2012年6月8日 (金) 掲載

◎亀田川、後絶たぬ不法投棄

 函館市内を流れる亀田川の美化活動を行う市民グループ、亀田川をきれいにする市民の会(菅原康徳会長)は7日、市内富岡町の同川沿いで本年度最初の大掛かりな清掃活動をした。70リットル入りのビニール袋など約80袋分の他、ミニバイクなど粗大ごみを拾い集めたが、会員は後を絶たない不法投棄に困惑気味だ。

 この日は会員や清掃業者10人が午前9時半から午後3時ごろまで、中道橋から日の出橋までの川沿い約1`でごみを拾い集めた。この中にはミニバイクや自転車、タイヤ、寝具類などが見られた。

 この地域は今年5月上旬の大雨による増水で一時的に水かさが増し、上流からごみや流木、土砂が流された。水かさが減りだすにつれて川底や水中のごみが目立ち始め、急きょ清掃活動を行った。

 前会長で、現在顧問を務める石井満さん(73)は「今年は特にひどい」とため息をつく。川の増水で流れついたごみのほかに、明らかに不法投棄されたごみも散乱しているからだ。

 1995年の会創設以来、生活用水などで汚染された川は、地道な美化活動でサケが遡上するまできれいになったが、一方で、不法投棄も常態化していて、悩みの種となっている。今年は4月下旬の市のクリーン作戦を実施した後に、橋の上から捨てられたとみられる粗大ごみが見つかったという。

 同会は会員約120人で構成しているが、日中、自発的に川辺の清掃活動やパトロールをしている実働会員は石井さんら約20人で、そのほとんどが高齢者。石井さんは「自分自身も含めこの先、体力に不安を感じる。自発的にやる人がいなくなったら誰が川を守るのか。一ボランティアでは限界があるので、市民全体で川を守る体制をつくる必要がある」と話している。(鈴木 潤)



◎仏料理店がベルサイユサミットの晩さん再現

 函館市白鳥町17のフランス料理店「イリュージョン」は、1982年にフランスで開かれたベルサイユサミットの晩さん会で、実際に各国首脳が味わったコース料理を再現し、6月の1カ月間限定で提供している。鴨肉のローストや海の幸をふんだんに使ったスープなど、各国首脳が舌鼓を打った5皿を再現し、サミットならではの雰囲気と味を伝えている。。

 サミットは82年6月4〜6日にベルサイユ宮殿で開かれ、ミッテラン仏大統領やレーガン米大統領、鈴木善幸首相ら各国首脳が参加した。。

 オーナーシェフの岩城浩司さん(61)は、同サミットで料理総指揮官を務めたミシェル・パスケ氏と友人で、2008年には洞爺湖サミットに合わせて同サミットのメニューを提供。2年前にもパスケ氏をフランスから招いて、料理を再現している。今回は同サミットから30年が経過したことを記念し、これまで再現していないメニューを提供することにした。。

 メニューは3度あった晩さん会のうち、6月5、6日に実際に提供されたうちの5皿。「鯛とサーモンのモザイク仕立て」は魚や野菜をコンソメゼリーで固め、やわらかな食感が楽しめる。これに加えて、同店独自のオードブルが2皿付くほか、過去に提供した再現メニューを選ぶこともできる。。

 岩城さんはこれまで同様に、パスケ氏と電話やファクスで連絡を取り、メニューや盛り付けを教わった。「各国の首脳は食事にかける時間がなかったため、一品一品にボリュームがある。オードブルとともにゆっくり楽しんでほしい」と話している。。

 料金は1人1万円(税別)。昼10人、夜10人限定で、前日までの予約が必要。問い合わせは同店TEL0138-40-3703。(千葉卓陽)。

 写真説明 極上の食材を使った5皿が並ぶディナーと、提供する「イリュージョン」の岩城さん



◎北斗市議会、新駅名「北斗函館」の決議案提出へ

 【北斗】市議会北海道新幹線建設促進・地域振興調査特別委員会(水上務委員長)は12日開会の第2回定例市議会に、北海道新幹線「新函館駅(仮称)」の名称を「北斗函館駅」とすることをJR北海道など関係機関に求める決議案を提出する。最終日の15日に採決され、全会一致で可決される見通し。2015年度の開業まで4年を切り、今回の決議は、函館市との間の駅名論争にさらなる一石を投じる形となりそうだ。

