2012年7月16日 (月) 掲載

◎函館港花火大会、夏の夜空に大輪

 函館新聞社主催の第16回函館港花火大会が15日夜、函館市内の函館港豊川ふ頭を主会場に開かれた。約3000発の花火が打ち上げられ、光の大輪が夏の夜空を鮮やかに彩り、大勢の来場者を魅了した。

 同社の創刊と「海の日」の制定を記念して1997年から毎年開催している花火大会で、函館・道南の夏を告げる風物詩に定着している。

 「リスタート」「明日へ」の2部構成で、趣向を凝らした全14プログラムが行われ、冒頭、同社の小笠原金哉社長が「心を一つを合言葉に皆が楽しめるプログラムを用意した。今年も無事開催できたことに感謝申し上げます」とあいさつ。来場者のカウントダウンに合わせて1部のプログラムがスタート。6号から10号の大玉が次々と打ち上げられ、水中花火と洋上の打ち上げ花火が融合したプログラムや動物をかたどった仕掛け花火など音と光が織りなす夜空のステージに客席からは何度も歓声が上がっていた。

 2部も花火と音楽のタイミングを合わせたデジタルリンクスターマインのプログラムなどが行われ、最後は、緑の島と洋上などから約4分間にわたり花火が打ち上げられ、フィナーレをダイナミックに飾った。

 大会には約6万人(主催者発表)の観客が来場。大会の様子は「FMいるか」が生中継した。また、開催前には、青函連絡記念館「摩周丸」前の特設会場で地元アマチュアバンドなどによるライブ「ハコダテサウンド・シーポートブルースライブ2012」が開かれた。(鈴木 潤)



◎西洋ネギのリーキ栽培法確立へ研究、道南農試

 【北斗】道総研道南農試(北斗市本町)は、洋風料理に使われるリーキ(西洋ネギ)の栽培技術の開発を進めている。道南で栽培が盛んな長ネギの技術を応用でき、国内生産も少ない点に着目。函館に根付く洋食文化に合う西洋野菜として特産化を目指す。

 地中海原産のネギの一種。軟白部を食べ、直径は長ネギの約2倍。太い方が高値で取引される。欧米では、スープなどの煮込み料理に使うのが一般的で、加熱すると強い甘みと、とろみが出る。

 道南では長ネギで実績があるため比較的容易に取り組める。また、晩秋(10月末〜11月)に収穫するため温暖な道南が栽培適地で、長ネギと出荷作業が競合しない利点がある。

 同農試は2011年度から3カ年計画で、品種特性や栽培法、機能性を明らかにする。研究主任の富沢ゆい子さん、植野玲一郎さんが中心となり、試験圃場(ほじょう)約4アールで2品種を比較栽培するほか、保温資材の有無や株間、管理のしやすい植え方、土を盛る回数・盛り方を検討。効果的・効率的な施肥量や時期も調査している。

 機能性の研究では、お腹の調子を整えるフラクトオリゴ糖やイヌリンを長ネギより多く含むとされ、何倍高いかを調べる。販売期間を長くするため貯蔵試験も行う。

 これまでに作ったリーキは、函館など地元のレストランやホテルに無償で提供し、プロの料理人に使ってもらった。富沢さんは「食材として魅力があり、購入意欲もあることが分かった。地元での潜在需要は高い」と手応えを話す。今年初めて北斗市と今金町の農家2戸でも試験栽培しており、秋に出荷予定。

 同農試は「長ネギと同等かそれ以上の収入確保が目標。農家経営の安定につなげたい」としている。

 国内で流通するリーキはベルギー、オーストラリア、ニュージーランド、オランダ産がほとんど。輸入量は約320トン(11年)。輸入品の店頭価格は1本400〜500円。道内では北見、上川、十勝、後志管内で生産実績がある。(山崎大和)



◎函水高生徒有志が新島襄の寸劇

 同志社大(京都)を興した新島襄(1843〜1890年)が国外脱出を決行した海外渡航の地碑前(函館市大町)で15日、函館水産高校(三ッ石茂之校長)の生徒有志5人による寸劇「新島襄と仲間たち」が行われた。生徒は外へ向かっていった新島の志を心に刻み、元気よく披露。見守った市民に「函館と同志社との関係がさらに深まれば」とアピールした。

