2012年7月1日 (日) 掲載

◎解禁1カ月 スルメイカ好漁

 道南スルメイカ漁の解禁から1カ月となり、函館市内の店頭で潤沢に出回っている。漁獲量は平年並み、魚体のサイズは平年より大きく、取引価格も上々。本格的な観光シーズンで需要が高まるだけに、漁業関係者は「このまま漁が順調にいってほしい」と願いを込める。

 6月30日午前5時半。函館市水産物地方卸売市場(豊川町)でのいかすイカの競りは、休市前で買い気が強く、順調な荷動き。スルメイカの上場数量は普段より少ない15・5トン、いけすイカの卸値は1キロあたり1350〜1250円と高かった。

 はこだて自由市場(新川町)のイカ専門店「富田鮮魚店」の富田貞雄社長は「量があり、売り値は落ち着いている。売れ行きもいい」と説明。「今季のイカは既に胴長が20センチ以上あり、(盛漁期の)秋イカみたい。商売はこれからが本番」という。現在は、いけすイカを1皿(3、4匹)1000円で売る。

 市農林水産部によると、28日現在の同市場でのスルメイカ取扱量は213トンで、前年同期より101トン多い。全体の平均市場価格は1キロ当たり368円で同2円安。いけすイカは同919円で同211円高となり、サイズが大きいため引き合いが強い。

 漁場は松前沖が中心。函館市漁協(橘忠克組合長)によると、1日からは漁船に使うA重油(組合員価格)が前月より3・2円下がり1リットル当たり80円(税別)に。今月中旬以降には漁場が前浜(函館山沖)に移ってきて、燃油代も軽減される。同漁協は「8日のオンパクイベント・プレミアム朝イカ食べ放題では70人のキャンセル待ちが出るなど、需要の盛り上がりが出てきた。このままのペースで漁が続いてほしい」と願う。

 道総研函館水試(湯川町)の澤村正幸研究主任は「群れの北上が例年より遅れていた割には、6月の漁獲は悪くなかった。ただ、太平洋側の群れの北上も遅れている模様なので、太平洋側での漁獲の本格化はまだ先になるだろう」と話している。(山崎大和)



◎迫力のマグロ解体ショー…オンパク開幕

 湯の川温泉を舞台にした体験イベント「はこだて湯の川温泉泊覧会(オンパク)」が6月30日開幕した。オープニングは湯元啄木亭(湯川町1)で「マグロまつり」が行われ、参加者は解体ショーを間近で楽しみ、脂がたっぷりのったマグロを味わった。8日までの9日間、さまざまな体験プログラムが行われる。

 函館湯の川温泉旅館協同組合(22施設)などでつくる実行委の主催。この日は市民や宿泊客約70人が参加。マグロは松前産が捕れずに急きょ、南茅部産に変更。約90キロのクロマグロが用意され、解体ショーが行われた。市内の水産卸の佐藤商店の佐藤止昭社長らが豪快な包丁さばきでマグロをさばいていくと大きな歓声が上がった。

 解体されたマグロは調理場に運ばれ、そのまま丼に。参加者は旬の味覚を満喫した。また、松前町の温泉旅館矢野若女将、杉本夏子さんと湯の川の温泉旅館丸仙の佐藤綾子さん、青森県大間のまちづくりグループあおぞら組の島康子さんの3人による「マグロ女子トークショー」もあり、それぞれの土地で捕れるマグロをアピールした。

 湯の川温泉に宿泊している東京都の宇田川ひろ江さん(55)は「解体されたばかりのマグロは鮮度が良くて、とてもおいしかった」と笑顔で話していた。(松宮一郎)



◎高校野球支部代表に函大有斗、函高専、函大柏稜

 夏の甲子園につながる第94回全国高校野球選手権大会南北海道大会函館支部予選(道高野連など主催)は6月30日、函館市千代台町のオーシャンスタジアムで3ブロックの代表決定戦を行った。Aブロックは函大有斗(8年連続39回目)、Bブロックは函高専(18年ぶり3回目)、Cブロックは函大柏稜(4年ぶり4回目)が支部代表を手にした。3校は7月16日から札幌円山球場で行われる南北海道大会に出場する。(小林省悟)