 JR函館線渡島大野駅の東側に建設される「新函館駅」の名称は、1998年の北海道新幹線ルート公表時から、仮称として使用されている。

 しかし、北斗市誕生後の2006年3月、海老沢順三前市長が、駅所在地が函館市の行政区域外であることから、「北斗駅とすべき」と発言。同市議会でも議論が起こり、10年9月の特別委員会で、函館圏域として取り組んできた新幹線の誘致活動や、函館市の全国的な知名度も考慮し、「北斗函館駅」とすることを決定した。現特別委は、この決定を踏まえ、昨年11月から本会議への駅名決議案の提出時期を議論してきた。

 また、高谷寿峰市長は10年3月の市長就任後、駅名についての言及はしていない。高谷市長は7日、函館新聞の取材に「議会で決議されるとすれば、その内容は重く受け止める。JR北海道から駅名の照会があったわけではない。私自身の考え方は、しかるべき時期が来たら表明する」と述べ、これまでと同様、慎重な姿勢を崩さなかった。

 一方、函館市の工藤寿樹市長は今年3月の定例市議会で「最終的に函館を目指す利用者が大半。仮称とはいえ、広く周知されている新函館の名称が最も望ましい」と答弁。市企画部は「今の段階でJRへの要望など具体的な動きはないが、新函館が望ましいとするスタンスに変わりはない」と話す。

 函館市議会はこれまで、駅名にかかわる決議などは行っていない。ある市議は「北斗の立場も理解できるが、市民に対する説明も必要。新函館を求めて活動せざるを得ないのでは」との認識を示す。別の市議は「利用者がどこの駅なのか分からないのでは困る。『函館』が入っていればいいのでは」と北斗側の動きに寛容な姿勢をみせた。

 最終的な駅名決定権を持つJR北海道は「営業開始前には決めることになるが、自治体からの要望、意見を参考に十分に考慮した上で分かりやすい名称としたい」としている。(今井正一、千葉卓陽)


◎中国で函館観光PR、訪問団が帰国

 中国からの観光客誘致に向け、函館市や地元経済界の代表でつくる「中国観光客誘致訪問団」が7日、帰国した。訪問団副団長の能登谷公市議会議長は函館空港での取材に対し、上海の中国東方航空が函館へのチャーター便の運航に前向きな姿勢を示したことを明らかにした。

 今回の訪問団は団長の工藤寿樹市長や久保俊幸函館商工会議所副会頭、渡辺兼一函館国際観光コンベンション協会会長ら12人で、3日から4泊5日の日程で北京と上海の航空会社などを訪問。4日は北京で現地の旅行会社15社を招き、函館・近郊の観光名所や周遊コースを提案した。

 現地の航空会社には函館へのチャーター便の運航などを要請。訪問団によると、東方航空では「条件がそろえば函館にも飛ばしたい」との運航に積極的な回答もあったという。能登谷副団長は「中国での函館の認知度はまだ低い。原発事故の影響が尾を引いている」と話し、今後、現地のメディアや旅行関係者を函館に招くことも検討する。

 中国の訪日観光需要は原発事故の影響などで低迷が続くが、上海ではプライベート機を所有する富裕層も多く、「潜在的な需要は計り知れないと感じた」(能登谷副団長)。市は今後も成田や新千歳空港の定期便を使ったツアー拡充や定期的なトップセールスを行う方針。工藤市長は東京で所用があり、8日に函館に戻る予定。(森健太郎)


◎岩手一戸南小児童が来函、御所野縄文遺跡PR

 岩手県一戸町一戸南小学校(工藤茂夫校長、児童79人)の6年生18人が7日、修学旅行で来函し、市内各所で2015年度の世界遺産登録を目指す同町の御所野縄文遺跡をPRした。子どもたちは「一度一戸町に来てください」と話し、手作りのパンフレットを手渡した。

 同校は校区内に同遺跡があることから、1999年に児童3〜6年生でつくる御所野愛護少年団を結成、郷土に誇りを持ってもらおうと清掃や植樹などさまざまな活動をしている。修学旅行先でも代々遺跡をPRしており、今回は昨年に続いて2回目の函館入り。

 児童は見学場所の箱館奉行所、五稜郭タワーで一人一人手作りのパンフレットを配布。4000年前の同遺跡から土屋根住居が見つかったことや、「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」で岩手県唯一の遺跡であることなどを元気良く紹介していた。

 同少年団団長の田頭(でんどう)知樹君(11)は「御所野遺跡をもっと大勢の人たちに伝えたい。一人でも多くの人に足を運んでもらえたら」と期待。工藤校長は「世界遺産を目指す縄文遺跡群の市町村で、地元の子どもが情報発信しているところは他にない。今後も地域の宝をしっかり伝えていってほしい」と話していた。

 一行は8日、函館市西部地区や函館朝市を訪れ、帰路に就く。(長内 健)