2012年6月28日 (木) 掲載

◎100歳の大木さん、市に2000万円寄付

 函館市内の老人ホームに入所している100歳の大木はな子さん(上湯川町)が27日、函館市に2000万円を寄付した。亡くなった次女のトシさん(享年66)と2人で交わした約束を果たし、はな子さんは「娘といつか地元のために寄付をしようと決めていた。2人の娘には苦労をかけてきたから、子どもたちの勉学向上のために使ってほしい」と話している。

 はな子さんは1911年(明治44年)函館市生まれ。地元で育ち、家庭の事情などから満足に勉強ができなかったという。結婚して夫を亡くした後は、清掃業などをしながら女手一つで2人の娘を養育。長女雅江さんが亡くなった後は、トシさんと長年2人暮らしを続け、こつこつとお金を貯めてきた。

 市への寄付は2人で温め続け、今年4月にトシさんが病気で亡くなったため連名で行った。受贈式は、はな子さんの入所している老人ホームで開かれ、はな子さんが工藤寿樹市長に目録を手渡した。

 感謝状を贈呈した工藤市長は「大事に貯めてきたお金を市に寄せていただき、涙が出るくらいうれしい。その思いを子どもたちのために大事に使わせてもらいます」と謝辞を述べていた。(後藤 真)



◎計画停電実施なら「死活問題」…コンブ漁師不安

 電力需給の逼迫(ひっぱく)時に限り北海道電力が実施する計画停電について、函館市沿岸のコンブ産地が危機感を募らせている。コンブの生産に欠かせない乾燥機が電気頼みだからだ。しっかり乾燥させないと商品価値が下がり、収入減に直結する。漁師は「計画停電だけは避けてほしい」と強く訴える。

 「1日2時間でも電気が止まるのは困る。この地区は一大コンブ産地だから、計画停電となれば死活問題だ」。南かやべ漁協(鎌田光夫組合長)大船支所の代表理事を務める坂田憲治さん(65)=大船町=は生産者の声を代弁する。自らも天然と養殖コンブで生計を立て、自宅敷地内には乾燥施設2棟(大型乾燥機2台)を所有。今月下旬から8月中旬まで24時間フル稼働させるという。現在の養殖に加え、7月から天然の水揚げも始まって盛漁期となれば寝る間も惜しんで仕事に励む。

 コンブの乾燥は本来、天日が良いとされるが、天候の悪い日もあるほか、「盛漁期には干し場もなくなるので、1日で干し上げるには乾燥機を使わないと処理できない」と坂田さん。計画的に生産するには乾燥機が欠かせないと強調する。

 乾燥機の動力は電気。灯油とA重油を熱源とし、熱風を室内に循環させ、湿度を下げる。坂田さん方では、1度に10時間かけて乾燥させ、1日に2度の乾燥作業をする。扇風機11台と換気扇5台もあり、盛漁期の電気代は月8万円に上る。「質の良い製品を作るには電気が必要。扇風機2台、換気扇1台を止めるなど節電に協力しており、計画停電は何としても避けてもらいたい」と話す。

 同支所管内のコンブ漁師は天然、養殖を合わせて160戸あり、生産量は組合全体の約3分の1に当たる1000トン。高山博支所長は「乾燥機がないと仕事ができず、地域産業に計り知れない影響を及ぼす」と危惧、生産現場の実情を踏まえた判断を北電に求めている。(山崎大和)



◎陣川町「Jバス」運行3カ月、利便性と経費削減模索

 函館市陣川町の陣川あさひ町会のコミュニティーバス「Jバス」の運行が間もなく3カ月を迎える。7月からは2カ月有効の回数券の期限を撤廃して利便性を高める一方、8月からは運行経路の変更や減便などで経費削減も本格化させる。今後、子どもの利用減が見込まれる夏休みを控え、地域住民の「足」は走りながら模索が続く。

 「いまのところ運賃収入で採算は取れているが、夏こそが正念場。てこ入れを図らなければ」。同町会のJバス運営委員長の上野山隆一さん(47)はこう語り、多くの住民の利用に胸をなでおろす半面、先行きに危機感も募らせる。

 同町会によると、運賃収入は21日現在、累計約140万円で、月51万円の採算ラインを辛うじて乗り切っている。6月からは町内のパークゴルフ場や商店でも乗車券の販売を開始し、新設された神山児童館を利用する小学生向けに4枚500円の割引乗車券の取り扱いも始めた。

 同町会が5月中旬に函館大学の学生と協力して実施した乗客向けのアンケート調査によると、特に大型店が並ぶ中央小前のバス停での乗降が集中した半面、巡回する美原3丁目や渡島総合振興局前の利用はほぼ無かった。

