2012年7月7日 (土) 掲載

◎野外劇開幕、25年目を飾る壮大な函館史

 第25回市民創作「函館野外劇」(NPO法人市民創作「函館野外劇」の会主催、函館新聞社など後援)が6日、特別史跡・五稜郭跡の特設会場で始まった。会場の地形を生かした迫力の舞台で市民400人が先人の歴史を再現。節目にふさわしい感動のステージに観客約450人が酔いしれた。

 開会セレモニーで同会の中村由紀夫理事長代行が「今年はこれまでと違い少し趣向を凝らしてある。見るだけでなくぜひ参加してもらえれば」とあいさつ。工藤寿樹函館市長も「野外劇は函館の歴史とロマンを演じたもの。先人の情熱と思いを感じ取ってもらい、函館の発展につながれば」と述べた。次いで七飯町在住の作家、新井満さんが自作の「星のまちHAKODATE」を朗読し、出演者らと合唱。函館観光大使の平田まりさんのミニコンサートも行われた。

 ステージは午後7時40分に幕開け。コロポックルのナレーションに合わせ、出演者はフラッグダンスや箱館戦争などのシーンを熱演。五稜郭築城や銃撃戦などの戦闘シーンは聴衆をくぎ付けに。ラストは出演者と観客とが一体となってペンライトを振りかざし「星のまち|」を熱唱した。

 今年の公演は7、13、14、20〜22日、27〜29日、8月10、11日までの全12回の予定。(長内 健)



◎市内高校で学校祭シーズン

 函館市内の高校で学校祭シーズンが到来した。生徒たちは年に一度の大イベントに、模擬店や展示、ステージ発表の準備などに励んでいる。

 市立函館高校(土岐均校長)は6日、前夜祭のあんどん仮装行列で開幕。旧函館東高校と旧函館北高校の伝統行事を受け継いだもので、生徒や教員、保護者ら約千人が個性豊かな仮装で街を練り歩いた。

 コースは、五稜郭タワーや本町付近、千代台公園などを回り、延長約5`。途中休憩を取りながら約2時間半かけて歩いた。

 この日に向けて懸命に作ってきた山車は人気漫画のキャラクターを中心に、中には石川啄木も。生徒たちは「ワッショイワッショイ」の掛け声で行進し、工夫を凝らした仮装行列にあちこちから歓声が上がった。沿道の見物客からは拍手や声援が送られ、生徒たちは笑顔で応えていた。(平尾美陽子)



◎函館市新行革プランの検討92項目公表

 函館市は6日までに、「新たな行財政改革プラン」(2012〜16年度)に盛り込むことを検討している、具体的な対策項目を公表した。毎年度生じる財源不足を補う目的で、経常経費や給与制度のほか、福祉や公共施設など市民生活に直結するサービス、さらには各種補助金の見直しなど延べ92項目を提示しており、今後論議を呼びそうだ。

 同プランは3月に素案を策定。人口減少による税収や地方交付税の減少、扶助費の増加によって毎年16〜33億円の財源不足が生じると見込み、▽徹底した内部改革▽選択と集中による財政改革—の2本柱で、14年度以降で基金(貯金)の取り崩しに頼らない健全な財政運営を目指す。

 今回示したのは、市内部で現在検討、協議している施策で、具体的には選択と集中による財政改革として、本年度19億4400万円余りを拠出している函館圏公立大学広域連合負担金をはじめ、総合福祉センター、産業支援センターの委託料、ロシア極東大函館校支援補助金の見直しなどが盛り込まれた。

 市民生活に影響する項目も多い。外出支援を目的に、身体障害者手帳1〜3級などの対象者に対してタクシーの基本料金分の金額を助成する「重度心身障害者等タクシー利用助成」や、夏・冬の憩いの場として親しまれている湯川海水浴場と市民スケート場のあり方、市内4カ所の老人福祉センターでの入浴料有料化なども検討課題としている。

 また公共施設の抜本的見直し案として、北大函館キャンパス内に設置されている産学官交流プラザの譲渡や、縄文文化交流センターや児童館、公民館での指定管理者制度導入なども掲げた。

 今後は市議会などでの議論や庁内協議を経て、9月下旬に原案を策定。パブリックコメント(市民意見)を10月に募集し、11月以降に成案化を目指す。市行政改革課は「廃止や縮減などは現段階で決まっていないが、聖域のない行財政改革が必要。議会での議論を踏まえて方向性を庁内で決めていきたい。効果額などを積み上げて、原案に反映させたい」と話している。(千葉卓陽)


◎「羅山号」が秋田犬日本一

 秋田犬保存会函館支部副会長を務める函館市上野町の工藤照義さん(62)の秋田犬「羅山号」(雄5歳)が、5月に秋田県で開かれた「第126回天然記念物秋田犬本部展」で秋田犬保存会名誉賞を受賞した。同会最高賞の栄誉に工藤さんは「しっかり管理した結果が評価された。簡単にもらえる賞ではないので、本当にうれしい」と喜びを語った。

 毎年春と秋に開催される本部展。日本全国から秋田犬とブリーダーらが集まり、表情や体つき、毛の艶などが審査される。名誉賞は審査員の推薦を得て、最終審査で認められた4歳以上の成犬にのみ与えられ、対象の犬がいない場合も多々あるという。5月の本部展では12頭が参加し、雄、雌それぞれ1頭が獲得した。

 工藤さんは25年前から秋田犬の飼育を始め、2005年に「大号」で名誉賞を初受賞。7年ぶり2度目の受賞となる赤毛の羅山号は子犬の時に気性が荒かったが、しつけることで落ち着き、りりしい顔に。約半年前から体の毛を抜き、栄養を考えたエサで体のボリュームアップ、毎日のランニングなど展覧会を目標に調整を繰り返した。「審査日に最高の状態をつくり上げることが難しい。毎日の積み重ねが大事」と工藤さん。犬と接する時間が何よりも楽しく、心が落ち着くという。

 本部展後、羅山号はその日本一の資質から中国北京の秋田犬ブリーダーに引き取られ、看板犬として活躍。飼育管理の手本となっている。工藤さんは現在も自宅で羅山号の孫など10頭を管理。秋の本部展では雌の「胡桃号」で賞獲得を狙っている。工藤さんは「立派に育て上げることが生きがい。誰が見ても感動するような秋田犬を育て続けます」と笑顔で語っていた。(柏渕祐二)


◎函新杯競輪、郡司選手V

 函館けいりんの函館新聞社杯争奪戦(FU)は最終日の6日、市営函館競輪場(金堀町10)で決勝を行い、郡司浩平選手(神奈川)が優勝を飾った。

 4日から2日間の予選、準決勝を勝ち上がった精鋭9人が午後8時35分の最終11レースに登場。濃い霧が晴れ、ナイター照明に包まれたバンク内を疾走した。残り1周は各選手がスパートし、白熱したレースを繰り広げた。

 地元を中心にファンも夜風を浴びながら選手たちに声援を送り続け、同競輪場は熱気に包まれていた。(小林省悟)