2012年7月17日 (火) 掲載

◎2メートルの「武将」がPR 姥神大神宮渡御祭「ぜひ来て」

 8月9〜11日に江差町で開催される「江差姥神大神宮渡御祭」をPRしようと、函館空港国内線ターミナルビル1階中央ホールに同祭で披露する山車人形が展示された。高さ約2メートル、重さ1トン弱という大迫力に空港利用者が見入っている。

 同祭実行委と江差観光コンベンション協会が昨年に続いて設置。普段は江差町で保管しているが、祭りのPRのために移動させた。

 人形は江差町本町の山車「清正山」のもので、武勇や建築の神などと称される安土桃山時代の武将、加藤清正がモチーフ。鎧をまとい、やりを持っている。1952年に町民が製作し、修復を経て現在に至っているという。設置は8月4日まで。

 このほか、展示コーナーには祭りのプログラムや山車の巡行コース、13台の山車を紹介するチラシなどを配布。過去の祭りの様子も放映する予定という。

 同空港は「迫力満点の山車人形はこのほかにもすべての山車に乗っている。ぜひ祭りに足を運び楽しんで」と話している。(後藤 真)



◎道南の温泉極めよう コンシェルジュセンターが旅本発売

 着地型観光に向けた旅行プログラムを企画、開発している函館コンシェルジュセンター(東雲町)は、道南の温泉や食を紹介する情報誌「函館おんせん旅本」を発売した。日帰り入浴できる62カ所を掲載したほか、湯巡りスタンプラリーや割引券も付いた、お得な1冊。同センターは「地元の一押し情報が満載です」とPRしている。

 道南18市町が広域観光圏の形成を目指す「はこだて観光圏」事業の一環で、函館市のチャレンジ補助金を活用して作成。道南全体を5つのエリアに分け、温泉や人気グルメ、名所を掲載した。

 スタンプラリーは「みなみ北海道湯巡り 温泉達人」と題し、62施設中30施設で、本に専用スタンプを押す。同センターに500〜1500円を払って申請すると、入浴した数に応じて「錬士」「教士「範士」の称号とバッジがもらえる。「達人」になるには30施設すべてのスタンプを集める必要があり、温泉ファンの心をくすぐる仕組みだ。

 本には21施設で使える100円割引券6枚のほか、観光施設や飲食店で特典を受けられるクーポン12枚が付いている。普段日帰り入浴を行っていない5施設でも、本を見せることで入浴できる。

 このほか、愛好家が選んだ道南の温泉ベスト3も掲載。同センターの小林功さんは「広いエリアの温泉を知り、体感するきっかけになれば。温泉めぐりの記念を残したい人はぜひ、スタンプラリーに挑戦を」と話している。

 A5判カラー、84ページで3000部を作成。1冊550円で、道南地域のセブンイレブンや函館、札幌市内の書店で取り扱っている。(千葉卓陽)



◎甲子園かけ熱い夏開幕 高校野球南大会

 【札幌】第94回全国高校野球選手権南北海道大会(道高校野球連盟など主催)が16日、札幌円山球場で開幕した。夏の甲子園の最終関門で、初日は1回戦3試合を行った。

 函館支部から函大有斗(8年連続39回目)、函高専(18年ぶり3回目)、函大柏稜(4年ぶり4回目)の3校が出場。同支部15年ぶりとなる甲子園を目指し、開会式では3校の選手たちが胸を張って入場行進した。

 第2試合の1回戦で函館支部の先陣を切って函大柏稜が札幌日大と対戦。健闘及ばず1─3で敗れた。第2日第3試合で函高専が北海(札幌支部)と、第3日第1試合で函大有斗が東海大四(同)と戦う。決勝は22日の予定。(小林省悟)


◎函館市中央図書館 所蔵資料デジタル化進む

 函館の歴史を後世に—。函館市中央図書館(平沢輝茂館長)では、館内に眠る貴重な資料をデジタル化する取り組みが行われている。種類は古地図や古写真、絵はがきなどで、その数は推定数十万点に上る。道内市町村では函館の取り組みが最も本格的で、地元の歴史を受け継ぐ壮大な事業として着実に進んでいる。

 「カシャ、カシャ」。ひっそりと静まりかえる奥の部屋の中で、カメラのシャッター音が響き渡る。被写体は古ぼけた書物など。頭上から撮影した画像を同館の職員がパソコンでチェックしながら保存していく。1冊、そしてまた1冊—。地道な作業が続く。  同事業は「デジタルアーカイブ事業」と呼ばれる。幕末や明治期といった古い資料の保存継承と公開の充実を目的に、2003年度から始まった。

 対象物の多くは、05年に閉館した旧市立函館図書館(青柳町)の初代館長、岡田健蔵(1883〜1944年)が集めたとされる。書庫が当時珍しい鉄筋コンクリートだったため、34年の函館大火では損失を免れるなど、良好な保存状態で残されてきた。

 点数は古地図と古文書を合わせて5350点。ポスターは4000点(推定)で、絵はがきは数万枚とされている。古写真に限っては量が膨大なため、「把握しきれない」(同館)という。

 道内では北海道立図書館(江別市)などがデジタル化に着手。市町村単位では函館が最も本腰を入れており、一昨年にオープンした箱館奉行所(五稜郭町)は市立図書館蔵の古写真を基に復元した。

 作業に当たる職員の奥野進さんは「函館だけでなく全国各地の資料が集まっている。古資料を保管する道内の図書館で、古地図とポスターは函館が一番多い」と説明する。

 事業には公立はこだて未来大が当初から協力。2007年には同大が開発したデジタルカメラを駆使する古文書撮影機を設置し、作業の効率を大幅に向上させた。同大の川嶋稔夫教授は「地域貢献につながる上、大学の研究開発にも役立つ。今後もできる限り協力していきたい」と話す。

 デジタル化済みのものは3月現在で、絵はがきと古写真が1万5000枚程度。ポスターは約2500点で、古地図・古文書は1250点となっている。一部は定期的に図書館や博物館などでパネルにして展示しており、普段見る機会の少ない貴重な資料に市民から好評を集めている。

 「この事業は大変価値のあるもの。これからも関係団体と力を合わせながら函館の歴史を未来に残していきたい」と平沢館長。奥野さんは「見たことのない資料が館内の奥にまだまだ眠っている。終わりのない事業だが、夢がある」。(後藤 真)


◎小寺さんをしのぶ

 6月10日にがんのためローマで死去した函館出身の彫刻家、小寺真知子さん(享年62)を「偲(しの)ぶ会」が16日、函館国際ホテル(大手町5)で開かれた。親交の深かった関係者約80人が参列し、別れを惜しんだ。

 小寺さんは2000年、函館市のパブリック・アート第1号として旧シーポートプラザに「青・海・テティス」を設置し、これまでにペリー提督来航記念碑(旧市立函館病院跡地)や土方歳三像(五稜郭タワー)など、函館市内に8基の彫刻作品を残した。

 しのぶ会は五稜郭タワーの中野豊社長、函館日米協会の加藤清郎副会長、函館東高校同期会の平沼冠三代表と田辺三知子さんの企画。参列者は黙とうや祭壇に献花し、冥福を祈った。発起人を代表して中野社長が「作品は後世に受け継がれるものばかり。今日は在りし日の小寺さんを語り合ってもらえれば」とあいさつ。函館市の山本真也教育長も「深い愛情を注いだ作品はとこしえに輝き、市民や観光客に愛されていくでしょう」と述べた。

 会には小寺さんの父義信さん(函館在住)、夫の茜ケ久保徹郎さん(ローマ在住)など親族も招かれた。(小杉貴洋)