2012年7月24日 (火) 掲載

◎夷酋列像 松前で初公開 仏美術館から“里帰り”

 【松前】松前藩家老の蠣崎波響(1764〜1826年)が描き、フランスのブザンソン美術館に収蔵されている「夷酋(いしゅう)列像」が23日、松前城資料館で特別公開された。波響が同作品を描いてから222年ぶりとあり、町内外から約1300人が来館。貴重な作品に見入り、悠久の歴史に思いをはせた。

 夷酋列像は、1789(寛政元)年の「クナシリ・メナシの戦い」の後に、アイヌ民族の指導者12人を描いたもの。1984年にブザンソン市で11枚が発見され、88年、91年に函館で展示された。松前には初めての“里帰り”となった。

 オープニングセレモニーでは石山英雄松前町長が「この日を町民と法源寺で眠る波響が心待ちにしていた。作品を通し、松前の歴史を振り返ってほしい」、ブザンソン市のジャン・ルイ・フスレー市長が「文化的な意味ばかりでなく、ブザンソンと松前の友好の懸け橋となる展覧会となる」と話した。フスレー市長は観覧後、「松前の歴史が描かれた作品を見ると、どのようにフランスに渡ってきたなど考え、ロマンを感じる」と話していた。

 一般公開では、一時的に入場制限が行われ、関心の高さを示した。来館者は人物の髪やひげ、衣装の紋様を細密に描いた肖像に見入った。町内の主婦、宮崎敬子さん(67)は「想像以上の細かさ、きれいな色彩に驚いた」、小樽市史談会の樋口寿夫さん(63)は「函館でも展示されるが、松前で見ることに意義がある。波響が作品を描いたこと自体に深く興味がある」と話していた。

 夷酋列像は25日から9月9日まで、道立函館美術館でも特別展示される。 (山崎純一)



◎「節電の夏」開始

 節電要請期間に合わせ、五稜郭タワー(五稜郭町)は、タワーの夜間照明を一部消灯する取り組みを始めた。函館山から見える南西側2面はこれまで通りライトアップ、夜景鑑賞の観光客に配慮した。期間は9月6日まで。

 同社は五角形のタワーの全壁面を投光器20基で照らしていたが、節電期間中は8基に減らす。函館山側からは普段通り点灯したタワーを見ることができる。点灯時間もこれまでの日没〜午後10時を、同8時〜10時までに短縮した。

 五稜郭タワーはライトアップのほかにも空調の温度を高めに設定するなど対策を徹底。「観光客や市民に理解してもらいながら、節電を進めていきたい」としている。  (松宮一郎)



◎高齢者虐待14件増 09年度以降で最多

 函館市は23日、家族らの養護者による高齢者虐待件数を公表した。昨年度、相談や通報を受けて応対した63件のうち、市が虐待と判断した事例は前年度より14件多い45件となり、現在の統計方法となった2009年度以降で最多になったことが分かった。

 同日に市総合保健センターで開かれた市要援護高齢者対策ネットワーク協議会(川越英雄会長)で報告した。

 市によると45件(重複を含む)のうち、身体的虐待が34件と最多で、主に「たたく」「蹴る」が多い。前年度最も多かった心理的虐待は前年と同じ19件。暴力を振るう素振りや言葉による暴力が目立つ。経済的虐待は金銭の着服が多く、前年度比9件増の14件となった。

 虐待者は息子が22件と最も多く、前年より13件増。次いで夫と娘が9件ずつと目立った。虐待を受けた性別は女性が39件と大半。虐待者と同居していたケースが39件で、別居の6件を大きく上回った。虐待者から分離した事例は24件で、分離しなかったケースは17件だった。

 一方、施設従事者による虐待も初めて1件がカウントされた。入居者に対し、後頭部を平手打ちし、部屋の入り口に自転車のチェーンロックをかけるなどの行為が行われていた。昨秋に内部告発で発覚した。

 虐待件数の増加について、市保健福祉部は「虐待そのものが増えたことと、防止に向けた啓発活動を通じて虐待防止に対する意識が高まっているためでは。今後、少しでも減らせるよう努力していきたい」としている。 (後藤 真)

月議会に提出し、早ければ11月にも施行したい考え。(森健太郎)


◎京都の小学生 いかだ下りやジャガイモ収穫体験

 【厚沢部】京都のノートルダム学院小学校の6年生30人が23日、厚沢部町を訪れ、町内の6年生40人と交流。厚沢部川でのいかだ下りやジャガイモの収穫など、厚沢部ならではの体験を楽しんだ。

 修学旅行の一環で、今年で3回目。いかだ下りでは、京都と厚沢部の児童がグループをつくって、約2`先の下流を目指した。時おり急な流れに足を取られながらも、助け合って全員が無事、ゴールした。

 昼食はバーベキューを味わい、厚沢部が国内の発祥の地とされるジャガイモ・メークインの説明を受けて収穫作業に入り、農業の一端を学んだ。

 同学院の山崎椋太君(11)は「迫力ある大自然を満喫することができた。厚沢部は涼しくて本当に気持ちいい」。厚沢部小の安田菜摘さん(11)は「関西と厚沢部の言葉のイントネーションの違いがあったけれども、積極的にコミュニケ—ションを取って仲良くなれた」と声を弾ませていた。

 同学院の6年生はこの日、町内に宿泊し、24日、京都に戻る予定。(田中陽介)

)の安住真所長は「試験を繰り返した結果、ほぼ技術を確立でき、量産の見通しが立った」と話す。

 稚ナマコは遺伝的配慮から、親ナマコを漁獲した海域に放流する。本年度は親ナマコを入手した、ひやま漁協と常呂漁協(北見市)を対象とし、価格は1_当たり3円(1匹10_だと30円)。ひやま漁協には11〜12月と来年6月、常呂には同6月に50万匹ずつ販売する。

 各漁協は、稚ナマコを海中で育成・放流し、2、3年かけて漁獲サイズの約10aまで育てる。

 道内で種苗生産を手掛けるのは20機関、そのうち海への放流まで至っているのは13機関。11年に生産された種苗の総数は約750万匹、放流された種苗(平均体長約4〜62_)の総数は約250万匹。

 ひやま漁協は「既に八雲町熊石水産種苗生産センターで年間50万匹の種苗生産を行っているが、漁業者はさらに購入意欲が高い」と歓迎している。(山崎大和)