2012年6月26日 (火) 掲載

◎碧血碑慰霊祭、旧幕府軍兵士しのぶ

 箱館戦争で戦死した旧幕府軍兵士の霊を慰める「碧血碑(へっけつひ)慰霊祭」(箱館碧血会主催)が25日、函館市谷地頭町の碧血碑前で行われた。同会会員や一般市民ら約50人が参列。碑前に手を合わせ、祭られている約800人の兵士をしのんだ。

 箱館戦争後、旧幕府軍兵士の遺体は新政府の命により弔うことが禁止されていたが、柳川熊吉が厳罰を覚悟の上で数百人の遺体を収容し、同市船見町の実行寺などに埋葬した。碧血碑は箱館戦争終結から5年後の1874(明治7)年に建立され、約800人の兵士が祭られている。この日は旧暦の5月16日で、旧幕府軍の運命が決した千代岡陣屋陥落の日にあたり、1941(昭和16)年の同会の会合で法要日と決めた。

 同市船見町の実行寺の住職らが読経する中、会員、一般市民、谷地頭保育園の園児らが焼香し、碑に手を合わせた。

 同会はこの後、谷地頭町会館で総会を開き、昨年亡くなった柳川熊吉の4代目に当たる柳川昭祈治前会長の後任として、北海道東照宮の大谷長道宮司を会長とすることを承認した。大谷会長は「慰霊祭は144回目を数えたが、これからも兵士の遺志を心に留め、後世に伝えていきたい」と話していた。(山崎純一)



◎「木古内町民」にキーコ仲間入り

 【木古内】木古内町の観光をPRする新キャラクター「キーコ」が25日、JRで木古内町に入り、同町の大森伊佐緒町長や観光業関係者、町内の子どもたちに歓迎された。定住の決意をしたため同町から特別住民票が交付され、さっそく「木古内駅新幹線観光駅長」として駅前の商店を訪問して協力を呼び掛けていた。

 同町で生産される赤牛「はこだて和牛」をモチーフに町が制作した。北海道新幹線の木古内駅開業に先駆け、木古内の存在をアピールする目的がある。22日にデビューしJR北海道本社(札幌)を訪問。同社の小池明夫社長から木古内駅新幹線観光駅長の委嘱を受けていた。

 この日、JR木古内駅の駅前広場では木古内保育園と永盛保育園の園児約50人と、町内の関係者ら約40人が出迎えた。キーコが登場すると園児らは大喜び。用意してあったキーコの手紙を役場職員が読み上げ、おいしい食べ物を求めて木古内に来たことや、道新幹線の開業に向けて同町を売り込む決意などを伝え、「みんなと一緒に街づくりをがんばります。仲間にしてください」とした。

 大森町長は「物産の販売促進や道新幹線の早期開業などに全国で活躍してくれることを期待します」と述べ、特別住民票を交付。喜んだキーコは駅前の商店を一軒ずつ回り、新幹線開業を知らせる上り旗を配布した。(斎藤まや)



◎JA新はこだて、CO2排出量表示で「カーボンフットプリント」取得へ

 JA新はこだて(畠山良一組合長)は本年度、水稲湛水直播(たんすいちょくはん)栽培「ななつぼし」について、二酸化炭素(CO2)排出量を表示する制度「カーボンフットプリント(CFP)」を取得する方針だ。今年産米から、慣行栽培より環境に優しいCO2低減米≠ニして売り込む。消費者も排出量の少ないコメを買うことで、地球環境保護を応援できる。

 道産米(主食用)でCFPを取得すれば、道内初。同JA米穀課によると、水稲湛水直播栽培の作付面積は今年、大野、厚沢部、七飯、森、若松の5基幹支店管内で計約80ヘクタール。品種はほとんど「ななつぼし」。来年産は計200ヘクタールに増やす計画を立てており、CFP取得が面積拡大に向けた切り札になると判断した。

 直播方式は、田植えや育苗がいらず、CO2発生を抑制するエコ農法。密植栽培のため食味、品質に優れた均一的なコメを生産できる。弘前大の研究では、一般的に直播栽培の方が移植栽培より、CO2排出量が1ヘクタール当たり3・5%少ないという試算もある。

