2012年6月19日 (火) 掲載

◎軍川小に子牛がやってきた…久保田牧場が貸し出し

 【七飯】地域の基幹産業の酪農について学んでいる軍川小学校(明石木実校長、児童26人)に18日、町軍川の久保田牧場から子牛2頭が貸し出された。生後3〜4週間の雌のホルスタイン種の乳牛で、7月24日までの約1カ月間、子どもたちが餌やりなどの世話を続けるめずらしい試み。子牛との対面式が行われ、同牧場の関係者らからミルクの作り方などを教わった。

 1、2年生は生活科、3年生以上は総合学習の時間での取り組み。平日は全校児童が交代で朝と昼の餌やりを行い、子牛の成長を見守る。餌や口蹄(こうてい)疫を予防する消毒用の石灰などは、企業や新函館農協から提供を受け、獣医師の協力も得た。児童たちは、2学期以降も同牧場を訪れ、定期的に様子を観察することにしている。

 子牛は「初めて」を意味する「うい」と、「ゆめ」と名付けられた。現在、体重は約50キロで、1カ月間で5〜10キロ程度は大きくなるという。子牛が登場すると、児童たちからは「かわいいね」と歓声が上がった。児童を代表し、6年生の高橋実桜さんは「みんなで子牛を大切に育てていきます」と話していた。

 明石校長は「生産者の苦労や地域のことを知るいい機会で、命の大切さも学んでもらいたい。学校と地域の結びつきが強い本校だからできる取り組み」と話す。

 同牧場の久保田守峰さんは「病気になりやすく、一番手間がかかる時期。相手は生き物なので、世話をしている時に気が付いたことを、周りの大人にはっきり伝えられる子どもたちになってほしい」と話していた。(今井正一)



◎年内にも光回線 東部4支所に拡大…函館市議会

 函館市議会の第2回定例会は18日、一般質問が始まり、5氏が登壇した。函館市はインターネット環境を向上させる光回線について、早ければ年内に東部4支所管内でもサービスが開始される見込みであることを報告した。旧4町村地域のネット環境向上のほか情報教育の充実などが図られる。

 斉藤明男氏(市政クラブ)への答弁。

 現在、エリアの拡大作業を進めているNTT東日本が、国の認可を受けてから発表するという。

 光回線は大容量のデータを送れるほか、同じブロードバンドのADSLと比べて通信速度が約4倍速い。またADSLは交換局との距離が遠くなるほど速度が遅くなるものの、光回線は立地で影響を受けないという。

 サービスの拡大エリアについて、市総務部は「人口の多い地域など、一定の範囲内でサービスを開始すると事業者から聞いている」と答弁。日常生活や観光情報の発信、行政サービスの高度化のほか、学校の情報教育の推進に効果があるとする。

 上戸慶一総務部長は「4支所管内全域でのスタートは難しいと聞いているが、少しでも多くの地域がエリアに含まれ、特に小中学校は避難所にも指定されているので強くお願いしていきたい」と語った。

 現在、旧市内では一部を除き光回線が整備。一方、4支所管内は光ファイバーケーブル設置などの整備費用やメンテナンス料、採算性などから同社が長年検討を続け、ADSLやそれよりも速度の遅いISDNのままだった。

 2009年には市がケーブルを設置して同社に貸し出す方法を検討していたが、老朽化に伴う更新代や保守料を勘案して断念。しかし4支所で開く地域審議会などでの強い要望を受け、粘り強く要請を続けていた。(後藤 真)



◎給食の放射能検査へ…市内小中、保育園

 函館市は、市立函館保健所に導入する予定の放射性物質測定検査機器を活用し、小中学校と公立保育園の給食用食材を検査する考えを明らかにした。検査機器の導入時期に合わせ、年明けからとなる見通しで、東日本震災の被災地など、過去に出荷制限の対象となった17都県産の青果物を対象に検査する考え。

 18日の定例市議会一般質問で、紺谷克孝氏(共産党)の質問に答えた。

 市立保健所では食品に含まれる放射性物質の種類や放射能の強さを測定できる「ゲルマニウム半導体検出器」を導入する計画。4月から設定された放射性物質の新規制値に対応しており、今定例会には購入費2100万円を盛り込んだ補正予算案を提出している。

