2012年6月5日 (火) 掲載

◎五っしー売り込め

 函館の新名物なるか-。函館市五稜郭公園の野田貸ボート店の野田ゆみこさんは、五稜郭に生息するという設定で、コイ形の恐竜「五っしー」のキャラクターを考案。この春から、五っしーのデザインをあしらったTシャツを同店で販売している。すでに観光客らを中心に評判を呼んでいて、野田さんは「五っしーを主人公にした絵本も制作中。函館市民に愛されるキャラになれば」と意気込んでいる。

 野田さんは昨年から「誰もが仲良く、けんかをしない世の中になれば」と考え、愛と平和のシンボルとしてコイ形の恐竜を考案。幼い時から同ボート店に出入りする中、かつて戦場と化し、多くの戦死者を出した五稜郭の歴史に思いを託し、「現代も殺人事件や自殺者が絶えない。五っしーは、幸せに生きられなかった人が地上に戻って愛と平和を提供してくれるキャラ」と説明する。

 4月末から市内各所で五稜郭の堀を泳ぐ五っしーをあしらったタオルと名刺各2000枚を配布したほか、同店では黒やピンク、青など10色のTシャツも販売。観光客や子どもが喜んで買ってくれるという。

 今後は、五っしーの友人「イカめっしー」や家族ら別の登場人物も手掛け商品制作を本格化するほか、絵本の制作も急ぐ。野田さんは「函館と言えば五っしーと言われるように売り込んでいきたい」と力を込める。絵本のペンネームは「ワッカウシカムイ(水を司る神)」を考えているという。

 Tシャツは野田貸ボート店で販売中。子ども用1300円、大人用1500円。(長内 健)



◎エンデューロ今年で終了 コース設定が困難に

 【木古内】木古内町で毎年開かれているオフロードバイクの耐久レース「サバイバル2daysエンデューロIN木古内」の実行委は4日、16、17の両日に行う今年の第25回大会をもって、終了することを決めた。ライダーが望む大自然を生かしたコース設定が困難となったことが理由。全国各地からライダーが集結する人気のある大会だったが、28年の歴史に幕を下ろすことになった。

 大会は1985年にスタート。当初はオフロードバイクの愛好家らが主催していたが、町が運営に協力するようになり、全国的にも知名度を上げた。参加するライダーも年々増加。最も多い時で240人がエントリーした。その一方で、さまざまな規制のため、当初全長50キロのコースが40キロに変更を余儀なくされた。

 また、2010年には家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)の拡大で、11年は東日本大震災発生による出場者減少で開催を断念。今年は3年ぶりの大会だったが、5月の大雨と雪解けに伴う増水で国有林内の林道が崩落する被害があり、さらにコースを5キロ短縮した。

 この日、町役場で開かれた実行委で来年以降の開催の可否を協議。今後、大自然を生かしたコース設定が困難であること、それに伴い出場選手が減少していることから、大会の終了を決めた。

 今年は全国から104人のライダーがエントリーしており、道内をはじめ、遠くは奈良県など本州各地から選手が集合する。実行委では町のホームページなどで出場選手らに最後の大会となることを周知するという。

 実行委の工藤嗣美委員長は「本当に残念。25回も続けることができたのは、毎回参加してくれるライダーをはじめ、町や大会関係者のおかげ。感謝したい」と話した。(松宮一郎)



◎新駅開業 青森から学ぼう

 函館商工会議所や市などの関係団体でつくる北海道新幹線新函館開業対策推進機構は7月から、青森県の観光関係者らを講師に迎え、まちづくりの担い手養成講座を開講する。一昨年に新青森駅が開業した同県での先行事例を学び、2015年度の新函館(仮称)開業に向けた機運の盛り上げとともに青函両地域の連携を強めていく考え。同機構は現在、受講者を募集している。

 講座は「新幹線開業はこだて魅力創造ゼミナール」(通称・はこゼミ)と題し、7月11日から来年3月22日までの計12回開催。市内在住・在勤者で、地域の魅力づくりに興味のある人を対象に行う。

 講師には、大間町のまちおこしグループ「あおぞら組」の島康子さん、県内唯一の観光カリスマとして活動する津軽地吹雪会(五所川原市)の角田周さんをはじめ、同県内で観光振興に奮闘している10人を招く。

 はこゼミでは新青森駅開業に合わせ、現青森駅周辺にオープンした観光施設の取り組みや、市内の市場で提供しているご当地グルメ「のっけ丼」の成功事例、B級グルメを活用したまちおこしなどについて理解を深めてもらう。10月には青森への宿泊研修も行う予定。

