重さを上げられるアクアリフターを導入。隊員の位置を知らせるストロボライトなどを取り入れた。また、長時間の救助出動にのみ用いられた水中無線機使用の徹底、通常3人の隊員のほか、緊急時に対応できるよう別な隊員も陸上で待機させることにした。

 また事故後、訓練時間を例年の倍に増やし、基礎訓練を重視してきた。現在、24人いる高度救助隊のうち18人が潜水隊員としても活動する。同本部によると、昨年の水難救助出動は17件(うち3件が車両転落)、今年は5月末で6件(同1件)となっている。

 荒木克行警防課長は「要救助者と隊員の命を守るには情報伝達が大事。訓練での経験を取り入れながら、安全対策の徹底を図っていきたい」と話している。(小杉貴洋)


◎レッドモンドさん津軽海峡横断 途中棄権

 世界7海峡の単独遠泳に挑戦中しているアイルランドの男性スイマー、ステファン・レッドモンドさん(46)が16日、最後の一つとなった津軽海峡横断に挑んだ。正午を前に天候が悪化してきたため途中で断念したが、週明けにも再チャレンジする予定だ。

 挑戦を支援する「津軽海峡遠泳協会」(石井晴幸代表)によると、津軽海峡は「世界オープン・ウォーター・スイミング協会」(米国)が選定した7海峡の一つ。レッドモンドさんはこれまでに6海峡の遠泳を成功させており、今回の挑戦で泳ぎ切れれば世界初の完全制覇となる。

 レッドモンドさんは10日に函館入りし、戸井地区の宿泊施設で調整。16日は午前7時に青森県下北半島の佐井村をスタートし、戸井地区を目指していた。しかし同11時ごろになって波や風が強くなってきたため、約10キロ進んだ地点で挑戦を中断した。石井代表によると、レッドモンドさんの体調に問題はないという。(小杉貴洋)