◎「香雪団地音頭」で地域元気に 町会が独自に制作

 独自の音頭で地域を元気に─。函館市の香雪団地自治会(吉田敏浩会長)の合唱団「コール・レインボー」(曽山哲夫代表)が、8月の町内の祭りで披露する「香雪団地音頭」の制作を進めている。仲間同士の絆を深めようと歌詞や曲は全て町会員のオリジナル。6月25日には発案者の曽山さん(64)を中心に、おはやしつきの収録を行った。

 同自治会役員を務める傍ら、趣味で作曲・編曲活動をしている曽山さんが昨年末「地域の誰もが歌って踊れる音頭を創ろう」と提案。曽山さんや吉田会長(69)によると、「市内の町会で独自の音頭を制作しているのはかなり珍しい」という。

 曽山さんは今年1月、町内や自治会への思い、夢などをテーマに、歌詞の基となる句を募った。1カ月後、「萌える草木に意気もらえ」「つつじ桜紅葉の色に」など、季節感や自然の情景をうたった句が、町会員14人から寄せられた。

 その後、曽山さんは歌いやすく、親しみやすい曲を作った。妻の登美さん(62)は歌詞担当で、14人の句を生かしながら「つつじや野の花咲き競う」「エゾリス白樺青い空」「夜空の月も光添え」「吹雪に耐える松もみじ」と、季節ごとに歌詞4番まで手掛けた。

 自治会会館で行った収録では、同合唱団の中川正子さん(64)が独唱を、残る団員25人は「アソーレ」「アヨイショ」などとおはやしを歌った。会場には笑顔が広がり、中川さんは「とても歌いやすいし楽しい曲。早く祭りで披露したい」と笑顔。吉田会長も「本当にいい曲だ。参加者一人一人が互いのことを認め合ういい機会にもなっている」と歓迎する。

 7月上旬から、踊りが得意な町会員の協力で曲に合わせ踊りの振り付けを決めていく。教員として石川県金沢市の小学校に勤務していたころから、各学校でさまざまな音頭を創作していたという曽山さんは「みんなの思いを歌詞に込めると作品に愛着を持ってくれる。歌うこと、踊ることにうまい下手は関係ない。ここまでいい調子で仕上がっている」と自信を見せている。

 同自治会では練習を重ね、8月4日の港祭りでお披露目する予定だ。(長内 健)


◎節電の夏 熱中症に注意

 きょうから7月。電力不足の懸念から道内で節電が実施される今夏、市立函館保健所は過度な節電などによる熱中症の予防を呼びかけている。函館市内では例年、65歳以上の高齢者の救急搬送が目立っており、「喉がかわいていなくても、細めに水分補給して」と注意を促している。

 熱中症は気温や湿度が高かったり、日差しが強いときになりやすい。予防方法として▽水分・塩分の細めな補給▽直射日光を避ける▽体調管理▽通気性の良い衣服の着用—などが挙げられる。

 体温調節機能の劣る高齢者や幼児が発症しやすく、仮に熱中症になった場合は▽涼しい場所に避難させる▽衣服を脱がせるなどして体を冷やす—などを応急処置として行う。

 市消防本部によると、昨年市内で熱中症またはその疑いで救急搬送された人は57人(男31、女26)で、このうち25人が高齢者だった。月別にみると、7月が21件、8月は29件と気温の高くなる時期に集中。猛暑だった一昨年は53人(男29、女24)が搬送され、高齢者は33人と半数以上に上っている。

 18歳未満の子どもは例年高齢者より少ないが、昨年は市内小学校で体育の授業を終えた児童12人が熱中症とみられる症状で病院に搬送されている。体育館の温度、湿度の高さなどが原因とされており、子どもも十分注意する必要がある。

 市が公表した「節電行動計画」(9月28日までの約3カ月間)では、病院や高齢者施設は原則対象外となっているが、ほかの施設では空調の停止を行うため、体調管理に気を配ることが大切だ。

 札幌管区気象台によると、道内の向こう3カ月(7〜9月)の天候は平均気温、降水量とも平年並みと予想している。(後藤 真)