2012年7月25日 (水) 掲載

◎コメ より早く開発へ、道南農試が世代促進温室で稲刈り

 【北斗】道総研道南農試(北斗市本町)は24日、場内の水稲大型世代促進温室で稲刈り作業を行った。より早く品種を開発するため、年に2回コメを作る。成熟した稲を、職員がバインダーで丁寧に刈り取っていった。

 品種開発のスピードを速める工夫の一つ。同農試は2000年度に温室を整備、01年度から本格的に取り組む。大規模な専用温室で、水稲の世代促進栽培を手掛けるのは道内でも同農試だけだ。

 中央農試(岩見沢市)と上川農試(上川管内比布町)で交配、栽培した稲の種子を、道南農試で4月に乾田直播(かんでんちょくはん)。7月に収穫、脱穀した後、この種子を8月に別の温室にまき、11月に収穫。取れた種子は中央、上川両農試に戻し、来春から選抜試験が始まる。

 10アールに103組み合わせある稲を、職員約10人が刈り取り、束ねて干す作業をした。同農試の宗形(むねかた)信也主査は「通常(年に1作)だと11年かかるのを、この方法だと最短9年で新品種ができる」と話していた。(山崎大和)



◎南極の氷に興味津々、金堀小で寄贈式

 南極観測船「しらせ」が持ち帰った南極の氷≠ェ24日、函館金堀小学校(平馬隆司校長)にプレゼントされた。児童たちは数万年かけてできたとされる氷に宿る神秘に触れた。  氷は昨年、しらせが南極の昭和基地近くの氷山から採取したもの。同船の艦長と交流のある海上自衛隊函館基地隊司令の内山哲也さん(54)が譲り受け、「子どもたちに夢を与えたい」との願いを込めて母校に届けた。

 寄贈式で内山さんは「氷には何万年も前の空気が詰まっている。南極の不思議さを感じとってほしい」と呼び掛けた。その後は同校教諭が南極の氷の厚さや地形の特徴、北極との違いなどについて説明。「最も厚い所では約4000bもあり、富士山より高い」など話すと、児童から驚きの声が上がっていた。

 児童を代表し、6年生の佐藤宙君と近藤陸君が「南極について真剣に考えることができました。ありがとうございました」とお礼の言葉をそれぞれ述べた。最後は順番に南極の氷の感触を体験し、「冷たい」「白っぽい」と歓声を上げ、児童たちは貴重な贈り物に目を輝かせていた。

 今後同校では氷を保存し理科などの授業に活用する。(平尾美陽子)



◎函館市特別職の仕分け開始

 函館市の特別職(市長、副市長)による内部仕分けが24日、市役所で始まった。新たな行財政改革の一環として、長年続けている施策や各種団体への負担金などを中心に、必要性や費用対効果について審査。初日は3人合わせて約3割の事業で、廃止や見直しが必要とした。

 特別職の仕分けは外部委員による事業仕分けで取り上げられた以外の事業や、各部局が予算を決め、毎年1月末の市長査定では審議されない小額事業を中心に取り上げる。7〜8月にかけて計451事業を審議し、結果を新たな行革プランや来年度予算に反映させる目的がある。

 初日は工藤寿樹市長が環境部所管の20件、中林重雄副市長は教育委員会が持つ47件、片岡格副市長が市民部所管の28件で、各部局の担当者から説明を受けた。

 このうち工藤市長は3件で廃止の検討、5件で見直しを指示。プラスチックなどの中間処理費(本年度予算1億892万円)にかかわり、現在無料で収集している缶、びん、ペットボトルとプラスチック容器包装について「収集にコストがかかっている。1gあたり1円など、有料化を検討すべき」とした。

