2012年7月21日 (土) 掲載

◎高校生が海保で就業体験

 函館海上保安部は19、20日の両日、七飯高校の生徒2人のインターンシップ(就業体験)を受け入れた。2人は船の操縦や救助活動などの体験を通じ、職業意識を高めた。

 同校では、2年生を対象に毎年インターンシップを行っている。受け入れ先は保育園や飲食店、美容室などさまざまで。同海保では、小林将太郎君(16)と高橋尚吾君(16)が参加した。

 初日は、海岸町船だまりから巡視艇「ゆきぐも」に乗船し、操縦を初体験。船を動かす感覚を楽しみ、船上での消火作業も行った。

 函館航空基地を訪れた2日目は、パトロールなどに使うヘリコプター「くまたか」の計器類点検や操縦方法について説明を受けた。そのほか、機動救難士の小木泰三隊長の指導で、ヘリからつるしたロープを体にくくっての降下訓練も。ウエットスーツと酸素ボンベの計20`を体に装着し、腕立て伏せをして「重い」「無理だ」などと声を上げ、重みを体感していた。

 小林君は「船を操縦する感覚が新鮮だった。人命救助だけでなく、いろいろな仕事を体験できてよかった」と話し、高橋君は「将来の就職も考えている。船から見る景色は素晴らしかった」と笑顔だった。(柏渕祐二)



◎市電も節電、時刻表張り替え減便準備

 函館市企業局交通部は23日から、今夏の節電対策として市電の日中の運行間隔を通常よりも延ばし、平日1日8本程度減便する。20日には職員らが市内にある計52カ所の電停を回り、9月7日までの特別ダイヤの時刻表への張り替え作業に追われた。

 23日〜9月7日までの期間中は、平日午前9時すぎから午後4時ごろまでの便を通常の6分間隔から7分間隔に延長。これにより日中に軌道上を走る車両数を1〜2両程度減らし、2010年比で7%程度の節電効果を見込む。土日のダイヤに変更はない。

 この日は午後から同部事業課や施設課の職員約15人が5班に分かれ、各電停に掲示された時刻表を特別ダイヤのものに順次張り替えた。ほぼ毎日利用するという市内青柳町の女性(91)は「1、2分の遅れならばそんなに不便は感じない。むしろ市民も協力しなければ」と話していた。(森健太郎)



◎市都市計画審議会、準工業地域の大規模集客施設の立地制限へ

 函館市都市計画審議会(会長・佐々木恵一函館高専准教授)は20日、準工業地域に指定されている市内7地区ついて、1万平方メートルを超える大規模集客施設の立地を制限する都市計画の変更を正式に同意した。市は9月の定例市議会に条例の制定や改正案を提出し、年内の施行を目指す。

 今回の計画変更は、市が策定を進める中心市街地活性化計画で、準工業地域での大規模集客施設の立地制限が認定要件となっているため。市は郊外などへの市街地の拡散を抑制し、都市機能の集約を図ることでコンパクトなまちづくりを進める狙いだ。

 大型店の制限対象となるのは、桔梗町や石川町など6地区の約665f。一方、若松町などのJR函館駅周辺地区(約9・8f)は、これまでの「情報・文化拠点地区」から「商業業務C地区」に土地利用の方針を変更し、複合型の商業施設の誘致への転換を図る。

 市役所で開かれた審議会では、委員から「函館だけではなく、周辺市町との広域連携を図るべき」との意見が上がり、市都市建設部は北斗市、七飯町と協議会を設立し、共同歩調を取っていることを説明した。また、役員改選では佐々木会長が再任されたほか、委員3人が新任された。

 5月の予備審議や今回の審議会での可決を受け、市は大規模集客施設制限地区に関する新たな条例案と、地区計画の変更に関わる条例改正案を9月議会に提出し、早ければ11月にも施行したい考え。(森健太郎)


◎ナマコ種苗の生産開始、道栽培漁業公社が初の事業化

 中華料理の高級食材として人気が高い道産ナマコについて、道栽培漁業振興公社(本所札幌)が本年度、初の事業化となる人工種苗生産を始める。稚ナマコを水槽内で無事に育成できる技術の確立により量産が可能になったためだ。ひやま漁協(本所乙部町、市山亮悦組合長)など2漁協に、年間100万匹を販売する。

 種苗生産は、親ナマコから採卵し、人工授精させ、陸上の水槽で体長10_まで育成する。同公社は2005年度から鹿部事業所(鹿部町、11年度末に閉鎖)で種苗生産の技術開発を始めたが、安定生産には至らなかった。難題だったのが、水槽内に繁殖してナマコに害を与え、死亡させる原因となる甲殻類「シオダマリミジンコ」や原生動物「スクーチカ」。

 道総研栽培水試(室蘭)の指導を受け、シオダマリミジンコ対策として水槽の水をろ過することで防げることを確認。採苗時の1槽当たりの密度を減らすと、原生動物に食害される確率が下がることも分かった。

 種苗生産を担う熊石事業所(八雲町)の安住真所長は「試験を繰り返した結果、ほぼ技術を確立でき、量産の見通しが立った」と話す。

 稚ナマコは遺伝的配慮から、親ナマコを漁獲した海域に放流する。本年度は親ナマコを入手した、ひやま漁協と常呂漁協(北見市)を対象とし、価格は1_当たり3円(1匹10_だと30円)。ひやま漁協には11〜12月と来年6月、常呂には同6月に50万匹ずつ販売する。

 各漁協は、稚ナマコを海中で育成・放流し、2、3年かけて漁獲サイズの約10aまで育てる。

 道内で種苗生産を手掛けるのは20機関、そのうち海への放流まで至っているのは13機関。11年に生産された種苗の総数は約750万匹、放流された種苗(平均体長約4〜62_)の総数は約250万匹。

 ひやま漁協は「既に八雲町熊石水産種苗生産センターで年間50万匹の種苗生産を行っているが、漁業者はさらに購入意欲が高い」と歓迎している。(山崎大和)


◎ざいだん出前コンサート、タンゴ熱演 情熱的に

 函館の音楽家とダンサー8人のグループ「アンサンブル・ミロンガ」が出演する「ざいだん出前コンサート」が20日、函館北日吉小(日吉町4)で開かれた。情熱的なタンゴの踊りや器楽演奏が繰り広げられ、来場者160人を沸かせた。

 市文化・スポーツ振興財団主催で本年度3回目。同バンドにとっても発足から3回目のコンサート。楽器はバイオリンやピアノ、チェンバロ、カホンなどで、踊りはアルゼンチン・タンゴのダンス教室を主宰する榊守人さんと妻のモニカ・ダンジェラントニオさんが担当した。

 出演者はリズミカルな「エスクアーロ」「チョクロ」「レビラード」など12曲を熱演。さまざまな演奏形態で哀愁漂う音色や繊細な歌声を響かせた。特に榊さんとモニカさんの華麗なダンスや声楽家の佐藤朋子さんの高らかな歌声には「ブラボー」の声が上がっていた。

 次回は8月31日に函館弥生小で開催。函館出身のバイオリン奏者、烏野慶太さんらが出演する室内管弦楽コンサートを予定している。(長内 健)