2012年7月14日 (土) 掲載

◎「盆の入り」先祖を供養

 函館で一足早く訪れる「盆の入り」の13日、市内の墓地や寺院などでは先祖を供養するため、多くの家族連れなどが墓参りに訪れて、冥福を祈った。

 一般的なお盆は8月13日だが、市内では新暦の7月に仏事を行う伝統がある。

 東山町の東山墓園には、朝早くから大勢の人たちが足を運び、「今年も来たよ」「暑かったでしょう」などと墓石に水をかけ、花などをお供えした。線香に火をつけ、読経の声が響く中、静かに手を合わせていた。

 市内北美原から夫婦で墓参りに来た安田節子さん(67)は「亡くなった家族を慰めるために毎年来ている。元気な顔を見せることが大事。安らかに眠っていてもらいたい」と話していた。(柏渕祐二)



◎ラベンダー見ごろ

 【森】園芸農園「波多野エクスバレーガーデン」(森町上台町363、波多野勝彦代表)で、約1万株のラベンダーが見ごろを迎えている。紫のかわいらしい花のつぼみが膨らみ始め、風でたなびくたびに周囲には甘い香りが漂っている。

 ラベンダー畑は駒ケ岳を眺めることのできる丘の約3000平方bに広がる。毎年、近郊のリピーター客、本州からの観光客も多く訪れる。波多野さん(57)は「例年より10日ほど遅れたが、今年は色づきがいい。つぼみが開きだしたので、今が花摘みには最高の時期」と話す。ラベンダー摘みは8月初めごろまで楽しめる見通しだ。

 今年春からは、上川管内美瑛町の友人から譲り受けた10万粒の種で新品種の栽培を始めた。波多野さんは「来年でラベンダーの花摘みは30年目。白やピンクといった違った品種のラベンダーを楽しんでもらえるよう取り組んでいる」と話していた。

 ラベンダーの花摘みは1袋500円、花株も販売。営業時間は午前9時から午後5時まで。問い合わせは同園TEL01374-2-6441。(今井正一)



◎桧山振興局、観光経済効果額算出へ独自のプログラムづくり進む

 【江差】桧山振興局(山崎峰男局長)は、観光に特化した道南圏の経済波及効果を分析する計算プログラムづくりを進めている。イベントの来場者数から、独自の計算式で推定効果額をはじき出すシステム。関係者は「目安の一つとして各種PRや施策に活用してもらえるよう、理論を組み込んで精度の高いものを仕上げたい」としている。

 道の経済波及効果分析は、本庁の専門部署で研究されているが、観光面に焦点を当てた計算プログラムは現在ない。各地で観光協会や商工会などが大掛かりな催しを繰り広げることから、経済効果を把握して活動の充実を図りたいという要望も少なくないという。

 これを受け、桧山振興局では、この春に赴任した地域政策課の原田吉信さん(37)がプログラムづくりに着手。一般的な経済効果をはじき出す計算式は複雑で、原田さんは本庁で専門職に携わった経験を生かして研究に励んでいる。

 原田さんの計算式は、道のノウハウを最大限に活用。道観光産業経済効果調査委の消費額(全道平均)に人数を掛けて出た数値から、地元で生産できないガソリンなどの各項目を考慮し、公表資料を基に道南全体での影響を見極める。

 桧山で最大級の集客を誇る姥神大神宮渡御祭の場合、4万人前後(江差観光コンベンション協会発表)の集客があり、宿泊・日帰り客の消費単価平均で現段階の計算式に当てはめた場合、最大4億円の経済効果があるとみる。7、8の両日実施した江差かもめ島まつり(3万人、同協会発表)では来場者を日帰り客とみて計算し、約1億円の経済効果だった。

 観光事業の経済効果を民間のシンクタンクに委託する場合は、100万円単位の経費と調査時間が必要になる。主催者側の経済負担は大きく、「専門機関に依頼せず、おおよその額を経済効果とする雰囲気がある」(関係者)と根拠に基づく経済効果を見いだせずにいたのが現状だという。

 原田さんは「容易に推定値が出る理論計算の確立で費用対効果や効率的なPRに生かすことができれば、一層の地域活性化が期待できる」。山崎局長は「地域を応援する職員の知恵と努力が確実に成果をもたらしてくれるはず」と期待する。計算式は秋にも完成する見通しで、道内各地での提供を検討したいという。(田中陽介)


◎魚長石川店、9月末閉店

 スーパー魚長(函館市西桔梗町)は、石川町の食品スーパー「フレッシュバザール魚長」を9月末で閉店する。同社最大の売り場面積を誇る店舗だが、競合による売り上げ不振が響き、営業継続が困難と判断した。同社は市内・近郊でほかに19店を展開しているが、「今後もさらに不採算店舗の集約を図っていく」としている。

 同店は2009年4月、家電量販店が入居していた商業ビル1階に進出した。売り場面積は2393平方b。周辺は住宅街で、産業道路や函館新道に面し、アクセスの良さから商圏が広い一方、競合するスーパーも多い。年内には石川町にコープさっぽろの新店舗開店が控えているなど集客競争も激しい。

 同店では売上高の目標を18億円としていたが、09年が14億5000万円、10年は12億5000万円、11年は11億円と振るわなかった。同社では「売り場面積が広く、新たな挑戦という位置付けの店舗だったが、商環境の大きな変化があり、当初の売り上げ目標を達成できなかった」と話した。

 パートやアルバイトの従業員46人は提携するスーパーへの移籍などで調整しているという。入居している生花店やクリーニング店は営業を継続するほか、12月に100円ショップ、来春にスポーツ用品店が入居する予定。

 子どもを連れて買い物に訪れていた30代の主婦は「ビルには玩具店もあり、買い物には便利だったので閉店は残念」と話していた。(松宮一郎)


◎函館市功労者に南木、高島さん

 函館市は13日、2012年度の市功労者に函館土地家屋調査士会顧問の南木哲雄氏(67)と、えさん漁業協同組合代表理事組合長の高島武俊氏(67)の2人が決まったと発表した。表彰式は8月1日午前9時半から、市民会館小ホールで開かれる。

 市功労者表彰は1939(昭和14)年から始まり、今年で64回目。市の産業経済や保健福祉、防災などに長年にわたり貢献した公益功労者が対象となる。

 南木氏は同会の常任理事や副会長を歴任後、99年に会長に就任。88年に函館地方法務局が行った地図作成モデル事業では、公法上の境界を特定するための筆界確定率を向上させるなど、土地建物の調査、測量、登記に関する業界発展に貢献した。今年5月には黄綬褒章を受章している。

 高島氏は長年漁業をしながら、96年に尻岸内漁協の理事に就任。長年の懸案だった旧恵山町内の4漁協の合併に尽力し、03年に合併後のえさん漁協組合長に就任。椴法華漁協の編入合併実現や、コンブ養殖施設の整備に取り組むなどの功績を残した。昨年、道産業貢献賞を受賞している。

 9日に表彰審議委員会を開いて受賞者を決定した。受賞者は2人を加え、個人610人、10団体となる。(千葉卓陽)