 道教委によると、道内では札幌市が外部機関に依頼して給食の放射性物質検査を実施、釧路市で自前の検査機器を導入して検査している。市教委保健給食課によると、学校給食で使用する食材は道内産が中心。17都県の産品を使う場合は学校給食会と連携し、厚生労働省の検査結果を確認しながら使用しているが「17都県産の食材を検査することで、より安全性を確保したい」と話している。

 一般質問では検査頻度をただした紺谷氏に対し、岡野伸二市教委学校教育部長は「保健所の体制の問題があり、どのような頻度が可能か協議したい」と答弁。また、岡崎圭子子ども未来部長は公立保育園で検査を行うとした上で、「市内の民間保育園に対して情報提供をしていきたい」と述べた。(千葉卓陽)


◎大飯原発再稼働 道南からも反発の声相次ぐ

 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働決定について、道南の市民団体や住民からも反発の声が相次いでいる。政府の強硬な対応を批判するとともに、既成事実をつくることで、電源開発大間原発(青森県大間町)の建設再開につながらないか懸念する。

 17日に大間町で開かれた大間原発反対現地集会には、道南からの約50人を含む210人が参加。大飯原発の再稼働について「理不尽な政府の判断は許せない」と訴え、町内でデモ行進も。参加した大間原発訴訟の会代表の竹田とし子さん(63)は「福島の事故で経済(お金)よりも人の命が大事だと分かった今、再稼働なんてあり得ない。事故が起きたら、一体誰が責任を取るのか」と反対する。

 福島市から函館に避難し、今月、自主避難者組織「福島避難者ネットワーク—函館」を立ち上げた鈴木明広さん(52)は「総理は『責任を取る』と軽々しく発言し再稼働を認めたが、それ自体が無責任。怒りを通り越してあきれ果てた。原発事故を直視せず、国民の命の重さを軽視し過ぎている」と憤る。

 同じく福島県鮫川村から避難してきた主婦、小松幸子さん(47)も「被災者はギリギリの生活を送っている。その中で声を上げても、政治家や電力会社には届かない現状には絶望感しかない。収束宣言が出されたときには、再稼働のシナリオが出来上がっていたとしか思えず、本当に愚かだ」と話す。

 NPO法人南北海道自然エネルギープロジェクト代表理事のピーター・ハウレットさん(57)は「あれほどの事故が起きたのに、検証もせずに原発を再稼働するのは『日本は大丈夫か』と世界の人々が見ている。このままズルズルと原発の再稼働や建設再開につながっては困る。脱原発へ一層声を上げていきたい」と語気を強める。(山崎大和、小杉貴洋)


◎スルメイカ 放射性物質検査へ発送…千葉の機関に

 水産庁のスルメイカ(マイカ)放射性物質検査で、函館渡島いかつり漁業協議会(会長・佐藤正美松前さくら漁協組合長)は18日、今季1回目の発送作業をした。松前沖〜恵山沖の津軽海峡で捕れたイカを検体として千葉県の検査機関に送り、放射性物質の有無を調べる。渡島分は12月まで計13回検査する。

 福島第一原発事故による海洋汚染への対応。初回の検査分は10キロ。函館市漁協(橘忠克組合長)所属のイカ釣り漁船が、松前沖の水深約130メートルで14日に漁獲。冷凍後、同協議会に引き渡された。西崎勝事務局長が、函館水産ビル(豊川町)前で漁獲日時や位置などを記した用紙をイカの入った箱に一緒に入れ、海洋生物環境研究所中央研究所(千葉県御宿町)へ送った。

 検体は19日に到着し、検査を受け、結果は週内に道のホームページで公開される。

 昨年は、道と道いか釣漁業協会(札幌)が8月、道南太平洋の恵山沖で捕ったイカを検査、9月から水産庁の事業に移行した。14回検査した結果、放射性物質はいずれも不検出。今年は主力漁場となる函館・津軽海峡で捕れるイカを対象とし、検査開始も約2カ月早めた。6月の検査は1回で、7〜12月は月に2回ずつ検査する。

 桧山で捕れたイカも、6〜9月に計7回検査する。(山崎大和)