2012年7月11日 (水) 掲載

◎仕入れ値“うなぎ”上り 稚魚不漁で市内専門店など悲鳴

 ウナギの価格が高騰している。稚魚のシラスウナギが不漁のためだ。函館市内の料理店や小売店は、取引価格高騰に伴い今年から商品の値上げに踏み切った。「土用の丑(うし)の日」(27日)を控え需要最盛期だが、関係者は「客離れを考えると今の価格が限界。これ以上は値上げできない」と口をそろえる。

 「不採算だから本当はもっと値上げしたい。けど、これ以上価格を引き上げれば顧客が来なくなる」。函館市本町32のうなぎ料理専門店「鯉之助」の中里拓二社長(62)はこう話す。

 1953年創業の同店は市内随一の老舗で、ウナギは鹿児島と静岡産の一級品を使っている。仕入れ値は昨年まで1キロ約3000円だったが、今年に入り倍近い5000円台に跳ね上がった。1月から、人気の「並うな重セット」をはじめ、うなぎ全メニューを約800〜1200円の幅で初めて値上げしたが、「食べに来なくなった人もいる」と中里社長。

 同店の夏の売り上げは年間の約3分の1とあって、今は書き入れ時だ。中里社長は「これ以上仕入れ値が高騰しないことを祈るしかない。お客様には今まで通り自慢の味を提供できるよう努める」と意識を新たにする。

 五稜郭町24の「うなぎ処高はし」(高橋光一店長)も、今年1月から丼や定食などの価格を最大600円引き上げた。高橋店長(65)は「正直値上げせざるを得ないのが現状。お客様は事情を理解してくれているので、さらに高騰が続かないよう願う」と深刻だ。

 市内の小売店も客離れを懸念している。スーパーアークス港町店(港町1)では、鹿児島産のかば焼きを大小別でそれぞれ470円、700円値上げ。この半年間の売り上げは例年に比べ半減したという。今夏はより安価な中国産、アナゴのかば焼きの売れ行きが目立つといい、担当者は「うなぎの7月の売り上げは例年の約7割と見ている。後は別の食料品でカバーしたい」としている。(長内 健)



◎岩手県人会 先祖の冥福を祈る

 函館岩手県人会(南部知正会長)は8日、函館市船見町にある南部藩士の墓地へお参りした。毎年この時期欠かさず行っており、今年は会員20人が参列。江戸時代後期、北方警備の幕命に身をささげた先祖の冥福を祈った。

 江戸幕府が蝦夷地を直轄化した19世紀、南部藩士は箱館に陣屋を設け、極寒に耐え忍びながら警備の任に当たった。しかし箱館府設置に伴い帰藩が始まる明治維新までの間、病に倒れた藩士は数知れず、死体は各地に散らばった。この墓地は岩手県南部史跡保存会が1937(昭和12)年、12人の遺体を現在地にまとめて建てた。同県人会では少なくとも30年以上墓参を続けているという。

 会員はこの日午前8時ごろから墓石や墓碑、骨堂、灯篭付近で草刈りやごみ拾いをした。その後焼香し、全員で手を合わせた。

 南部会長(65)は「南部藩士は津軽藩士とともに中央政権から半ば虐げられた一族だが、海を隔てた北の大地で立派にお役目を果たしたのでは」と語り「ご先祖も函館の礎を築いた。墓参も大切だが、こうした歴史を後世に少しでも伝えていきたい」と感慨を新たにしていた。(長内 健)



◎河野氏が出馬表明

 【森】元道議会議員の河野光彦氏(71)が10日、任期満了に伴う森町長選(10月9日告示、同14日投開票)に立候補することを表明した。所属する新党大地に公認申請する考え。函館新聞の取材に河野氏は「道議の経験を生かし、森町のために力を注いでほしいという町民の声に応えたい」と話している。