 市内西部地区のまち興しグループ「笑福七福神祭実行委」(井上清美委員長)と「チンドン屋遊源会社大黒笑事」(嶋崎正雄代表)の主催。海の日記念で、今年で6回目。毎年、同校生徒が衣装や道具を受け継ぎ、伝統を守っている。

 キャストは、新島に齋藤美帆さん(品質管理流通科2年)、新島の妻八重に鹿子畑(かごはた)さきさん(同)、澤辺琢磨に小松丈一郎君(同)、福士卯之吉(のち成豊)に長瀬ちひろさん(同)、帰国後の新島に山田佳明君(同3年)。演技指導する我妻雅夫教諭が成豊を演じた。

 別れの杯、逃避行、再会の3部作。再会シーンでは新島夫妻が函館に立ち寄り、碑の表面に刻まれている漢詩「男児志を決して千里を馳す…」を声高らかに朗詠した。

 市が今年、同志社に医学部開設を打診したことや、来年のNHK大河ドラマ「八重の桜」放映を控え「函館と同志社の結び付きを一層強めていきたい」と宣言した。

 齋藤さんは「緊張して声が小さくなってしまったが、練習の成果を出し切れたと思う」と安堵(あんど)の表情。三ッ石校長は「年々声や振り付けが大きくなるなど、確実に上達している。先輩が築いた伝統を引き継いでいきたい」と話していた。

 寸劇後、函館漁港(入舟町)で、恒例の七福神海上安全大漁祈願祭も開かれ、同校生徒らが七福神の衣装を身に付けて木造和船「七福神丸」に乗船。港内を回った後、平石造船所前で紅白餅約500個をまき、豊漁などを祈った。(山崎大和)


◎ギリヤークさん鎮魂の舞

 函館出身の大道芸人、ギリヤーク尼ケ崎さん(81)の青空舞踊函館公演が15日、松風町の大門グリーンプラザで行われた。東日本大震災の犠牲者への鎮魂の思いを込めた踊りを披露した。

 この日は広場に大勢の観客が集まり、ギリャークさんを囲むように円形ステージ≠ェ出来上がった。顔に白塗り、赤い長襦袢(じゅばん)姿で踊りだすと、大きな歓声が上がった。

 演目は「じょんがら一代」など。途中で観客を舞台に引き入れ、一緒に踊るとひときわ大きな拍手が起こった。最後の「念仏じょんがら」では、数珠を振り回しながら、激しい動きを繰り広げ、鎮魂の思いを表現した。踊りを初めて見たという日吉町の宮原ナンさん(78)は「動きに迫力があり、とても素晴らしかった」と感激した様子だった。

 昨年に続き今年5月にも宮城県気仙沼市などの被災地で鎮魂の舞を披露した。「今度は被災者を元気づけるためにもまた踊りに行く」という。「7年後は活動50周年。体はボロボロだけれど、その日まで踊り続けたい」と話していた。(松宮一郎)


◎函館競馬場最終日、レースに歓声

 函館競馬場(駒場町)で開かれていた、日本中央競馬会(JRA)「北海道シリーズ」函館競馬が15日、全日程を終了した。最終日は1万4600人が来場。競走馬たちの走りを名残惜しみながら、最後の歓声を上げていた。

 今年は6月9日に開幕。例年より2週短い6週間の開催となり、毎週土、日曜日の12日間に144レースを行った。7月14日には武豊騎手が参戦したほか、お笑いタレントやキャラクターショー、グルメイベントが開かれ、連日、家族連れでにぎわった。最終日は全レース終了後、芝コースの一部が開放され、ファンは余韻を楽しんだ。

 期間中の入場者は8万5761人で、1日平均は7147人。昨年は16日間で10万3859人で、1日平均では656人の増加、またリニューアル前の2008年の1日平均6772人よりも上回った。同競馬場によると前半の来場者は伸び悩んだが、気温の上昇とともに人数も増してきたという。

 函館市湯川町の会社員、渡辺徳昭さん(35)は「6週間は短く感じた。来年はぜひ8週間で開いてほしい」と話していた。(山崎純一)