 このため、8月1日からは陣川地区と昭和営業所を産業道路回りで単純に往復するルートに変更。復路にあたる同振興局経由のルートを廃止することで、利用者に分かりやすく、多くの人が遠回りせずに帰ることができ、経費節減も見込めるという。

 また、アンケートでは利用者の6割が10代で、うち中学生が4割を占めたことから、落ち込みが予想される8月の夏休み期間中は、平日に1日2便程度減便させる。

 一方、利用者から「余って使い切れない」と要望の多かった2カ月有効の回数券の有効期限は撤廃し、7月1日から来年3月末までの試験運行期間中はいつでも使用できるように変更する。

 上野山さんは「乗客の利便性を高めながら、できるだけ経費を削ることが、持続可能なJバスに磨き上げる活路。厳しい時期に入るが、運行しながら利用を拡大する方法を探りたい」と話す。今後は渋滞回避のためのルート変更や温泉施設に向かう特別便の運行も検討している。(森健太郎)

 


◎函中部高と千代ヶ岱小、時任町会合同で防災訓練

 東日本大震災を教訓に、函館中部高校で27日、同校と函館千代ヶ岱小学校、時任町会防災部が合同で、地震と津波を想定した防災訓練を行った。合同訓練は今回が初めてで、的確に行動できる能力を育成することなどが狙い。児童・生徒、町会関係者ら約900人が参加し、緊急時の安全確保を学んだ。

 訓練は震度6の地震が発生し、津波警報が発令され、高さ12メートルの津波が25分後に到達するとの想定。生徒たちは「地震が発生しました」という校内放送を聞いて、机の下にしばらく身を隠した後、避難を開始。教職員らが誘導し、児童や地域住民は函館市の指定避難所となっている同校を小走りで目指した。教員が「速やかに避難を」と指示をし、参加者は3、4階に避難した。

 訓練を終えて、函館中部高校の小林雄司校長は「市の指定避難所となっていることを知ってもらい、何かあった時は本校に避難することを覚えてほしい。地域の人が避難した後、自分に何ができるのか確認し、行動してもらいたい」と述べ、参加者は迅速な行動の大切さを確認した。

 函館千代ヶ岱小学校の花田譲校長は「津波を想定した訓練は学校内でしていたが、学校の外に出ての訓練は初めてだった。児童たちも訓練に真剣に取り組み、3〜4分で移動することができた」、時任町会の寺地潔町会長も「いつ何があるかわからない。日ごろの訓練は大事」と話していた。函館中部高校は「今回の訓練で得た課題などをもとに、今後も地域と連携し、訓練を行っていきたい」と話していた。(平尾美陽子)


◎せたな方面で90・5センチのヒラメ

 函館の藤田雄一さんが25日朝、せたな方面でのルアーフィッシングで、90・5センチ、9・2キロのヒラメを釣り上げた。自身の最高記録を大幅に更新する超大物を手に、藤田さんは「今でも実感が沸かない。信じられない思い」と喜びをかみしめている。

 藤田さんは24日午後11時に足しげく通っているという同方面のポイントへ到着。5月上旬から釣行を始めた今季、既に40〜50センチのヒラメ2匹を釣っていた場所だ。「そこは60〜80センチの大物のヒット情報も入っている。必ず釣ってやるという気持ちでした」と振り返る。

 最初はワームで竿を出していたがアタリはなく、釣り場を行き来しながら好ポイントを探した。海も風も穏やかで、潮回りも良好というコンディション。50〜60メートル沖でアタリを探っていた25日午前3時過ぎ、ワームからメタルジグへと変えた。これまでも釣果を残してくれたというタックルハウス製「P─BOYジグキャスティング」(35グラム)。期待を託してキャストし、数回ほど獲物を誘った。

 その時、「ズドン」というアタリがあり、すかさず合わせた。初めての重量感に大物の予感を募らせ、少しずつ手前に寄せるがなかなか岸寄りしなかった。それでも確実に近付く獲物がヒラメ特有の首ふりを見せた時、「超大物を確信しました」。この後何度も潜られてしまうが、次第に弱ってきた獲物を慎重にタモ入れした。見たことのない「化け物」サイズに、興奮を隠すことができなかった。

 その後も午前6時ごろまで続けたが、獲物が気になって仕方がなく、北斗市七重浜の釣り具店「フィッシングショップ・インパクト」に持ち運んだところ、90・5センチ、9・2キロと分かった。これまでの過去最高は57センチ。これを33センチ上回る結果に、周囲の仲間や両親も「すご過ぎる」「格好いいよ」と祝福。藤田さんは「毎週頻繁にせたな方面へ通っていたかいがあったと思う。大満足しています」と喜び、「次はメーター超えですね」と意欲を新たにしている。(フィッシングショップ・インパクト)電話0138・48・7400。