2012年7月23日 (月) 掲載

◎きょうから節電期間 計画停電どう備える

 政府と北海道電力が要請する節電期間が23日、道内でも始まる。函館の一般家庭や小売店、医療機関などは電力需給が逼迫(ひっぱく)した時に行われる計画停電について「生活や業務への影響は避けられない」として万一の事態に備えるが、対策を見いだせない市民には不安も広がっている。

 老舗冷菓「冨士冷菓」(大森町)は、業務用冷凍庫5台に各100個以上の商品を保管する。しかし停電になると通常のマイナス20度から大幅に温度が上昇し、アイスが解けてしまう。同店の中村久仁子店長(62)は「そうなれば売り物にならない。もしもの時にはドライアイスで急場を凌ぎたい」と対策を練る。金森商船(末広町14)では、赤レンガ倉庫内の通路などに電池式の発光ダイオード(LED)のランタンを数百個並べる。映画館「シネマアイリス」(本町22)は、停電の時間帯を避けた上映を検討するなど、対応はさまざまだ。

 市内の医療機関では、ほとんどが災害時や緊急の停電に備え自家発電機を装備。介護療養型病棟を備えるある病院の事務長は「実際、自家発電で間に合うのか分からないが、あらゆる事態を想定して対応したい」。一方、デイサービス施設を併設するケアプラザ新函館・たけだクリニック(宮前町)は、食事や入浴など利用者へのサービスができない恐れがあるという。このため、事前周知を徹底するほか、停電前後にサービス利用できるよう影響を最小限に抑えたい考えで、武田良一院長(60)は「患者や利用者の不利益にならないよう努める」と気を引き締める。

 計画停電は市民の習い事にも影響を及ぼす。テーオースイミングスクール(本通3)では、停電開始1時間前の閉館を決めた。プールの水質浄化装置停止による雑菌の繁殖は、2時間半程度の停電では問題ないとしているものの「利用者離れが心配」(同スクール)。計画停電の対象区域に当たる市内の音楽教室は、前日に実施が公表された段階で休講とし、別の日にレッスンを振り替える予定だ。

 一般家庭でも困惑の声が聞かれる。日吉町のパート従業員、平田美佐枝さん(42)は「夏休み中の子どものために料理を作り置きして仕事に出掛けるけど、冷蔵庫が心配なのでとてもできない」。今月から家族全員で節電を実践している神山の主婦、古川みどりさん(53)も「期間中はこまめに電気を使わないようにするけど、お風呂や夕食のことを考えると夕方の停電は困る」と不安げだ。西桔梗町の主婦、藤沢彩名さん(31)は「計画停電の時間は道路や施設でのトラブルが怖いので外出は控えたい」と話している。



◎岡田副総理「増税待ったなし」

 消費税率の引き上げを柱とする社会保障と税の一体改革について政府が住民に説明する「『明日の安心』対話集会」が22日、函館市亀田福祉センター(美原1)で開かれた。岡田克也副総理は「これ以上の財政悪化に歯止めをかけるにはもう待てない」と述べ、増税に理解を求めた。

 対話集会は内閣官房の主催で、関係閣僚が全国各地に出向いて開かれている。道内では4月の札幌市に次いで2都市目。この日は厳重な警備の物々しい雰囲気の中、応募した市民ら129人が参加した。

 岡田副総理は、改革の根拠として欧州の経済危機や東日本大震災の復興を挙げ、3党合意について「将来に責任を持つ者として、与野党を超えてやるべきことはやらなければ」と強調。「持続可能な形をつくるため、今から準備をしなければさらに厳しい状況になる」と述べた。

 焦点の消費増税については、景気条項によって「先送りもゼロではない」とする一方、「景気が良くなったらと先送りを続け、気が付いたらこれだけの借金になった。あまり時間は残されていない」と語り、景気回復と改革を同時併行する必要性を訴えた。

 続く質疑応答で、会場からは「中小零細企業では消費税が転嫁できない」「現行の5%の使い道はどうなるのか」「もっとほかに削るところがある」と厳しい指摘が相次ぎ、「質問する時間が足りない」との不満も聞かれた。

= ◇ =

 岡田副総理は集会後、記者団に対し、青森県大間町で電源開発(東京)が建設中の大間原発の建設再開ついて「政府として何か決めたことも、止める法的権限もない。基本的には建設を進める側が地元の理解を得る努力をしていただきたい」とし、政府として積極的に関与しない考えを示した。

 岡田氏は、民主党幹事長時代の昨年5月、現地の首長らとの意見交換会などで「建設推進」の意向を表明。現在は政府の立場として「大間は建設途上にあり、既にあるものを動かすのとは交渉が違う」とし、「どこまでが地元かを政府が決めるわけではない」と事業者の責任に言及した。(森健太郎)



