2012年6月23日 (土) 掲載

◎トンネル事故 避難迅速に 峠下トンネルで避難訓練

 トンネル内での火災や列車脱線事故を想定した避難訓練が22日、JR函館線七飯駅—大沼駅間にある下り専用単線「新峠下トンネル」(全長1250メートル)で行われた。JRや関連職員、警察や消防など計約200人が参加し、避難誘導の手順確認や救助活動に当たった。

 昨年5月に上川管内占冠村のJR石勝線トンネル内で発生した特急列車の脱線炎上事故を受け、JR北海道は「緊急時お客様避難誘導マニュアル」を社内で統一。函館支社でもこれに基づき、昨年11月と今年1月にも青函トンネルなどで訓練を実施してきた。

 函館発大沼行き臨時列車(4両編成、模擬乗客110人)が新峠下トンネル内を走行中、異音と大きな揺れを感じ車掌が非常停止した。その後の確認で最後尾の車両に脱線と火災が認められたとの想定。すぐに避難はしごを設置し、車内に客として乗り合わせた社員も救護ワッペンを付けて誘導に加わり、すぐに降車させて約500メートルを徒歩で安全に避難させた。

 また消防と警察も連携し、要救助者の搬送や消火訓練を行い、被害拡大を防いでいた。同支社の鈴木理夫次長は「予定より10分早い35分で避難が完了し、とてもスムーズだった。お客様への安心を提供するためにも今後に生かしていきたい」と話していた。(小杉貴洋)



◎木古内新キャラ「キーコ」お披露目 新幹線観光駅長に

 【札幌】木古内町の新キャラクター「キーコ」が22日にデビューし、JR北海道本社(札幌)でお披露目を行った。大森伊佐緒町長や岩館俊幸議長らとともに同社の小池明夫社長を訪問。「木古内駅新幹線観光駅長」として委嘱状や制帽、タスキを受け取った。

 キーコは同町で生産される赤牛「はこだて和牛」をモチーフに、デザイナーの山本寛斎さんが主宰する会社の協力を得て町が制作した。道新幹線の木古内駅開業に先駆け、木古内の存在をアピールする目的がある。

 大森町長は誕生のいきさつなどを説明し「新幹線開通に対する思いからこのたび委嘱を受けることになりました。今後全国に出向き、北海道新幹線を大いに宣伝します」とキーコの思いを代弁した。小池社長は「2015年開業予定の北海道新幹線は、木古内町にも停車する。全国から北海道へ多くの乗客が来るように、新幹線観光駅長としての活動をお願いしたい」と話していた。

 キーコは今後、25日に地元で披露されるほか、26日には渡島総合振興局を訪問予定。全国でのプロモーション活動などに参加する。(斎藤まや)



◎エゾバカガイ漁休漁へ 資源確保で今夏から ひやま漁協

 ひやま漁協(本所・乙部町元町520)は今夏、江差近海でのエゾバカガイ(アオヤギ)漁を取りやめることを決めた。近年の水揚げ減を受け、資源回復を狙い、江差では5年間をめどに休漁に入る。漁協理事でエゾバカガイ部会長の佐藤弘さん(66)は「高値がつく中での苦渋の決断だが、地域漁業の将来を見据えて多くの漁師が了解してくれている。完全に無くなる前に有効な手を打ち、一刻も早い漁の再開を願いたい」と話している。

 エゾバカガイは、高級すしのねたや刺し身、貝焼きなどに重宝される。同漁協では、2009年度に172トン(水揚げ額1億400万円)、10年度が204トン(同1億2400万円)、11年度では153トン(同9300万円)と順調だったが、今季は、せたな町大成のみの32トン(同2200万円)にとどまった。

 例年、桧山での漁は雪解けから大成を皮切りに八雲町熊石、江差、上ノ国へと8月中旬まで続く。桧山南部地区水産技術普及指導所の資源調査によると、今季は江差での規格もの(貝幅7センチ以上)が極端に少ないという。

 減少の原因は、毎年の漁獲に加え、「しけなどによる漁場の変化が考えられる。ただ、砂場を好み、場所を頻繁に変える習性があるので、違う場所に固まって生息している可能性もある」(同指導所)という。

