2012年7月8日 (日) 掲載

◎七夕祭り かわいい歌声響く

 竹に短冊、七夕祭り—。七夕の7日、函館市内では浴衣姿の子どもたちがお菓子をもらいながら通りを練り歩く姿が各地で見られた。柏木町では町内に初めて設けた笹飾りの広場で地域を挙げて祭りを盛り上げ、子どもたちの歌声と願いがあふれた。

 柏木町の商店主らでつくる柏木商友会(田島浩会長、30店)が昨年から本格的に企画。今年は実行委を組織し、町内に大小200本の笹飾りを用意し、柏の葉をかたどったオリジナルキャラクターの短冊に願い事を書いてもらうメーン会場も設けた。

 まつりには商友会のメンバーのほか、近隣の高校や銀行、病院からも参加。夕刻から子どもたちは「大いに祝おう、ろうそく1本ちょうだいな」とかわいい歌声を響かせ、町内の菓子店で作られたもちやクッキーなどを次々と受け取っていた。

 会場には約30本の笹飾りを集めた広場もあり、家族の健康のほか、人気アイドルに会えることやゴルフの上達、息子の結婚などの願いも。11カ月の晃一ちゃんと訪れた近くに住む長田春美さん(36)は「子どもが元気に育つように願いを込めました。商店街のこういう催しは活気があっていいですね」と話していた。(森健太郎)



◎大しめ縄飾り 勇壮に…江差かもめ島まつり開幕

 【江差】江差の夏を彩る「第59回江差かもめ島まつり」(江差観光コンベンション協会主催)が7日開幕した。かもめ島前浜の瓶子岩(へいしいわ)では、漁業の繁栄と安全を祈る「大しめ縄飾り」が行われ、勇壮な姿に来場者から大きな拍手が起きた。

 しめ縄は稲わらをより合わせ、漁業者が手づくりでこしらえた。長さ30メートル、重さ500キロ。身を清めた下帯姿の若者11人が高さ10メートルの岩に上がり、丁寧に飾った。

 前浜で不漁が続いたとき、老婆が白い水を海へ注ぎ、間もなくニシンの群れが押し寄せて地域を救ったという伝説が瓶子岩に残る。大しめ縄飾りは「再生の象徴」として昭和初期から年に一度、必ず執り行われている。今年も厳かな神事を、多くの住民や観光客が見守った。

 江差音頭千人パレードでは、町内会や桧山振興局、町役場、江差高校などが優雅な踊りを披露。江差小鼓笛隊にも声援が飛んだ。

 この4月に町内に転勤してきた境沢英介さん(32)、夏子さん(32)夫妻は「江差の皆さんが誇りとする大しめ縄飾りを見ることができて良かった。しめ縄の新旧交代を見て、心がほっとし、頑張ろうという気持ちにもなった」と話していた。

 まつり最終日の8日は午前9時45分から江差港で、全道北前船競漕大会を行う。午後2時からは、演歌歌手の走裕介さんらの歌謡ショーを予定している。(田中陽介)



◎函館の夏 ステージ熱く…野外フェス黒船

 野外フェス「HAKODATE黒船2012」(函館黒船地域活性化協議会主催)が7日、緑の島(函館市大町)で開かれた。昨年を300人上回る3500人が来場。ファッションショーとライブには豪華ゲストのほか、オーディションを通った函館市民も出演。堂々のパフォーマンスを披露し会場を盛り上げた。

 音楽とファッションを融合させた催しで地域を盛り上げようと同協議会(小林一輝会長)が主催し、今年で4回目。ゲストの工藤寿樹市長は「若者が立ち上がって自分たちの時代を築くことが大切。ここでもらった元気を発信して」と呼び掛けた。

 ステージは午前11時開始。オーディション合格者によるライブとファッションショーには温かい拍手が送られた。スペシャルゲストの熊田曜子さん、夏川純さん、はるな愛さん、道端アンジェリカさんらが登場すると熱気はピークに。そのさっそうとした姿に大歓声が飛び交った。

 モデル出演した函館の若者も感激の様子。高野壮平さん(25)はこの日に向けてウオーキングの練習を何日も重ねてきたといい「自分を表現することができた」。昨年からモデルを意識しているという森岡桃子さん(16)も「プロと同じ舞台に立てたことがうれしい」と笑顔で話した。

 会場では道南の味覚満喫をテーマとした「ソウルフードフェスティバル」も展開。イカやホタテ、カニなどの料理、フレンチを並べた13店舗には人だかりが絶えなかった。親子連れの姿も数多く、函館の子育て支援施設「大門キッズスタジアム」のスタッフが常駐したキッズスペースで憩いのひとときを楽しんでいた。(長内 健)


