2012年6月27日 (水) 掲載

◎谷地頭温泉売却 説明会に札幌と函館の3社参加

 民間への売却に向けて再公募している函館市の市営谷地頭温泉(谷地頭町)の売却候補者向けの現地説明会が26日、同温泉で開かれた。市内や札幌市内の3社が参加。市企業局の担当者から売却対象の設備の説明を受け、公募参加に前向きな姿勢を示す業者も現れた。

 同局は昨年度から民営化を模索し、本年度は7日から売却先の公募受け付けを始めた。土地、建物の最低売却価格は、売却が空振りに終わった昨年度より約4割・2億円引き下げ、3億1350万円(税抜き)としたほか、経営実績を不問にするなど公募条件も緩和した。

 説明会には函館市内の土木業者のほか、道内で温泉施設を展開する札幌市内の企業の代理人やベンチャー企業の3社5人が参加。浴場や井戸、館内設備などの現状を視察し、老朽化の度合いをチェックしたり、同局温泉課の担当者に湧出量などを熱心に質問したりしていた。

 札幌のITベンチャーの男性役員は「函館にとっての財産であり、立地もいい。購入価値のある価格に下がり、魅力あるものに創造しがいがある」と意欲的。函館の土木業者も「相応の傷みはあるが、資産価値は想定の範囲内。営業ベースでの採算性を考え、あるものを生かして前向きに検討したい」と話した。

 説明会に出席しなくても公募には参加できる。同課によると、既に数件の問い合わせが寄せられ、応募の意向を示す業者もあるという。募集は7月9日まで。9月中旬に売却候補者を決め、10月に仮契約、年内に本契約を結ぶ予定。問い合わせは同課電話0138・27・0581。(森健太郎)



◎道南コンブ干し日和 気温上昇10地点で20度超え

 爽やかな晴天となった道南は26日、各地で気温が上がった。函館市戸井地区では、至る所に養殖コンブの天日干しの光景が広がった。

 函館海洋気象台によると、最高気温は森町25・3度、函館市23・5度と今年最高を記録。厚沢部町鶉23・8度、北斗市23・3度、松前町22・7度など渡島・桧山管内全16地点のうち、計10地点で20度を超えた。

 戸井地区では、道路沿いに砂利を敷き詰めた干し場に、漁師が丁寧にコンブを並べ、風で飛ばされないようロープで重しをする作業をした。「早出しコンブ」と呼ばれ、男性漁師は「天日だと1日で乾く。手間は掛かるが、質のいい品物を出荷したい」と話していた。

 渡島、桧山とも週内は好天が続く見通し。(山崎大和)



◎類家さん優雅な音色 公会堂で毎週金曜に演奏会

 函館市元町11の旧函館区公会堂(大西正光館長)で毎週金曜、響きの良い2階大広間を活用したプロムナードコンサートが開かれている。出演者は函館の若手ピアニスト、類家唯さん(27)。観光客らを前にクラシックの小品を取り上げ、優雅な音色を披露している。

 同公会堂を管理する市文化・スポーツ振興財団が、入館者に優雅なひとときを過ごしてもらおうと今年初めて企画。類家さんは5月上旬から毎週金曜日の午前11時、午後1時半からの計2回、それぞれ30分間演奏している。

 今月22日午後は、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」、ショパンの「ノクターン第2番」など名曲6曲を奏でた。観光客はいすに座ったり足を止めたりして聴き入っていた。

 夫婦で30分間耳を傾けた奈良在住の藤田幸司さん(52)は「会場の趣と素晴らしい演奏とが同時に堪能できた。いい思い出ができました」とにっこり。類家さんは「毎回いい緊張感を保ちながら弾いている。今後も喜んでもらえる演奏を届けたい」と話していた。

 同コンサートは9月28日まで(8月17日を除く)。鑑賞は無料だが、入館料がかかる。(長内 健)


◎増田前副町長、出馬の意向 10月に森町長選

 【森】任期満了に伴う町長選(10月9日告示、同14日投開票)で、前副町長の増田裕司氏(59)が26日までに立候補する意向を固めた。函館新聞の取材に増田氏は「以前から自分なりの行政をやってみたいという気持ちを持ち続けていた。協調と融和の町政を目指したい」と話している。

 増田氏は1952年森町出身。町職員時代は税務課長、保健福祉課長、住民生活課長を経て、08年11月から佐藤克男町長の下で副町長を務めたが、町有地売却を巡る問題で11年11月に引責辞職した。今年4月には佐藤町長が増田氏を有印公文書偽造の疑いで刑事告発するなど、同問題は長期化している。

 増田氏は「森町は混乱の状況が続き、町民が不安に思っている。(佐藤町政は)すべてが悪いとは言わない。改革の方法はいいが、手法に問題がある。苦しいときは対立するのではなく、一つの方向に進まないとならない」と話した。

 現職の佐藤町長は出馬を表明していないが、かねてから「2期8年が望ましい」と述べている。(今井正一)