 休漁は江差が5年、熊石は2年を目安に、その年の状況を把握し、一定の回復があった場合は前倒しで漁の再開を図る可能性もある。上ノ国は26日に資源調査を予定しているが、昨年の出漁日数が3日で3トンと伸び悩んでいたことから「江差と同じくしばらく休漁の可能性が高い」(関係者)としている。

 同漁協には、東京の業者から「少しでもいいので届けてほしい」と問い合わせが相次いでいる。近年は地元消費拡大PRも積極的で、「人気を維持するためのPRは続ける」と漁協直営販売店で真空パック詰めの冷凍商品を取り扱っている。詳細は同漁協のホームページで確認できる。(田中陽介)


◎函館市、節電で市電減便へ 運行間隔7分延長 来月23日から

 函館市が7月2日から実施する節電行動計画で、市企業局交通部は、市電の日中のダイヤを通常の6分間隔から7分間隔に伸ばし、減便することを決めた。期間は7月23日から9月7日まで。同部は「利用客への影響が最低限となるギリギリの調整だった」として理解を求めている。

 市環境部などによると、期間中は午前9時すぎ〜午後4時ごろまでの間、運行間隔を延長させ、日中に軌道上を走る車両数を通常の18両程度から16〜17両に減らす。これにより、利用者の多い朝夕の通勤・通学時間帯の減便を回避し、1日あたり8本程度の減便となる見通し。

 政府や道の要請では、鉄道事業者は電力の使用制限が困難な「制限緩和施設」だが、具体的な数値目標を定めることでダイヤを調整する時間や期間を短縮した。今回の計画により、期間中の電力使用のピーク時間帯の正午から午後3時では、一昨年比で7%程度の節電が見込めるという。

 ただ、節電の計画期間は夏休みの観光繁忙期に重なり、観光客への影響も懸念される。市交通部は「イベント時などは増車するなど、利用者が混乱しないよう柔軟に対応したい」と説明。一方、夜景への影響も懸念される西部地区の公共施設などのライトアップは継続させるという。

 このほか、市節電行動計画では、市役所本庁舎など約250カ所で廊下の照明の消灯や空調の停止、未使用時の事務機器の電源オフなどを励行し、10%以上の削減を目指す。また、病院や福祉施設は安全・衛生管理上の問題から節電の対象外とし、最終的には市全体で7%以上の節電を目指す。(森健太郎)


◎大間航路 新造船名は「大函丸」 「函館の名入り」市も歓迎

 青森県大間町が建造中の函館—大間間のフェリー航路の新造船の名前が「大函丸(だいかんまる)」に決まった。1964年の就航時から現行の「ばあゆ」に変わるまで24年にわたり計6隻に使われてきた船名が復活し、函館市も「函館の名前が入ることは喜ばしく、ありがたい」と歓迎している。

 大間町が5月に町民を対象に船名を公募し、143人から173点が寄せられた。町新船船名検討委員会(委員長・金沢満春町長)で審査した結果、町内のまちおこしグループ「あおぞら組」組長の島康子さん(46)が考案した「大函丸」が優秀賞に選ばれた。

 同航路は64年に外洋フェリーとしては国内初の初代「大函丸」(451トン)が就航。その後は第2、3、5、6、7代と計6隻に大函丸の名前が使われ、88年から「ばあゆ」に変わった。名付け親の島さんは「町民になじみ深い、みんなの思いを託せる船名。もう一度かつてのにぎわいを取り戻し、大間と函館の絆をより強くしたい」と話す。

 同航路は、東日本フェリー(当時)が2008年に船の老朽化に伴い撤退の方針を表明。一時は存続が危ぶまれたが、町が新船を建造し、津軽海峡フェリーが運航することで決着した。函館市も本年度から新造船就航までの間、年間2000万円を上限に赤字を財政支援する。

 新造船は現在、広島県の「南海造船」で建造中。総トン数は1985トンと、現行船に比べ約3割大きくなる。年内にも進水式を行い、来年4月の就航を目指す。道運輸支局によると、同航路の昨年度の旅客数は前年度比10・8%減の9万3042人。平成元(89年)以降で10万人を初めて割り込み、厳しい経営状況が続いている。(森健太郎)