2012年7月19日 (木) 掲載

◎市電ガタゴト ビールぐびぐび、貸切電車運行始まる

 函館市電を走らせながら、車内でビールを楽しむ函館市企業局のビール電車「サッポロ生ビール号」が18日、今季の運行を始めた。初日は市民団体「函館チンチン電車を走らせよう会」(高田京子会長)の会員らが乗り込み、ビール片手にカラオケなどを楽しんだ。

 サッポロビール北海道本部道南支社の主催で1994年から始まり、今年で19年目。同局のアミューズメント電車を貸し切る。今季も市内の企業や団体などで週末を中心に予約が埋まりつつある。

 初日は同会の会員や一般から募った市民ら34人が乗車し、駒場車庫を午後6時半に出発。車内では生ビールや焼酎などが振る舞われ、函館どつく前を往復する約2時間の「動く宴会」を楽しんだ。

 車両に備え付けられた歌い放題のカラオケも満喫。高田会長は「今年もビール電車に乗車できてうれしい。大好きな市電に乗り、カラオケを歌って渇いたのどをビールで潤すなんて夏の醍醐味(だいごみ)」と笑顔を見せていた。

 運行は8月19日まで。1運行につき2万4000円で、最大35人まで。申し込み、問い合わせは同局交通部電話0138・52・1273。(森健太郎)



◎函館市、過去5年 生活保護中覚せい剤42人

 函館市内の生活保護受給者のうち、覚せい剤の使用発覚による支給停止者が2007〜11年度で延べ42人いたことが18日、市福祉事務所の調べで分かった。保護費を覚せい剤の購入に充てていたとみられる。後に支給を再開した5人のうち、2人が再犯で逮捕され、再度支給を停止されていたことも判明した。

 市は、保護費受給者が覚せい剤取締法違反で警察に逮捕されたことで不正受給を認知する。過去5年のうち昨年度が13人と最も多かった。

 生活保護は「無差別平等」が原則のため、逮捕歴は再申請、再受給の障害とはならない。

 同事務所生活支援第1課の小松浩課長は「逮捕歴のある再申請者に対しては、保護再開時に同じことを繰り返さないよう十分に助言、指導している。日常的にはケースワーカーによる生活指導で対応するしかない」と話す。

 市の調べによると、昨年度に不正受給が発覚したケースは106件、約5100万円で、保護費全体の0・25%に上る。受給停止となったうち、覚せい剤使用などの逮捕に伴うもののほか、特別な理由なく車を保有していたケースが5件。収入を正しく申告していない事例もあった。

 市は本年度から、保護費抑制と収入額の不正申告防止を目指し、年金受給資格を有しているかを調べる調査員を配置している。改行 市の3月現在の保護世帯数は9260世帯で、受給者数は1万2904人。生活保護率は46・2‰(人口1000人当たりの被保護者数)と、道内3番目に高い。受給者数は07年に比べて約1600人増えている。

 生活保護の不正受給をめぐっては、札幌市で6月に覚せい剤取締法違反容疑で緊急逮捕され、逃走した男が保護費を受給しながら、高級外車など数台保有していたことが判明。自治体の不正チェック体制などが論議になっている。(後藤 真)



◎22日「湯川忠魂碑」100周年記念慰霊祭

 函館市湯川町2の湯倉神社境内に、日清、日露戦争に従軍した同地区の戦没者らを祭った石碑がある。昨年建立100周年を迎えた「湯川忠魂碑」。関係者が戦前から欠かさず慰霊祭を執り行い、今年は節目を記念して7月22日に実施する。主催者の湯川忠魂碑奉賛会の松倉肇会長(82)は「この碑の前で手を合わせたい市民は気軽に来てほしい」と呼び掛けている。

 同碑は1911(明治44)年、旧湯川村の有志でつくる帝国在郷軍人会湯川村分会が、戦死者のために現在の市民会館付近に建立。「忠魂」の字は、当時旭川第七師団長で後に元帥となった上原勇作が揮毫(きごう)した。55(昭和30)年に現在地に移転され、現在は第2次世界大戦までの戦死者342人と、同分会を母体に発足した同奉賛会の物故者80人を祭っている。

 同会によると「市内各地にある忠魂碑の中で最も歴史が長い」。現在は同地区の商店主や町会長ら60〜90代の会員23人が管理するが、近年は会員の減少が著しい。松倉会長は「ご先祖の存在なくして湯川地区の発展はあり得ない。その思いに支えられて全会員が結束してきた」と振り返る。

 同会の門脇善治さん(73)も「旧湯川村は箱館戦争や函館大火などで最期を遂げた無名の方々も数多く眠る特別な土地。祭る対象者を広げ、会を存続させることも真剣に考えなければならない時期」と先を見据える。

 慰霊祭は戦後の数年を除き毎年行ってきたが、昨年は会員が多忙のため記念行事ができなかった。今年は神事に加え記念にツツジを植樹。55人が参列予定だが、戦死者の遺族や関係者に限らず、湯川の歴史に興味がある人も参列対象にしている。

 参加無料で希望者は直接会場へ。問い合わせは同会総務の小向義美さん電話0138・51・7332。(長内 健)


◎「ナッチャン」今夏も特別運航

 函館—青森間で高速船「ナッチャンWorld」(1万715トン)の期間限定運航を申請していた津軽海峡フェリー(函館市港町、石丸周象社長)は18日、道運輸局から8月1日から19日までの運航認可が下りたと発表した。1日から通常のフェリー便8往復のほかに、同船が1往復する。

 同船は2008年10月まで函館—青森間で定期運航していたが、現在はチャーター便として運航。東日本大震災発生直後には緊急災害援助部隊の派遣や緊急支援物資を輸送する役割も果たした。夏の輸送繁忙期の限定運航は09年から毎年実施。同社は「震災で函館も東北も観光産業が大きなダメージを受けた。ナッチャンWorldの運航で両地域の観光復興に役立ちたい」としている。

 所要時間は2時間45分。ダイヤは、青森発が午後零時15分で同3時に函館着。折り返しが函館発同4時25分、青森着が同7時10分。料金はエコノミー4000円から。車輌運賃は軽自動車が1万70000円、普通乗用車が2万1000円。予約、問い合わせは同社函館支店電話0138・43・4545。