◎JAL機内誌で函館特集

 日本航空(JAL)が発行する機内誌「スカイワード」7月号に函館特集が掲載されている。函館市が夏場の観光客誘致をてこ入れしようと、宣伝業務を委託する形で異例の補正予算を投入して実現。市は多くの目に触れる空からのPR効果に期待を寄せる。

 JALの機内誌に函館特集が載るのは2009年6月号以来2回目。東日本大震災で落ち込んだ観光客の回復が鈍いことから、今回は夏の集客に向けた「視覚的に訴え、即効性のあるPR手法」(誌ブランド推進課)として、航空会社に白羽の矢が立った。

 スカイワードは、JALの国内・国際線の全席に置かれ、1カ月で延べ411万人が閲覧するという。7月号では「ロングステイをしたい街函館」と銘打ち、全175ページのうち11ページで函館を特集。ハリストス正教会をはじめ、朝市や八幡坂、夜景などを大きく写真で取り上げている。

 記事は紀行文のタッチで、「旧函館区公会堂はこの街の心の象徴か」「旅の醍醐味は街の空気感にあり」などと紹介。「夜景が見えずとも断念することなかれ」との小見出しで、タクシーの運転手に教わった市街地を挟んだ反対側の丘から函館山を望む「裏夜景」の魅力も伝える。

 このほか、JALはホームページ上にも7月中旬から10月の函館への旅行商品の紹介ページも開設した。函館—羽田線は7月から機材が380人乗りに大型化され、1日3往復6便運航している。市は6月に関連予算700万円を補正計上し、全日空(ANA)にも350万円を支出している。(森健太郎)


◎「タマフクラ」作付け減少

 国内最大級の大豆「タマフクラ」の作付面積が、道南で減少している。作りづらい上、売り値が高いため販路が定着しないためだ。桧山管内での減り方が著しく、ピーク時の4分の1以下に。粒が大きく甘みも濃厚と評価は高いが、道南唯一の品種が先細りの一途だ。ブランド化の道を閉ざさないためにも、生産振興へ次の一手が急がれる。

 タマフクラは2008年から道南で栽培が始まった。渡島総合振興局と桧山振興局によると、道南の作付面積は2年目の09年に57・65ヘクタールだったのに対し、12年は39・4ヘクタールに減少。特に桧山はピーク時(09年)の42・95ヘクタールに比べ12年は9・4ヘクタールに激減した。

 桧山での作付け減の要因として、@一般的な白目大豆トヨムスメなどに比べ収量が安定しないA競合する光黒大豆の値上がりにより、そちらに作付けがシフトB発芽不良や枝が太くて機械収穫に手間が掛かるなど、他の品種に比べ栽培管理が難しい—ことが挙げられる。

 桧山管内の農家(62)は「ダイズシストセンチュウ抵抗性がなく、発芽不良も起こるのが原因。他にはない特色のある豆なので残していきたいのだが…」と苦しい胸の内を明かす。

 渡島、桧山の両農業改良普及センターと道総研道南農試は昨年3月、発芽不良の対策をまとめたパンフレットを作り、高品質安定生産に向けて懸命だ。

 加工メーカーには通常の大豆と異なる用途開発や価格設定が求められ、使用に二の足を踏むケースが少なくないという。

 一方、渡島の作付面積は09年の14・7ヘクタールから年々増加。12年は八雲町落部地区、北斗市、森町で計30ヘクタールと前年から横ばいで推移。渡島農業改良普及センターによると、渡島での生産基盤は定着しつつあり、「収穫期間が11月に入ってからの約2週間と短く、コンバインの稼働能力に限界がある。販路の確保も合わせ、これらの問題が解決に向かえば、漸増の可能性がある」という。

 国や道は、大粒という品種特性を農家にPRし作付けを促すソフト支援にとどまり、政策的な下支えに乏しいので面積が伸びないとの見方も。農業関係者からは「このままでは道南からタマフクラが消えてしまう。作付け減に歯止めを掛けるため生産から販売までが一体となり、道南ブランドとして育てていく動きが必要」との指摘も出ている。(山崎大和)

 ■タマフクラ 中央農試(空知管内長沼町)が「新丹波黒」と「ツルムスメ」を交配・育種し、2007年に誕生。粒は通常の大豆の1・5倍もある。晩生種で、秋の訪れが遅い道南が栽培適地。乾燥大豆だけでなく、エダマメでも食べられる。道南での栽培は今年で5年目。