2012年8月10日 (金) 掲載

◎山車巡行 優雅に…姥神大神宮渡御祭開幕

 【江差】道内最古の祭礼として370年余りの伝統を誇る、姥神大神宮渡御祭が9日、開幕した。10、11の両日は、大神宮のみこし行列と13基の山車の渡御行列が巡行。熱気で北前船の栄華を伝える。

 9日は、朝から好天に恵まれ、人形や水引幕で飾った山車が大神宮で「魂入れ」の儀式を行った。山車は京都の祇園祭にルーツがあるとされ、優雅な祭ばやしを奏でた。戦国武将・加藤清正の勇壮な人形を飾る本町地区の「清正山(せいしょうざん)」でも、清正公の家紋を染め抜いた水色のはんてん姿の若者らが「エンヤ!エンヤ!」の掛け声で山車を引いた。

 本町地区出身で札幌市内の会社員吉井圭一さん(36)は「毎年この日に帰ってくるのが楽しみ。懐かしい顔ぶれの元気な姿を見られてうれしい」と話す。

 本祭の10日は、正午過ぎから「下町巡行(したまちじゅんこう)」。いにしえ街道などを巡り、午後8時ごろには愛宕町商店街に山車がそろう。同10時からは大神宮で、たいまつを手にした白衣姿の若者を先頭に、巡行を終えたみこしを拝殿に納める「宿入之儀(しゅくいれのぎ)」を行う。

 本祭2日目の11日は、午前11時20分から「上町巡行(うえまちじゅんこう)」を執り行う。海岸沿いを巡り、午後9時ごろには、灯火に彩られた山車が新地町の繁華街に集結、3日間にわたる祭礼の熱気は最高潮を迎える。(田中陽介)



◎水位低下 大沼 雨恋し…平年より2割少なく

 【七飯】雨不足で、大沼の水位が低下している。同沼から取水している北海道電力や農業用水として水を利用する渡島平野土地改良区などの関係団体は9日、8年ぶりに大沼水位調整連絡協議会(中宮安一会長)を開いた。協議会のメンバーで、観光遊覧船を運航する「大沼合同遊船」(堀元社長)の小泉真専務(51)は「これ以上水位が低下すれば、運航に支障が出かねない」と話している。

 大沼の水位は、8日現在で約74a。同協議会で、小泉専務が現状を述べると、同改良区の担当者が「イネの成長に一定のめどが立つ20日前後以降、水の必要量は減る」と説明。さらに状況が悪化した場合、再び会議を開いて対策を話し合うことで一致した。

 小泉専務は「とにかく雨乞いだね」と苦笑する。係留された遊覧船は、船着き場の高さから数十a低い位置に浮かんでおり、「遊覧船に乗り降りするときに、水位が低いと段差が大きくなり、高齢者にはつらい」と今月に入り、急きょ手すりをつくった。

 大沼地区の今年6〜7月の降水量は、70・0_で前年比52・8%、平年比39・5%と極端な雨不足。6月初旬に約140aだった水位は、今月までに半減した。

 仮にこのまま雨が降らず、現在のペースで水位低下が進めば、13日前後には遊覧船やモーターボートの運航に支障が出る可能性も。「大沼と小沼の間に架かる月見橋付近は、水深が浅い。小沼へ入らないルートを考える必要もある」と小泉専務。さらに、小型モーターボート用の発着場付近にも、水深が浅い場所があるため、別の場所に臨時の船着き場を用意する準備も進めている。「万が一に備えて対策はしていくが、今はまず、雨を祈るしかない」と話している。(森裕次郎)



◎ミニカーで日本一周中の朝倉さん函館入り

 50ccのミニカーで日本一周をしている東京在往の朝倉くみこさん(33)=小樽市出身=が8日、函館入りし、10日から道内の旅に向かう。9日は地元の園児と磯遊びをして交流を深めた。

 朝倉さんは2011年10月に東京を出発。九州や四国、東北の日本海側を通過してきた。車は長さ約2b、幅約1b。紹介してもらった人に製作してもらった。お金を持たない「無銭旅行」を展開中で、各地で掃除などをして資金を調達。スタンドで働いた分で燃料を補給することもあったという。改行 ブログなどで朝倉さんを知った全国の400人の支援者から、食事や宿泊するテントを張る場所の提供を受けている。「お金の無いことで人との交流ができる。オープンカーなので猛暑、雨に弱く、この夏は大変だった」と朝倉さん。

 8日夜は住吉町で宿泊。9日は駒止保育園(船見町)、谷地頭保育園の園児が住吉町で磯遊びをすると聞き、園児たちに車を披露し、一緒に遊んだ。道内2300`の旅に向かう朝倉さんは「小樽、札幌以外では知らないところが多い。人や景色などいろんな出会いがしたい」と話していた。

 本道の走行ルートは函館を出て松前方面から時計回りで道北、道東を3〜4週間で巡る。公式ホームページはhttp://kumiko.net/で支援や、応援メッセージを募集している。(山崎純一)


◎おぼろ削りで気分は職人…がごめ連合が初企画

 函館がごめ連合(布村重樹代表、37社)主催の「親子がごめおぼろ削り体験」が9日、アンテナショップ「がごめ昆布 ねばねば本舗」(若松町)で開かれた。市内外の小学4〜6年生10人が、伝統の職人技を楽しんだ。

 新しい函館名物として急成長を遂げるガゴメコンブの認知度を高めようと、初めて企画。梶原昆布店(豊川町)の梶原健司社長、職人の荒井紀男さん(49)を講師に招いた。

 北大大学院水産科学研究院の安井肇教授(海藻学)が「函館沿岸に生息し、表面にでこぼこの珍しい模様が付いている。粘りととろみが特徴で、夏バテ防止にもいい」と紹介。

 同社は「京派削り」(おくりどり)という技法で、職人が手ひきで「おぼろ昆布」を製造。子どもたちは、包丁の持ち方や削り方を教わり、片足でコンブを抑えて丁寧に削り取っていった。すだれ状のおぼろが出来上がると、歓声が上がった。

 函館本通小5年の野里未有さん(10)は「削るときの力加減が難しかった。ガゴメは好きなので、もっと食べよう思います」と笑顔を見せていた。

 削りたてを試食したほか、余った分は袋に詰めて持ち帰った。(山崎大和)