2012年6月25日 (月) 掲載

◎力合わせ車いす登山

 【七飯】車いす利用者をサポートしながらともに登山を楽しむ「車いす登山」が24日、七飯町の仁山で行われた。6人の車いす利用者と、幼児から高齢者までの約170人のボランティアが参加し、交流を深めた。

 北海道難病連函館支部などでつくる実行委の主催。障害者福祉への理解を深め、普段行くことのできない場所に車いす利用者を案内しようと、毎年企画している。今年で12回目。

 参加者は登山道のスタート地点に集合した後、6グループに分かれて利用者をサポート。けん引用のさらしを車いすに取り付け、前輪を上げたり、数人でさらしを引っ張るなど役割分担しながら頂上付近の広場を目指した。参加者はさわやかな汗を流しながら自然を満喫していた。

 ボランティアとして初めて参加したという市立函館病院高等看護学院2年生の堀川唯さんは「思ったより疲れたけど、車いすの方に喜んでもらえて登山もできたから楽しかった。また機会あればボランティアに参加したい」と、すがすがしい表情。車いす利用者の60代女性は「みんな手伝ってくれてありがたい。景色も良く、とても楽しめた」と喜んでいた。 (後藤 真)



◎華やかな演舞に歓声 函館朝市どんぶり横丁感謝祭

 函館朝市第一商業協同組合は24日、函館市若松町の同市場正面特設会場で「函館朝市どんぶり横丁市場7周年記念感謝祭」を開いた。フードコートやフリーマーケット、キッズダンスなどを展開し、にぎわった。

 どんぶり横丁は2005年にリニューアルオープンし、周年イベントは5周年の一昨年から開催。昨年は東日本大震災の津波被害からの復興を発信した。この日は地元のちんどん屋「大黒笑事」が駅前周辺でイベント告知を行い、配られたチラシを手にした人も大勢集まった。

 朝市直売店では「ホタテ焼き」「ツブ焼き」、鮮度抜群の「ホッケの開き」などのほか旬の果物などが安価で販売され、観光客などが喜んで買い求めた。ステージでは市内のダンススタジオの子どもたちが元気よく踊ったり、小学生以下を対象にした「模擬釣り堀り」のアトラクションが行われ、歓声が響いた。

 函館市昭和の主婦、大川明美さん(57)は「昨年は震災復興を願い訪れ、安くておいしいものが買えたので今年も来た。駅前周辺がにぎわうのは市民としてうれしい」と話していた。



◎市内焼き肉店でも反発 レバ刺し来月から提供禁止

 厚生労働省は7月1日から、焼き肉店や居酒屋などでの牛の生レバー(肝臓)の提供を禁止する。函館市内の店舗は既に多くが「レバ刺し」を自粛。一部で提供店も見られるが「食肉処理から食材の衛生管理まで徹底すればトラブルは起きない。売り上げに響くし、その補償がないのもおかしい」と反発している。

 「あまりに一方的な措置だ」。市内で焼き肉店を経営する男性(52)は国の方針に首をかしげる。同店は開業以来15年間、食肉処理から1日以内に仕入れた牛レバーをレバ刺し(860円)にして提供している。その新鮮な味を求めるファンは多く、単品での売り上げは1日1万円以上と大きかったが、「それはもう過去の話。今ではレバ刺し目当ての客は激減して大打撃です」(男性)。

 提供禁止は、昨年4月に起きた焼き肉チェーン店での和牛ユッケ集団食中毒事件がきっかけ。厚労省は安全対策として同年10月、牛生肉の表面を削るよう業者に義務付けるとともに、牛生レバーの提供も自粛を要請した。その後、レバー内部から腸管出血性大腸菌O157や食中毒菌のカンピロバクターが見つかったこともあり、有効な除菌方法がないとして禁止に。違反すれば行政処分が、悪質な場合は罰金が課せられる。

 20年以上食肉を扱う仕事に携わっている男性は「レバ刺しは食文化の一つとして定着しているのに、素人の不祥事を理由になぜベテランの自分たちまでが被害に遭わなければならないのか」と語気を強め、「焼き肉店は一定程度の条件をクリアしないと開業できないなど、免許制や許可制にするべきでは」と国に注文を付ける。

 一方、市内では市立函館保健所の指導があった昨秋の時点で既に自粛する店舗がほとんどのようだ。ある焼き肉店は「問題が起きてからでは遅い。お客さまには申し訳ないし商売にも大きく影響する死活問題だが、仕方がない」と諦め顔。別の店舗も「人気メニューには違いなかったけど、馬刺しなど別のメニューを増やしたり、価格を少し抑えたりした。客にも何とか理解してもらっている」と明かす。

 函館市内では2005年5月、牛のレバ刺しを食べた3人が食中毒を発症している。市は今後、市内の店舗に文書を送るほか、ホームページでも注意を促す予定で、同保健所は「しっかり予防対策をしてほしい」と呼び掛けている。(長内 健、後藤 真)


◎既成概念打ち破れ 城下町シンポ鈴井さんが講演

 「全国城下町シンポジウム」は最終日の24日、函館市芸術ホール(五稜郭町)でメーンフォーラムと閉会式が行われた。フォーラムには、俳優の大泉洋さんらを擁する札幌の芸能事務所「クリエイティブオフィスキュー」社長の鈴井貴之さんが登場。道内発で全国区の活躍を見せる鈴井さんがまちづくりや地域活性化のヒントを語った。

 全国66の青年会議所(JC)でつくる「全国城下町青年会議所連絡協議会」の主催。フォーラムは一般市民にも公開され、ファンら約800人が詰めかけた。

 講演で鈴井さんは「既成概念を打ち破ることが大切」と強調。鈴井さんと大泉さんが無謀な旅を続ける人気バラエティー番組「水曜どうでしょう」について、「テレビ界では非常識な番組。既成概念にとらわれたままでは長続きしなかった。非常識さも番組のカラーになった」と語った。

 タレント、映画監督、放送作家、会社社長など多彩な肩書を持ち、道内を中心に活躍しているが、「地方で生きていくにはオールラウンドプレーヤーでなければならない。ローカルタレントにも誇りがある」と気概を示した。

 また、同番組のロケ時の裏話や大泉さんらとの面白いエピソードも披露し来場者の笑いを誘っていた。

 閉会式には全国各地のJCのメンバーが出席。「函館ふるさと宣言」が読み上げられ、新しい発想でそれぞれの地域の活性化を図ることを誓い合った。来年は6月に香川県丸亀市で行われる。 (松宮一郎)