2012年7月18日 (水) 掲載

◎輝くマコンブ 浜に活気 南茅部で漁始まる

 高級だしに使われる「白口浜真昆布」の産地、函館市南茅部地区で17日、天然マコンブ漁が始まった。早朝から磯舟が一斉に前浜に繰り出し、褐色に輝くコンブを採取。初日は大漁で、幸先の良いスタートを切った。盛漁期に入り、漁業者は寝る間も惜しんで仕事に励んでいる。

 南かやべ漁協(鎌田光夫組合長)管内では、大船と安浦両支所が先陣を切り、順次、ほかの支所でも解禁となる。

 大船支所では約150隻が出漁。漁師は箱めがねで海底をのぞき、「マッカ」と呼ばれる先がY字のほこでコンブの根をねじって採取した。ガゴメコンブ漁も同時に解禁となった。

 漁は午前5時〜同8時。8時ごろになると、コンブを満載にした船が大舟漁港へ。長さ2、3メートル、幅25センチほどのコンブを軽トラックなどの荷台に移し、干し場に運んだ。

 同支所代表理事の坂田憲治さん(65)は「初日にこれほど捕ったのは記憶にない。実入りの状態もいい。実入りは今月末に一番良くなる」と声を弾ませた。宮田喜一さん(61)も「量、質ともに十分。今季も期待できそうだ」と話していた。漁は9月いっぱい続く予定。(山崎大和)



◎新島襄の偉業たたえる

 函館から国外脱出を決行し、帰国後に同志社大(京都)を創設した新島襄(1843〜1890年)の偉業をたたえる「第13回海外脱国記念祭」(新島襄・パトスの会主催)が17日、函館市大町の海外渡航の地碑前で開かれた。同会の千代肇代表は、同志社に対する函館市の医学部誘致について「私は大いに賛成」と歓迎の意向を示した。

 千代代表は1864(元治元)年に、新島が脱国までの2カ月間、函館にあったロシア病院で目の治療を受けていたことを紹介。「新島は日本の病院との違いに驚き、医学に対して大変な関心を持ったのではないか」と指摘した。新島が制定した「同志社社則」には医学部の設置が明記されており、「望みを果たせずに亡くなったが、その時の構想がずっとあった」と述べた。

 市企画部の担当者が、医学部誘致の経過や、同志社側の検討状況などを説明した。

 新島は、7月17日(旧暦6月14日)に大町の海岸から米国船ベルリン号に乗り込み、密航に成功。同会は新島と、新島の大きな志に共鳴し脱国を手助けした函館人・福士卯之吉(のち成豊)の見識をたたえ2000年に設立。記念祭には約30人が参加、献花や記念撮影を行った。(山崎大和)



◎いじめ防止へ指導徹底へ 大津中2自殺問題受け

 滋賀県大津市の男子生徒が昨年10月にいじめで自殺したとされる問題を受け、函館市教委は市立全学校にいじめをなくすための指導をより徹底するよう文書で通知した。命の大切さを伝える指導や保護者との対話を重視している。市教委は「いじめ撲滅に向けて、常に危機感を持った指導を浸透させていきたい」と話している。

 通知では▽自分、他人の命の尊さを理解させるための指導をする▽日ごろから子どもの発する小さなサインを敏感に受け止める▽保護者との連携を密にし、子どもの生活状況の的確な把握に努める—などを呼び掛けている。

 また道教委が毎年全道の児童生徒に配布している「相談窓口紹介カード」や、文科省などが作成する子どもの自殺予防マニュアルを効果的に活用することをあらためて伝えた。

 市内では道教委が昨年度から子どもにいじめの有無を尋ねるアンケートを年2回、全学校で実施。防止に向けた取り組みについて調査する学校へのアンケートも年2回行っている。

 このほか、生徒同士がディスカッションをして理解を深める「いじめ等の問題について考える集会」を毎年開くなどして意識啓発に努めているほか、児童・生徒会の呼び掛けによる集会が独自で開かれている学校もある。

 市教委によると、市内で確認されたいじめ件数は、2010年度が小学校で前年度比19件増の43件。中学校は同比5件増の52件で、2年連続で増えている。

 市教委は「アンケートなどにすべて頼るのではなく、日ごろから子どもの様子をよく見ることが大事。悲しい事件が二度と起きないよう、指導を徹底したい」としている。(後藤 真)


◎美原に新商業施設

 函館市美原3の産業道路沿いで大型商業施設建設の計画が進んでいる。場所は亀田中学校の敷地に隣接する更地で、名称は「美原3丁目商業施設(仮称)」。スズラン薬局(小樽)のドッラグストアと靴専門店のエービーシー・マート(東京)の2社が出店する。開店は来年初めまでを予定しているが、年内にオープンする可能性もある。18日には大規模小売店舗立地法の規定に基づき、地域住民を対象とした説明会を開く。

 建物を設置するのは美原の不動産賃貸業、平和プロジェクト(石田勝義社長)。全体の敷地面積は約4500平方メートルで、スズラン薬局とエービーシー・マートの店舗2棟が建設される。それぞれ鉄骨平屋。売り場面積が合わせて1590平方メートルとなるため、同法に基づき届け出をした。

 スズラン薬局の売り場面積は949平方メートル。同薬局は小樽市を中心に道内各地でドラッグストアや調剤薬局を出店しており、函館市と北斗市には調剤薬局を併設した店舗が3店ある。ドラッグストアの形態で出店し、同薬局最大規模の店舗になる見込み。医薬品のほか、食料品など幅広い品目を取り扱う予定。

 一方、エービーシー・マートは売り場面積が640平方メートル。同社は靴専門店「ABCマート」として全国展開している。道南では北斗市七重浜のダイエー上磯店内に出店してしているが、独立した店舗としては道南初。同社店舗開発部では「主力は靴だが、取り扱い品目については検討中」としている。

 18日夜には函館市亀田商工会館で地域住民を対象とした説明会が開かれる。同法に基づき、交通渋滞緩和策や騒音対策などについて説明する。(松宮一郎)


◎全力で地域おこし 特命チーム「はやぶさ03」デビュー

 【木古内】町の地域おこし協力隊「新幹線地域活性特命チーム・はやぶさ03(スリー)」が17日にデビューした。北海道新幹線の木古内駅開業に向け、渡島西部と桧山南部の9町の観光情報などを集め、3年後には同駅前の観光コンシェルジュ(案内人)となる予定。

 地域おこし協力隊は都市部に住む人が、過疎地で観光や教育、産業分野の仕事に従事する制度で、採用されたのは浅見尚資さん(37)、津山陸さん(29)、塚田ゆかりさん(23)。

 3人は9町(木古内、知内、福島、松前、上ノ国、江差、厚沢部、乙部、奥尻)でつくる「新幹線木古内駅活用推進協議会」の席上でお披露目された。浅見さんと塚田さんは千葉県出身。リーダーとなる浅見さんは「9町のために働きます」と決意。ことし3月に大学を卒業した塚田さんは、「地域に密接した仕事をしたい。一生懸命やります」と元気にあいさつした。木古内出身の津山さんは、東京で会社勤めをしていたがUターン。「地元の活性化に貢献したい」と話した。

 会議ではこのほか、同協議会の本年度事業の進め方などを確認。本年度は、地域おこし協力隊を活用してインターネットでの情報発信強化や9町の連携強化に努めるほか、木古内町観光交流センター(仮称)整備などを行う。(斎藤まや)