2012年6月21日 (木) 掲載

◎道南のサクラ、「灰星病」流行

 道南の複数のサクラの名所で今春、細菌性の「灰星病」が発生していたことが分かった。日本サクラの会「桜守」(さくらもり)の浅利政俊さん(81)=七飯町=は、道総研道南農業試験場(北斗市)の協力を得て実態などを調査した。道南のサクラ園での大規模発生は初めてとし、「今後適切な管理を行うことで来年の発生を防ぐことができる」と対策を呼びかけている。

 浅利さんは長年、道南各地でサクラの管理にかかわっており、5月に松前町の松前公園内を観察中、花の部分が委縮しているサクラに気付いた。その後の調査で、函館市の函館公園や五稜郭公園、北斗市では史跡・松前藩戸切地陣屋跡へ向かう並木や運動公園、大野農業高校敷地内、森町では青葉ケ丘公園の合わせて7カ所で同様の症状を確認。

 特にシダレ系の品種に発症が多く、中には松前公園のナデンやイトククリなど八重品種でも症状がみられた。松前公園ではナデンに限っては3割が、戸切地陣屋周辺では全体の2割ほどが感染していると推定する。菌については自身で顕微鏡観察する一方、道南農試に病原菌特定の協力を依頼し原因を突き止めた。

 今回道南で初めて大規模な発生が確認されたことについて、浅利さんは「雪解けの遅れと土壌中の水分量増加で菌が生き延びやすい環境となり、これに5月初旬の急激な気温の上昇が拍車をかけた」と説明する。

 再発防止対策としては、感染部分を除去し焼却または土中分解を勧めており、感染樹への防虫剤散布や周辺への消石灰散布など有効とする。

 浅利さんは調査結果や対策を冊子にまとめ、発症を確認した市町には適切な対応を呼び掛けた。「来年再び発生させないためには適切な対処が必要。発生を確認したら菌を地上に残さないよう除去してほしい」と話している。(斎藤まや)

 <灰星病>主に花や果実、時に葉や枝を侵し、落花する時期から花全体が褐色になり枯れる。サクランボやモモなどの果樹に発生することが多いが、農薬などで事前に対応している場合が多い。



◎道新幹線駅名、市長「新函館が望ましい」

 函館市議会第2回定例会は20日、一般質問を継続し、5氏が質問に立った。2015年度に北斗市内に開業する北海道新幹線の新駅の名称について、工藤寿樹市長は「新駅は『新函館』という名称が最も望ましい」と述べ、あらためて函館市として「新函館」を推す姿勢を強調した。

 北原善通氏(市政クラブ)への答弁。

 現在の名称は、建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が仮称「新函館」としているが、正式な決定権はJR北海道にあり、開業1年前までに決まる。北斗市議会は15日に新駅の名称について「北斗函館」にすべきとの決議案を賛成多数で可決した。

 工藤市長は「新函館」の駅名が望ましいとする理由について「新幹線の道南への誘致に主導的な役割を果たしてきた函館の長年の取り組みの経過を考え、全国的な知名度、利用者にとっての分かりやすさ、多くの利用者が最終的には函館を目指し、新函館という名称が広く周知されている」ことを挙げた。

 北原氏は新幹線の駅名が駅所在地の市町村名とは違うケースが多くあると指摘し「駅名に函館の名前が残るから良しとしたのでは、これまで取り組みに関わった人の思いが水泡に帰す」と批判。北斗市議会の決議を受け「市長としてけしからん、迷惑だと率直に言うべきでは」とただすと、工藤市長は「北原さんと少し思いを同じにする」と述べるにとどめた。

 今後は、開会中の定例市議会で特別委員会を開き、函館市議会としても新駅名に関して決議案を提出することも検討する。

 一般質問はこの日で終了し、北原氏のほか、見付宗弥氏(民主・市民ネット)、小野沢猛史氏(市民クラブ)、小林芳幸氏(公明党)、本間勝美氏(共産党)が質問に立った。本会議で提案された議案18件は、22日に開かれる3常任委員会で審査する。(森健太郎)