 同機構が商工会議所の全会員事業所を対象に行ったアンケートでは、回答者の約6割が新函館駅開業に期待する一方、開業に備えて事業計画や経営強化策を見直した事業所は5・7%にとどまる。同機構は「函館の人は青森での取り組みを知らない。最も身近な青森の熱意ある取り組みを学ぶことで、函館の底上げにつながれば」と話し、受講を呼び掛けている。

 申し込みは通年参加する本科生(定員30人)と、1回ごとに受講する聴講生(受講料1人1回500円)の2種類で受け付けている。本科生は25日締め切り。問い合わせは商工会議所内の同機構TEL0138・23・1181。(千葉卓陽)


◎トラブル解決の一助に 法テラス八雲が開所

 【八雲】弁護士がいない地域の法的サービスの充実を目的に設置される、日本司法支援センター(通称・法テラス)の地域事務所(4号事務所)で、6月から業務を開始した「八雲法律事務所」(法テラス八雲、富士見町21)の開所式が4日、同所で行われた。関係者約30人が出席し、新たな拠点の誕生を祝った。

 同町にはこれまで弁護士1人がいたが、今年3月いっぱいで転居することが決まり、司法過疎を憂慮した函館弁護士会(室田則之会長)などの働きかけにより設置が決定した。4号事務所は全国に32カ所あり、法テラス八雲は全道で江差町の地域事務所に次いで2カ所目で、法的トラブルの解決に必要な情報の提供などをする。

 法テラス八雲は、森田了導弁護士(35)を新たに迎え、事務職員2名の計3人が午前9時から午後5時半までの業務に従事する。八雲駅近くの立地にあるビルの1階約90平方メートルに相談室2つなどを備えている。

 式では法テラス函館地方事務所の植松直所長が「地域に根差した公的サービスを充実させるには、皆さんの力が必要。支援と協力をたまわりたい」とあいさつ。森田弁護士ら5人がテープカットを行うなどした。

 道内勤務は初めてという森田弁護士は「最初は不安もあったが、町の人は穏やかで優しい人が多い。業務開始以降、数件の相談予約も寄せられている。これからは法テラスの業務内容をもっと知ってもらえるように努力していきたい」と意気込んだ。(小杉貴洋)


◎函館が起点 北海道一周 JRグループが来月からキャンペーン

 JRグループは地域と協力した観光キャンペーン「ディスティネーション・キャンペーン(DC)」を7〜9月、6年ぶりに北海道を対象に行う。急行「北海道一周号」を函館駅発着で運行するほか、函館とニセコ、札幌を結ぶ特急「ヌプリ号」がデビュー。道内各地で多様な企画を予定している。JR北海道函館支社は「道南は新幹線開業を控えており、弾みとなれば」と集客効果に期待する。

 DCはほぼ四半期ごとに全国各地で行っており、道内が対象となるのは4回目。前回は2006年の「はなたび北海道」で、期間中の来道者は約3956万人(前年比3・3%増)と大きな経済効果をもたらした。

 今回は「北海道にしかない新しい発見の旅」をテーマに、キャッチフレーズを「こころにくる旅。キュンと北海道」とした。期間中は全国のJR主要駅や列車内で道内旅行の宣伝ポスターなどを掲示する。

 北海道一周号は、7月1日のキャンペーンスタート日に函館駅を発車。同4日までの3泊4日の日程で、現在は運行されていない急行列車の愛称で函館—札幌—釧路—札幌—函館を巡る。急行名はニセコ号、狩勝号、大雪号、エルム号。旅行中の昼食は各地の名物駅弁で、宿泊は各地の宿泊施設となる。

 このほか道南関連では、8月6〜31日に函館—札幌間を急行ヌプリ号が運行。二次交通として、同期間に函館駅、木古内駅に接続する「ツインクルバス津軽海峡グルメ号」を、7月1日〜10月31日に函館や江差、木古内などを巡る「道南史跡めぐりバス」を運行する。またキャンペーン記念商品として、道内のフリーパスや「三連休おでかけパス」なども発売する。 同支社販売グループの白鳥里美さんは「道内一周号は今回だけの特別な列車。興味がある方はぜひ利用して」と話している。問い合わせ、申し込みは問い合わせはツインクルプラザ函館支店TEL0138・23・4436。(斎藤まや)