 河野氏は1940年、森町出身。79年から森町議を1期務め、99年、旧渡島支庁区から道議選に立候補し初当選。2003年8月、2期目の任期途中で辞職した。

 河野氏は「笑顔で暮らせる森町」を掲げ、産業振興に重点を置いた訴えを展開したい考え。「基幹産業の水産業を守るために、海の環境を良くする河川改修に力を注ぎたい。農業も盛んで道内でも恵まれた気候環境がある。小規模でも工夫した取り組みをしている農家への支援を行い、経済活性へとつなげたい」と話している。

 同町長選には前副町長の増田裕司氏(59)が立候補の意向を示しているほか、現職の佐藤克男町長(62)の再選出馬が見込まれている。(今井正一)


◎北斗市議会総務常任委 下旬から市防災会議招集

 【北斗】市議会総務常任委員会(三浦利明委員長)が10日、開かれた。道が示した巨大地震による大津波を想定した津波浸水予測図を受けて、市の防災対策の進ちょく状況を報告。7月下旬から11月にかけて市防災会議を招集し、大津波を想定した地域防災計画を策定するスケジュールを示した。

 市は、道が示した最大級の津波と、従来クラスの2段階で対策を講じる方針。避難対象区域は、市街地では最大クラスの場合は、おおむね沿岸部から函館江差自動車道の間の全域、従来クラスでは、JR江差線以南の範囲を設定。市は「浸水範囲より広めに設定した」と説明した。

 また、市の対策本部設置の基準を見直し、現行の「震度6弱以上の地震発生」「大津波警報の発令時」などから、今後は「震度5弱以上」「津波警報発令時」と基準を引き上げ、職員の非常配備基準も変更する。住民への避難勧告は、到達まで数時間を要する津波警報発令時に、避難指示は、予想される津波の規模で対象地域を分けて発令する考えを示した。

 一方、市は同日から、住民説明会を開始。茂辺地住民センターには、茂辺地町内会(山本昭宣会長)から約60人が参加した。市は、矢不来天満宮など最寄りの高台を示し、町内会が策定する地域津波避難計画に、安全な避難経路を検討するよう促した。

 茂辺地地区の最大水位は示されていないが、工藤実総務課長は「最大級の津波が来た場合は、地形から当別の10・4メートルと同等と考えてほしい」とし、普段から自宅での対策や近隣住民と協力する自助、共助の役割を強調した。

 山本会長(68)は「自主防災組織を立ち上げたが、要援護者対策が課題。茂辺地町内会は組織率も高く、行動を取りやすい。いま一度危機感を持ってもらうよう取り組みたい」と話していた。(今井正一)


◎新卒高校生の雇用を

 函館公共職業安定所などは10日、来春高校を卒業する生徒の求人を要請するため、管内の主要経済団体への訪問を始めた。団体の代表者に文書を手渡し、地元の生徒の積極雇用と採用枠拡大の協力を求めた。

 高校生の就職活動は9月に選考が解禁される。要請活動は同職安と渡島総合振興局、渡島教育局、函館市、北斗市など行政機関が連携して毎年この時期に行っている。今年3月の管内の高校卒業者の就職状況は、3月末時点で就職希望者915人に対し、就職者数が787人で、就職率は86%。過去10年では2番目に高かった。

 この日は函館建設業協会と函館法人会、函館市亀田商工会を訪問。そのうち函館建設業協会には同職安の岡田克也所長をはじめ、渡島総合振興局の冨高健伯産業振興部長、渡島教育局の浅井真介次長、函館市の平井等経済部長らが訪れた。

 建設業協会では岡田所長が要請文を読み上げ、森川基嗣会長に手渡した。岡田所長は「雇用情勢は回復傾向となっているものの、厳しさは続いている」とし、「1件でも多く求人をお願いしたい」と協力を要請。森川会長は「建設業界自体が高齢化しており、もっと若い人を入れていかなければならない」と話した。

 12日は函館商工会議所と函館湯の川温泉旅館協同組合、中小企業家同友会函館支部を訪問する。