 同JAは渡島農業改良普及センターと連携し、CFP取得に向けた申請準備を進めている。取得すれば、認証マークを商品に張れる。同JAでは、07年産から直播方式で作ったコメを「直播(じかまき)栽培」というブランド名で本格販売している。地場の食品スーパー魚長で継続的に扱うほか、JAの店舗や通販サイトでは5キロ1750円で販売。価格は通常米と変わらないが、プレミア米として人気が高い。今年秋からは同ブランドに、CFPを表示して販売したい考えだ。同課は「このコメを食べることで、消費者も地球環境を守る意識が高まる。安定した一定水準の価格を維持していきたい」としている。(山崎大和)

 ◆カーボンフットプリント Carbon Footprint of Products(炭素の足跡)の頭文字を取って「CFP」。商品の原料調達から廃棄・リサイクルまでの各過程で排出されたCO2総量を表示。食品や衣料品などに多い。国の試行事業を経て、本年度から民間団体が制度を引き継いだ。


◎昨年度渡島管内の観光客919万人、調査以来最少

 渡島総合振興局は25日、2011年度の管内観光客の入り込み数と訪日外国人宿泊者数(いずれも速報値)を発表した。観光客数は前年度を3・6%下回る919万8000人で、現行方法で調査を始めた1997年度以降、過去最少。昨年3月の東日本大震災の影響で、道外、外国人客が4〜6月に大きく落ち込んだのが要因。外国人宿泊者数も、福島第一原発事故の風評被害と円高の影響で大幅に減少した。

 観光客は昨年7月以降の道内客の入り込みが好調なため、震災直後の落ち込みをカバーした格好だ。

 道外客は429万6000人(46・7%)で前年度比8・6%減。一方、道内客は490万2000人(53・3%)で同1・4%増。震災前に東北を訪れていた修学旅行先が道内に振り替えられたほか、観光客が広範囲に周遊する傾向が強まったため。

 月別では、4月に同22・8%減、5月に同14・8%減、6月に同16・5%減と大幅に落ち込んだ。今年2月も大雪の影響で同9・4%減。7月以降は前年度を上回り、震災当初の自粛ムード緩和に加え、道内客が大きく増えたことが数字を押し上げた。

 市町別では函館市、松前町、七飯町、八雲町で前年度を下回った。函館市は下げ幅が最も大きい同10・4%減の410万8000人。国内での観光自粛や原発事故の風評被害が響いた。

 一方、木古内町が同29・5%増、森町が同22・2%増、鹿部町が15・6%増とそれぞれ高い伸び率を示した。

 外国人宿泊者数は前年度を27・7%下回る12万7000人で、実数にして4万9000人減った。台湾が前年度並みの8万9160人と最も多かった。5月に台湾要人が来道し、道内旅行への不安感が和らぎ、10月以降チャーター便が増えたため。函館—仁川間の定期便が12月まで運休した韓国は同71・2%減の1万974人。3位が中国、4位がシンガポールだった。(山崎大和)


◎水産海洋センター整備費増額を可決

 函館市議会の総務常任委員会(工藤恵美委員長)は25日、国際水産・海洋総合研究センター整備費を約3億円増額する本年度一般会計補正予算を審議し、原案通り可決した。入札予定業者から予定価格の低さを指摘されて入札を延期したことに伴い、市が整備費を積算し直して増額したもので、8月に入札を行い、10月に着工する見通し。

 市は同センター本館棟新築主体工事(1工区・2工区)と、関連する設備工事の5件に関して5月22日に入札を予定していたが、入札予定業者から「予定価格が低くなっている」との指摘を受け、入札を延期。設計業者が市との協議と異なる設計単価を用いて積算し、市都市建設部が発見できなかった。

 整備費を積算し直した結果、予定価格より6億6300万円高くなることが判明。基礎の解体の際に地面に打ち込む矢板や、液状化対策の地盤改良経費を増額した一方、本館棟や海洋調査研究棟の見直しなどで3億6300万円余りを圧縮し、差し引き約3億円の増額補正とした。

 委員会では市のチェック機能をただす質問に対し、戸内康弘都市建設部長は「積算を積み上げていく作業が実際には行われておらず、工程管理に甘さがあった。(予算編成前の)昨年12月に分かっていれば、対処のしようがあった」と述べた。

 再発防止策に関し、戸内部長は個人的な考えと前置きした上で「大事な単価は市が責任を持ち、業者に任せないところもある」と、市の体制強化を示唆。設計業者の責任に関しては「(低い予定価格でも)スーパーゼネコンなら受けるかもしれない。弁護士を交えて検証していきたい」と述べるにとどめた。(千葉卓陽)