2012年7月4日 (水) 掲載

◎“米寿”藤本さんがホールインワン

 函館市内のゴルフ愛好会「函酉(かんとり)会」(滝川康夫会長)のメンバー、藤本貞夫さん(88)が、函館市見晴町の「函館ゴルフ倶楽部」でホールインワンを記録し、このほど、証明書が贈られた。同ゴルフ場では最高齢の達成者といい、藤本さんは「励みになる」と喜んでいる。

 藤本さんは5月8日に同会月例会の7番ホール(100ヤード、パー3)でホールインワンを決めた。打った瞬間、「良い感触だった」と振り返るように、ボールはグリーンに向かって真っすぐ飛び、ピンに向かって落下した。  ティーグラウンドからは、カップインしたかどうか分からなかったが、2打目に向かう途中、ホールインワンと知らされ、一緒に回った会員とともに歓喜に沸いたという。

 自身2度目のホールインワンで約30年ぶりといい、「今回の方がうれしい」と藤本さん。同ゴルフ場の勝又哲夫統括部長も「7番ホールは比較的難易度の高いコース。お見事」とたたえる。

 藤本さんは1964年ごろからゴルフを始め、67年には他の愛好者とともに函酉会を創立。仕事の転勤で5年ほど函館を離れた以外は毎月のように月例会に出場し続けている。

 長く続けられた秘けつとして、子どものころ漁師の父の手伝いをして丈夫に育ったといい、「今後も健康に留意しながらゴルフを続けていきたい」と意欲を見せていた。(鈴木 潤)



◎函館の「星」はここです…ミシュラン掲載の観光スポット紹介 市が各所に看板設置

 函館市は、昨年5月にフランスで発行された旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」改訂版に掲載され、高評価の「星」を獲得した函館の観光スポットを紹介する案内看板を市内各所に設置した。函館を訪れる国内外の観光客らに函館観光のブランド力をPRする。

 改訂版では、函館山からの眺望が最高評価の三つ星を獲得するなど、市内21カ所に計29の星が付いた。市は国際的な外部団体から評価された地域ブランドを生かそうと、本年度予算で1000万円を計上し、評価されたスポットを掲載した看板の作製を進めてきた。

 看板はアルミ製で、屋外用が縦1b、横1・5b。元町公園や函館山山頂・山麓、五稜郭公園などに8基を設置。JR函館駅や函館空港などにも屋内用7基を設ける。獲得した星の数ごとに写真を載せ、英語、中国語(簡体、繁体字)、ハングル、フランス語の計5言語に対応する。

 3日に夫婦で函館山山頂を訪れた岡山県倉敷市の鳥越正通さん(61)は「初めて生で見る迫力は感動的だった。三つ星もうなずける」と語り、真新しい看板をカメラに収めていた。市観光振興課も「市民にも地域の評価、魅力を再認識してもらいたい」と話す。

 看板のデザインは市内の学識経験者や観光関係者でつくる審査会で、「ポスター感覚でブランド力を印象付ける」として電通北海道(札幌)の作品が選ばれた。(森健太郎)



◎大沼 ラムサール条約に登録

 【七飯】水鳥の生息地となる国際的に重要な湿地保全を目的としたラムサール条約に3日、七飯町の大沼周辺をはじめ、国内9カ所が新たに登録された。道内では13カ所目、道南では初めての登録。同日午後、環境省北海道地方環境事務所からの連絡を受けた中宮安一町長は「町民ともども大変うれしく思う。大沼が世界的に認められたことを良い機会として、環境保全意識の高揚と観光振興の発展のため、町民一丸となって取り組んでいく」と喜んだ。

 登録となったのは大沼、小沼、蓴菜沼(じゅんさいぬま)の周辺1236ヘクタール。数多くの野鳥が生息し、渡り鳥の重要な中継地として知られ、この時期の湖面にはネムロコウホネなどの水生植物が広がる。コイやフナ、ワカサギなどの魚類も生息し、周辺には豊かな森林が広がり、四季を通じてさまざまな表情を見せる。こうした多種多様な生物が住む環境が、水鳥の貴重な生息地を保全する同条約の国際基準を満たし、今回の登録となった。