◎函館千歳教会に石巻の幼稚園から復興支援のお礼届く

 函館千歳教会(函館市松陰町、井石彰牧師)が、教会内に開設している「喫茶チャペル」(毎週火曜)の収益金で支援した東日本大震災の被災地、宮城県石巻市の石巻栄光教会(小鮒=こぶな=實牧師)付属の栄光幼稚園(同園長)から、献金を使った建物「トライアングルタワー」の移築完了報告と礼状が千歳教会に届いた。喫茶チャペルは21日に開設1周年を迎え、復興へ息の長い支援を続けていく考えだ。

 栄光教会は、千歳教会と同じ日本キリスト教団系列。小鮒牧師が千歳教会の前牧師(1989〜95年)だった縁から、被災地の子ども支援を目的に、昨年6月から一般市民を対象とした喫茶チャペルを始めた。

 メニューはコーヒー、紅茶、ココア、ジュースに、ケーキやクッキーなどの手作りお菓子が付いて1セット200円(子ども100円)。教会の信徒がボランティアで運営、毎回約20人が利用しているという。昨年12月には収益金を含む35万円を栄光幼稚園に贈った。

 同幼稚園は、全国から寄せられた約390万円の支援を、園庭での寄贈建物の移築プロジェクトに活用。高さ約9メートルの三角形の塔「トライアングルタワー」で、5月に移築工事が完了した。1階が大人がくつろげる縁側、2、3階が子どもの遊び場、天辺には鐘が付いており、文書には「毎日午前10時に園児が交代でベルを鳴らしています。音色がとても素晴らしい」と綴られている。

 井石牧師は「希望のベルが復興の一つの象徴になり、子どもたちが笑顔を取り戻してくれれば」と願う。

 千歳教会は5月にも、被災地のほかの幼稚園・保育園を支援するため、喫茶チャペルの収益金10万円を、キリスト教保育連盟(東京)に贈った。

 喫茶チャペルは午後零時半〜同4時半。問い合わせは千歳教会電話0138・51・9573へ。(山崎大和)


◎来月7、8日に「江差かもめ島まつり」

 【江差】江差の夏を楽しむ「江差かもめ島まつり」(江差観光コンベンション協会主催)が7月7、8の両日、江差港とかもめ島一帯で開かれる。前日の6日夕には、水揚げ直後の水産物を味わう「活!!江差海鮮みなとイカ刺し祭り」もあり、来場を呼び掛けている。

 6日の「イカ刺し祭り」は午後5時半から同8時半。旬のマイカやヒラメの刺し身などを1皿300円で提供する。イカ釣り体験や郷土芸能の披露も予定している。

 7日開幕の「かもめ島まつり」は午後1時から、瓶子岩(へいしいわ)で「大しめ縄飾り」と江差神楽を奉納。同3時半から、江差小学校鼓笛隊パレード(新地町〜かもめ島)、同4時からは「江差音頭千人パレード」(同)、同6時半からは、かもめ島上舞台で音楽・ダンスステージを繰り広げる。

 8日は、午前9時45分から江差港内で「第34回全道北前船競漕大会」。南ふ頭で開会式、恒例の海上レースで盛り上がる。かもめ島上舞台では同11時から「クイズ・ゲーム大会」。同2時からは歌謡ショーで、歌手の岩本公水さんと走裕介さんが、かもめ島のステージに立つ。

 また、7日には午前と午後の計3回、江差海保所属の巡視船「かむい」の体験航海を予定。定員は各70人。乗船券が必要で、6月28日午後5時から役場1階ロビーで配布する。小学3年生以下の乗船には保護者が引率すること。

 問い合わせは同協会電話0139・52・4815。(田中陽介)