2012年7月15日 (日) 掲載

◎犠牲者の冥福祈る 函館空襲慰霊祭

 函館空襲の第24回慰霊祭(函館空襲を記録する会主催)が14日、函館市船見町の称名寺で開かれた。遺族や関係者など15人が参列。1945年7月14、15日、函館市の西部地区や戸井地区などを爆撃した函館空襲の犠牲者の霊を慰め、戦争の記憶を風化させない決意を新たにした。

 境内にある「第二次世界大戦函館空襲戦災跡地戦災者慰霊碑」の碑文が朗読され、同寺の須藤隆仙住職が読経する中、参列者は焼香した。浅利代表(81)は追悼の辞として「戦争で亡くなった人から学び、私たちの義務としている、考えること、愛すること、奉仕することの3つを大切にし、世界の核兵器廃絶に向け努力していきたい」と誓いを述べた。

 父を函館空襲で亡くした千葉県在往の、松本絹子さん(81)は「『平和』ほど良い言葉は無いと思う。3度目ぐらいの参列だが、この思いがあらたまる」と話していた。(山崎純一)



◎料理や衣装ロシア堪能 極東大でまつり

 ロシア極東大学函館校の学校祭「第15回はこだてロシアまつり」が14日、同校で行われた。ロシア語教室や人形劇などが開かれ、大勢の市民や観光客でにぎわった。

 恒例のロシア料理レストランではスープ「ボルシチ」、豚肉を炭火で焼いた「シャシリク」などが並び、開店と同時に列ができる盛況ぶり。ステージではカラオケが行われ、学生や市民がロシアの歌で会場を盛り上げた。

 このほかロシアの民族衣装を着て撮影できるコーナーやマトリョーシカなど民芸品販売コーナーなども設置。今年のテーマ「森のロシア、海の日本」を取り入れたパネル展や宮城県気仙沼市で20年以上植林活動に取り組むNPO法人「森は海の恋人」の畠山重篤理事長による講演会が開かれ、さまざまな分野でロシア文化に親しんだ。

 小樽から観光で訪れた山本和馬さん(53)は「函館でロシア料理を食べるとは思わなかった。香ばしいシャシリクと一緒にビールが飲みたくなった」と笑顔で話していた。(平尾美陽子)



◎若い力で大門盛況 合同学生祭

 函館市内の大学生が企画・運営する「第1回大門合同学生祭」(函館新聞社など後援)の初日が14日、大門グリーンプラザで開かれた。今年から名称を「大門祭」から改称。毎年恒例のイカそうめん早食い選手権や学生によるヨサコイソーランの披露などさまざまなイベントが行われ、若いエネルギーが大門地区をにぎわせた。15日まで。

 市内の大学生らでつくる実行委の主催。駅前・大門地区の活性化を目的に2001年度から毎年開催している。今年から学生間の交流を深め、学生の力でより地域を活性化させようと模擬店も学生が運営した。

 この日は天気に恵まれ、恒例のイカそうめん早食い選手権には小学生から60代までの24人が参加。しょうゆで味付けしたイカを勢いよく食べ、中には5秒足らずで完食する参加者もいるなど、会場は大いに盛り上がった。

 このほか、今年から新たに企画したあみだくじなどで運試しをする「ラッキーパーソン選手権」には16人が参加し、優勝者には景品が贈られた。初日の最後にはヨサコイソーランチームの「函館学生連合〜息吹〜」が特設ステージで華麗な演舞を披露し、観客を魅了した。

 早食い選手権に家族3人で参加した安田真衣さん(高盛小6年)は「初めて参加して負けちゃったけど、ママが勝ったからよかった。イカがすごくおいしかった」と満足そうに話していた。

 最終日の15日も同プラザを会場にし、イカそうめんの早食い選手権などが行われる。(後藤 真)


◎800人 先端医療学ぶ 函館で脳神経外科学会

 第15回日本病院脳神経外科学会(日本病院脳神経外科協会主催)が14日、函館市大手町の函館国際ホテルで始まった。全国各地から脳神経外科診療施設の専門職ら約800人が出席し、シンポジウムやセミナーなどで先端の知識や取り組みを学んでいる。15日まで。

 1998年から毎年全国各地で開いていて、函館は初開催。函館脳神経外科病院(神山)の西谷幹雄理事長が学会長を務め、同病院が事務局を担当し、準備を進めてきた。

 今回は「思いやりの心とチーム医療〜安全・良質・高度な脳神経外科医療を目指して〜」をスローガンに掲げ、2日間で脳神経外科手術や医療安全、リハビリテーションなどをテーマに講演会やセミナーなどを行う。

 開会式で西谷学会長が「技術、知識があっても思いやりの心が何より大切だと思い、スローガンとした。活発で有意義な討論をしてほしい」とあいさつ。

 その後、8会場に分かれて、セミナーなどが開かれ、出席者は自分の専門分野にかかわる講演などを聴講していた。

 「療養環境と患者サービス」をテーマとしたシンポジウムでは、看護師やメディカルコンシェルジュ、医療メディエーターら5人の専門職が自院での取り組みを発表。函館市内の高橋病院(元町)の高橋肇理事長はIT(情報技術)を活用したベットサイドシステムや退院支援、介護予防などの取り組みを紹介し、「今、地場産業を活用した、患者の生活支援や介護予防に重点を置いている。ヒューマンネットワークを補完する形でITを取り入れている」と述べた。

 学会は15日も同ホテルで開かれ、午後2時半から市民向けの公開講座「脳を知り、脳を守る」を開講。中村記念病院(札幌)の大里俊明医師と札幌医大の島本和明学長、同大の端和夫名誉教授、デューク大学(米国)の福島孝徳教授ら4人が脳疾患の治療や予防をテーマに講演する。公開講座は聴講無料。(鈴木 潤)


◎SL函館大沼号 汽笛響かせ出発

 「SL函館大沼号」の夏季運転が14日、始まった。家族連れや鉄道ファンを乗せた列車は函館─森間を一往復した。

 JR北海道が2001年から春の大型連休と夏休み期間中に運行。国産タンク機関車C11形がレトロな車両をけん引し、道南路を走行する。車両は戦後間もないころから活躍しているものもあり、車掌は黒の詰襟の制服で乗務するなど、観光列車らしい演出がされている。

 この日の函館駅では、発車前に蒸気機関車(SL)をバックに記念写真を楽しむ親子らが見られた。定刻の午前8時54分に大きな汽笛を響かせ、滑り出すように出発した。祖父と乗車した函館市昭和の川越恵ちゃん(4)は「シュシュという音がカッコいい」と笑顔。機関士を務めたJR北海道函館運輸所の佐々木裕二さん(50)は「北海道新幹線の建設が進む渡島大野駅からしばらく進むと、昔からまったく変わらない大沼の自然が目に飛び込む。ぜひ楽しんで」と呼び掛けていた。

 運転日は15、16、21、22日と、7月28日から8月5日までの毎日。予約などに関する問い合わせはJR北海道予約センターTEL0138・23・4436。(山崎純一)