 会見で中宮町長は「環境への意識がより一層高まってくるだろう。世界各国から研究者が集まり、国際会議場(大沼国際セミナーハウス)で、成果を話し合えるような場となれば。町内の子どもたちをはじめ、訪れる観光客も環境を考える場所にしたい」と述べた。その上で、観光振興とのバランスを図りながら、水質の改善や保全活動に官民挙げて取り組む決意を新たにした。

 同席した「大沼ラムサール協議会」の金澤晋一会長は「世界協力の下に湿地と自然の保護、賢い利用(ワイズユース)を進めるための条約。そのことを忘れずにたくさんの自然に目を向けて、いろいろなことを発信していきたい」と話した。

 同協議会では7月中に町民を対象とした条約についての学習会を企画しているほか、8月下旬には北海道環境財団理事長の辻井達一氏の講演と、登録認定証伝達式などの記念式典を開催する。 (今井正一)


◎ルネサスが函館工場を譲渡・閉鎖対象に

 【東京、七飯】業績不振に陥っている半導体大手のルネサスエレクトロニクス(東京)は3日、生産拠点の再編を柱とする再建計画を発表した。国内18工場のうち、七飯町にある子会社のルネサス北日本セミコンダクタ函館工場を含む10工場を譲渡・閉鎖の対象にした。一方、約600人が働く函館工場を抱える地元七飯町からは存続を願う声が上がった。

 同社が発表した計画では、国内の生産拠点を再編し、事業効率を高める。函館工場では自動車向けの集積回路(IC)チップの組み立てを行っている。当面は操業を続けるが、同社では「今後3年をめどに他社への譲渡か閉鎖かの結論を出す」とした。

 さらに、同社と連結子会社の従業員から早期退職希望者を募る。5000人規模での応募を見込んでおり、再就職支援などを行う。

 函館工場の前身は、1970年に神奈川県で創業した「日立釜屋電子」。73年に七飯町中島に約3万平方bの用地を取得し、74年に操業を開始。77年には本社を同町に移転した。町は同年以降、同社周辺を工業団地として整備。現在、食品製造業や金属製造業など約40社が立地するなかでも同社は中核的な存在だ。町内のみならず、函館圏域の雇用の場としても寄与してきた。

 町商工観光課は「現時点で詳細を把握できていないのでコメントはできないが、4日以降、ルネサス側に確認したい。町内から150人、全体で600人の雇用の場ともなっており、町にとっても歴史がある工場」とする。中宮安一町長は「(合理化策は)会社の考えることだが、何とか存続してほしいという思い。どんな形であっても稼働を継続していただきたい」と述べた。(松宮一郎、今井正一)


◎児童虐待 最多100件…昨年度 函館の相談所

 函館児童相談所に寄せられた昨年度の児童虐待相談は197件に上り、虐待と認定して処理したケースも100件といずれも過去最多に上ったことが分かった。虐待者は実母が46件と約半数を占め、虐待を受けた年代は小学生が41件で最多だった。

 3日に市総合保健センターで開かれた、市要保護児童対策地域協議会(岡崎圭子会長)代表者会議の中で同所が報告した。

 相談件数は前年度比12件増。処理件数は前年以前に相談を受けたケースも含むが、同比30件増と大幅に増えた。情報を得た経路は警察などが28件で最も多く、近隣・知人は19件だった。児童本人は1件にとどまった。

 虐待者は実父が33件と実母に次いで目立った。虐待内容は言葉による暴力など心理的虐待が46件と最多で、食事を与えないなどネグレクト(育児放棄)は34件だった。このほか、身体的虐待が18件、過去2年なかった性的虐待が2件あった。

 被虐待児のうち、3歳から就学前が21件と小学生の次に多く、3歳未満は16件。対応方法は助言指導が81件で、児童施設に入所させたケースは同比9件減の5件だった。

 一方、市や警察などで構成する同協議会が取り扱った昨年度の虐待件数は、同所と重複するケースが半数以上あるものの、同比28件増の137件と過去最多を示した。内訳はネグレクトが95件と目立ち、虐待者は実母が115件と大半を占めた。

 増加する児童虐待を食い止めようと、今年2月には同所と同協議会のネットワークを強めるための要支援ケース定例連絡会を初めて開催。今後も3カ月に1度会議を開き、対策や対応を考える。

 同所の堤茂樹所長は「関係機関や市民の虐待に対する意識は確実に向上している。虐待を未然に防止するために、今後も関係機関とのネットワークを強めていきたい」としている。(後藤 真)