2012年7月22日 (日) 掲載

◎西部地区でペンキ塗り19年 学生ボランティア活動に幕

 札幌や函館の学生らでつくる「ペンキ塗りボランティア隊」は、異国情緒が漂う函館市西部地区の景観を守るため19年続けてきたペンキ塗り活動にピリオドを打つ。その最後として学生たちは21日、谷地頭町会館と同町内の住宅の塗り替え作業に取り掛かり、一生懸命に汗を流している。

 同隊は、西部地区の歴史的街並みの保全を目的に1995年に発足。街を元気づけようと約40軒の外壁を塗り替えてきた。当初は伝統的建造物群保存地区を、2006年からは谷地頭町商店街に場所を変えて行ってきたが、一定の事業成果を収め、隊の活動を支える助成金の残高が来年なくなることを受け、活動の終了を決めた。

 21日は学生ら66人が参加。窓などにペンキが飛ばないよう、ビニールで目張りをしてから作業を開始した。パステルカラーの藤色や黄色などの色を細かなところまで丁寧に塗り、「こっち手伝って」など互いに声を掛け合いながら黙々と作業に当たった。

 北大大学院で学ぶ同隊代表の石丸時大さん(23)は「他大学の学生と交流する場がなくなるのはさびしい」とこぼし、発足時から顧問を務める北大大学院工学研究院の森下満助教は「商店街はパステルカラーで塗り替えた所が多く、以前に増して明るい印象を持つ。地域の方に喜んでもらえてうれしいです」と話していた。

 22日は最終的な仕上げ塗り作業を行う。(平尾美陽子)



◎気象台に興味津々 見学会で実験や工作

 気象台の仕事や気象に理解を深めてもらおうと、函館海洋気象台は21日、同気象台で見学会を開いた。毎年恒例のイベントで大勢の親子連れらが訪れ、実験やパネル展示などを楽しんだ。

 実験では水槽を用いた液状化現象、シャボン玉による上昇気流を再現した実験などが紹介され、空き缶が一瞬でつぶれる大気圧の実験では職員が「水に浸けることで中の水が液体の状態に戻り、体積が下がる。まわりの大気圧との均衡が破れて、押しつぶされる」と説明。参加者は歓声を上げながら、楽しそうに見入っていた。

 工作コーナーではペットボトルを使って竜巻を観察する方法を紹介。揺らして回転を加えることで中の水が渦になる様子に子どもたちは興味津々の様子。DVD上映や「家庭での地震津波防災」と題した講演会などが開かれ、各コーナーに多くの人だかりができていた。

 友人7人と訪れた原田葵さん(5年)は「いろいろ勉強できて楽しい」、山松里駆君(5年)は「アメダス気象機器や液状化現象の実験が面白かった」と笑顔を見せていた。(平尾美陽子)



◎湯川海水浴場今季オープン 砂浜に家族連れ

 函館市根崎町の市湯川海水浴場(市営熱帯植物園前浜)が21日、オープンした。午前中はあいにくの雨となり、来場者は少なかったが、開設する市教委は「来週からは天気も良くなるはず。子どもたちが元気に遊べるようになってほしい」と期待している。

 開設は今回が18シーズン目。国内初のネット式で、昨年は約3万1800人の利用があった。

 この日は午前9時ごろから安全祈願祭を行い、参加者ら約30人が玉ぐしをささげたほか、水難事故の救助訓練などで無事故を祈った。

 午前10時の水温は18・5度で、小雨が降っていたため来場者はほとんどいなかったが、雨が降りやむと砂浜に子どもたちが集まり、元気に遊んでいた。最高気温は20・4度で、初日の来場者は251人だった。

 小学1年生の子どもを連れてきた市内の主婦は「海では泳げなかったけど、砂浜で遊べてよかった」と話していた。

 利用期間は8月19日までで、時間は午前10時から午後4時半まで。入舟町前浜海水浴場も26日から開場する。問い合わせは市教委スポーツ振興課TEL0138・21・3475。(柏渕祐二)


◎児童館利用者数 過去10年で最少 市内昨年度延べ21万2757人

 函館市内にある児童館の利用者数(高校生まで)は昨年度、26施設合計で延べ21万2757人と、過去10年で最少だったことが分かった。前年度と比べて約2万人減少した。ここ数年は減少傾向にあり、少子化や子どもたちのライフスタイルの変化などが要因とみられる。

 市によると、年代別では小学1〜3年生が9万5031人と最も多く、次いで同4〜6年生が7万9947人だった。幼児は2万4311人で、午前中の利用が多かった。中学生は1万1835人、高校生1633人と年齢が上がるにつれて少なくなっている。

 2002年度と比べると、小学1〜3年生は約1万人の減少にとどまっているが、中学生と高校生は約半分となった。幼児も約7000人減と目立っている。

 市次世代育成課は「少子化が一番の要因と考えられるが、学校の授業数が増えたり、家で遊ぶ子どもが増えたためでは」と推測する。

 各児童館の利用者数にもばらつきがある。計2万641人と最多だった桔梗が1日の平均が70人なのに対し、2311人と最も少なかった本町は1日平均8人だった。

 市はこれまで施設の老朽化などに伴い、児童館整備計画(1997年から10カ年)を策定して山の手、赤川などを新設。また財政難から建設が先送りされていた神山も今年4月に晴れてオープンした。子どもたちを迎え入れる環境は整っている。

 各館では幅広い世代が交流できるさまざまな行事を開催するなど、健全育成につながる児童館の魅力をPRしている。同課は「児童館に来ると子どもも母親もいろいろな人と友達になれる。気軽に遊びに来てほしい」と呼び掛けている。(後藤 真)


◎函館市事業仕分け開始 2件で見直し判定

 函館市の財源不足解消に向け、外部委員が事業の存廃を判断する「事業仕分け」が21日、市役所で始まった。初日は2班に分かれて10事業を審査し、梁川交通公園の管理委託料など2件で見直しが必要と判定、8件は実施内容や手法の改善が必要とした。

 仕分けは昨年度から開始。事業の必要性をふるいにかけ、今後の政策や来年度予算への反映を前提に議論する。公募を含む委員12人が6人ずつ2班に分かれ、本年度は@廃止を検討A民営化を検討B制度の抜本的な見直しC実施内容や手法の改善D現行通り—の5つの選択肢から判断する。判断が過半数に達しなかった場合は「見直しが必要」とする。

 梁川交通公園の管理委託料をめぐっては、1969年の開設時から同じ団体が受託していることを疑問視する声や、約2万6000人の入園者に対し、入園者アンケートの回答が83人と少ないことなどを各委員が指摘。「交通安全の目的達成度が測りにくい」との意見も出た一方、交通事情の多様化から施設の充実を求める声もあった。

 また、漁船所有者らに上限1000万円を貸し付ける「漁業用機械購入資金貸付金」は、制度の抜本的な見直しが必要と判定。国や道が持っている制度との統合や、利子補給制度に変更して予算縮減を図るべきなどの声が寄せられた。

 仕分けは28日も午前10時から行われる。(千葉卓陽)