◎工場緑地面積率緩和へ 函館市9月にも条例制定

 函館市は本年度、工場の敷地に占める緑地の割合を示す「緑地面積率」について、独自に基準を緩和する方針を決めた。現行法では市内の大規模な工場は全体の20%以上を緑地にしなければならない規定があるが、最低でも5%以上に引き下げることで、新たな工場進出や、既存設備の事業拡大に役立ててもらう狙いだ。

 工場立地法では、周辺地域の環境保全を目的に、工場内に一定の緑地の確保を義務付けている。一方、国の規制緩和で4月以降、工業系の区域で基準が引き下げられたのに加え、都道府県以外にも市で条例を制定した場合は、緑地面積率を独自に変えられるようになった。

 対象となる工場は、敷地面積9000平方メートル以上または建築面積3000平方メートル以上で、製造業や電気・ガス・熱供給(水力、地熱発電を除く)の業種。市内に3カ所ある臨空、港町ふ頭の工業団地は今回とは別に特例的な緩和措置があり、テクノパークは対象となるような広い土地がない。

 緑地面積率は、都市計画区域によって異なり、準工業地域では10%以上に、工業・工業専用地域では5%以上にそれぞれ引き下げる。また、用途地域の定めがない地域も新たに5%以上とする基準も新設。一方、住宅地では現行通り20%以上のままとした。

 市工業振興課によると、これまで緑地面積率を定めた道の条例はなく、本年度に入り、江別市が独自に条例を定めたケースがあるが、道内ではまだ珍しいという。従来より工場敷地を有効活用することができ、新たな企業進出のほか、既存工場の増設や駐車場の確保など設備投資が活発になることが期待される。

 同課は「全国で企業誘致の競争が激しさを増す中、立地の条件面を緩和することで、他都市との差別化を図りたい」としている。今月11日まで募集したパブリックコメント(住民意見)で1件の応募があり、市は9月の定例市議会に条例案を提出し、9月下旬からの施行を目指す。(森健太郎)


◎市内大学生考案 新感覚おにぎり

 大手コンビニエンスストア「サークルKサンクス」は26日、函館のFM放送局「FMいるか」と共同企画した新作おにぎり2品を3週間限定で発売する。ラジオ番組に出演中の地元の学生が考案したサケとギョウザを盛り込んだボリューム満点の商品だ。

 番組「キャンパスデイズ」に出演する市内の大学生との企画は昨年に続き2回目。サンクスが昨年初めて道内8地区の地域FM局と同様の共同企画を展開したところ、函館地区は「各店舗の全てのおにぎりの中でベスト3の売り上げを誇った」ため、今年も同地区のみ続けることに。

 今回も市内6校の大学生が「新感覚」をテーマにおにぎりを考案、試作を重ねたサンクスとともに各校2品まで絞った。191票寄せられたリスナーによる投票の結果、函館大学3年の二部真友さん(20)と辻彩樹さん(20)の「鮭のちゃんちゃん焼き風」(250円)が58票、公立はこだて未来大3年の武井良太さん(20)の「まるごとぎょうざ」が49票を獲得し、商品化が決まった。

 「鮭の─」はみそだれのサケにキャベツなどの野菜とバターを付けたまろやかな風味が特徴。「まるごと─」はしょうゆベースのご飯にラー油入りの揚げぎょうざを1個載せた。二部さんは「歯応えがありバターの風味がマッチした一品」、武井さんも「ギョウザ特有の匂いもない。丸々1個入れたものも珍しいのでは」と紹介する。サンクス北日本商品部のバイヤー北崎潤二さんは「ご飯は通常のおにぎりの倍使った。食べ応えもあるはず」と期待する。

 商品は函館や北斗、七飯、森の全25店舗で8月15日まで発売する。(長内 健)


◎市職員めざし413人挑戦

 2013年度の函館市職員採用1次試験(大学卒以上)が22日、市内柳町の市立函館高校で行われ、公務員を目指す413人が、約8倍の難関に挑んだ。

 試験分野は行政一般のほか、市が独自に設定した経済・経営、国際、水産海洋、情報の5種。

 新年度は大卒だけでも50人程度を採る方針で、例年より大幅に採用枠が広がったことから、受験者数は昨年から178人増加。受験率も昨年比1・4ポイント増の81・6%と、不況下での公務員人気を示している。市人事課によると、50人を超える採用は、1999年の72人以来。

 今回は択一式の一般教養試験と性格検査を実施。最終的には3次試験を経て10月下旬に合格者を決定する。高卒以上と身体障害者対象、一般技術は9月に1次試験を行う。(千葉卓陽)