 市内26カ所に設置している公衆ごみ容器の維持費(同111万円)では、一部町会に30〜40万円の維持管理費を支払っていることを問題視し、廃止の検討を求めた。生ごみのたい肥化容器・電動生ごみ処理機購入費の半額補助や、ごみの散乱防止ネットや収納かご購入費の半額補助も「物品への補助を長年続けているのはいかがか」と、廃止の検討を指示した。

 また、中林副市長は15件、片岡副市長は13件で廃止や見直しを求めた。工藤市長は「これまでは細かい啓発事業などは見直さなかったが、敢えて関与することで意識を高めてほしい。大きな効果額は出ないが、少しでも経費を出したい」と述べた。(千葉卓陽)


◎12年度普通交付税、渡島0.1%増、桧山3.3%増

 2012年度の普通交付税(市町村分)が閣議報告されたのを受け、渡島総合振興局と桧山振興局は24日、両管内市町分の決定額を発表した。渡島11市町の総額は、前年度を0.1%(4500万円)上回る653億1600万円。伸び率は前年度と同じで、4町で増加、7市町で減少。桧山7町は同3.3%(6億1339万円)増の192億1035万円。2年ぶりの増加となり、5町で増え、2町で減った。

 算定基準の一つとなる「寒冷補正」(積雪の度合いを示す指数、指数が高いほど交付税を手厚くする)が12年ぶりに見直され、渡島は松前町、木古内町、八雲町、長万部町、桧山は上ノ国町、せたな町の指数が上がった。

 新設の「地域経済・雇用対策費」は全道555億円のうち、渡島に25億円、桧山に18億円を配分。人口密度の低い市町村に多く配分される仕組みのため、道南は少なかった。これにより渡島の決定額は0.1%増にとどまった。また、3年に1度の固定資産税の評価替えに伴う税収減もプラスに働いた。

 渡島は長万部町が3.7%、八雲町が3・5%それぞれ増えた。いずれも寒冷補正の見直しが要因。一方、税収増などで七飯町が1.7%減、北斗市が1.6%減。函館市はほぼ前年並みの0.3%減となった。

 桧山は江差町が税収増のため4・5%減、全道で2番目に大きい下げ幅。  普通交付税と臨時財政対策債発行可能額を合わせた実質的な交付税の額は、渡島が734億9100万円(前年度比0.4%増)、桧山が205億2975万円(同2・9%増)。

 全道の普通交付税総額は8027億1600万円(同3・8%増)だった。(山崎大和)


◎ふくしまキッズ、元気に道南入り

 放射線の影響に不安を抱える福島県内の子どもたちを対象とした自然体験活動「ふくしまキッズ夏季林間学校」に参加する子どもたち122人が24日、道南入りした。大沼ふるさとの森自然学校(七飯町東大沼294、流山温泉)を拠点に8月21日までの間、最長3週間活動する。子どもたちは長旅の疲れも見せず、元気な姿でJR函館駅に降り立ち、初日の宿泊先へと向かった。

 福島第一原発事故の影響で、屋外での活動が制限された同県の子どもたちに伸び伸びとした時間を過ごしてもらう取り組み。学校の長期休暇の間に実施し、2年目の活動を迎えた。道内外のNPO法人などで実行委員会(進士徹実行委員長)を構成し、国内外からの寄付金で活動費をまかなっている。

 同県から引率した副実行委員長の吉田博彦さん(60)は「昨年はマスク姿の子どもたちを送り出す親たちにも悲壮感があったが、今年は明るいムードだった。5年間の継続を掲げた事業の目的、意義は少しも変わっていないが、ここでできた仲間、経験が子どもたちのプラスになっていると実感している」と話していた。

 福島市から来た小学5年生の中山拓海君(11)は同級生と一緒に参加。「移動は疲れたけれど、これから川遊びをしたりするのが楽しみ」と話していた。

 流山温泉を拠点にする活動するグループに先立ち、23日には全道各地でホームステイなどをしながら旅行する参加者の第一陣が函館大沼プリンスホテルに入り、旅行の準備を進めている。(今井正一)