2012年8月11日 (土) 掲載

◎「紗希 お疲れさま」 熊谷選手の祖父母 孫の活躍喜ぶ

 「よくここまで頑張ったね紗希。お疲れさま」—。ロンドン五輪女子サッカー決勝が行われた10日未明、「なでしこジャパン」の熊谷紗希選手(21)の祖父で、函館在往の熊谷銀佐久さん(87)と妻のトシさん(78)は自宅でテレビ中継を見て応援。米国に1─2で敗れたが、銀メダルを手にした孫をねぎらった。

 銀佐久さんとトシさんは、五輪の全試合、生中継でなでしこを応援した。この日は試合開始の午前3時45分、トシさんは神棚に手を合わせてからテレビの前に座った。2人は「紗希、ボール行ったよ」「のりさん(佐々木則夫監督)も頑張って」と声援を送りながら画面に見入った。

 試合終盤、「なんとか追い付いて」の声も届かず、敗れた。熊谷選手の悔しい表情に「小さいころから負けず嫌いだった。この顔は次につながる」と2人。トシさんは札幌に住む熊谷選手の父・敏夫さん(55)に電話で「初めての五輪でメダルだから、紗希を褒めてあげなさい」と話した。

 銀メダルを手にする熊谷選手にトシさんは目頭を押さえ、銀佐久さんは「これからも皆さんの期待に応えてほしい」と声を掛けた。

 なでしこの活躍は地元関係者も喜んだ。函館サッカー協会女子委員長の朝倉宣明さん(54)は「惜しかったが、よく決勝まで行ってくれた。日本中が盛り上がり、さらに女子サッカーの普及につながっていくはず」と話していた。(山崎純一、小林省悟)



◎北方歴史資料館 きょう再開

 江戸時代の豪商・高田屋嘉兵衛に関する史料を所蔵する北方歴史資料館(末広町23)が、11日から再開館する。館長だった7代目子孫、高田嘉七さん(享年79)の急死により昨年11月末から休館していたが、次女の菜々さん(34)が運営を引き継ぐ。

 函館の開祖といわれる嘉兵衛(1769〜1827年)の北方開拓や、外交史で貴重な史料を展示するため、嘉七さんが社団法人北方歴史研究協会を立ち上げ、1988年に自己資金で建設、登録博物館として運営してきた。家族で今後を話し合った結果、学芸員の資格がある菜々さんが勤務していた会社を辞め、函館に引っ越しし、館長となることを決めた。

 しかし、現時点では来年3月までの開館予定で、以降は未定という。嘉七さんの墓がある称名寺(船見町)の須藤隆仙住職(82)は「入館料のみで運営は不可能。市民にとっても貴重な財産を後世に伝えるため、有志などが集い相談していかなければならない」と話す。嘉七さんの知人も「再開はうれしいことだが、高田家で守り続けるのは困難。市、国など、関係機関が保存に力を入れてくれれば」と願う。

 菜々さんは「館にあるものを個人に渡したり、離散させない。私が内容をしっかり見て、今後、どうすることが最善なのか考えていきたい。市民の皆さまにも考えてほしく、まずは来館して高田屋や史料を知ってほしい」と話している。

 開館時間は午前10時〜午後5時。木曜休み。入館料は一般300円など。問い合わせは同館TEL0138・26・0111。(山崎純一)



◎18日に湯の川温泉花火大会

 第47回湯の川温泉花火大会(実行委主催)が18日、函館市の湯の川温泉街で開催される。花火大会をはじめ、源泉をみこしで運び、湯倉神社(湯川町2)に奉納する「献湯行列」や、松倉川を幻想的な光で彩る「灯籠流し」など多彩なイベントを行い、函館の夏まつりの最後を飾る。

 祭りの開催に先駆けて、実行委や函館湯の川温泉旅館協同組合青年部らによる清掃活動や、松倉川沿いに行灯(あんどん)をともし、来場者を迎える準備を進めている。

 18日は午後1時に献湯行列が始まり、湯元ホテル入川(湯川町3)から湯倉神社まで練り歩く。同6時45分から灯籠流し。同7時40分からはメーンイベントの花火大会が開始され、オリジナルのイカ花火など3000発が打ち上げられる。実行委の河内孝善委員長は「花火を間近で見られるロケーションが魅力。湯の川の街を楽しんでほしい」と呼び掛けている。

 また、実行委では灯籠流しで使用する灯籠を販売している。1個1000円で湯の川温泉旅館協同組合事務局で取り扱っている。問い合わせは実行委事務局TEL0138・57・8988(平日の午前9時〜午後5時)。(金子真人)


◎観光アンケート 家族旅行が急伸 震災で絆深まる

 函館市と函館国際観光コンベンション協会は、2011度に行った観光アンケート調査結果をまとめた。旅行形態では団体の割合が2%まで低下した一方、家族旅行の割合が初めて過半数まで伸び、市は「東日本大震災直後とあって旅行にも絆の強まりが反映されたのでは」と分析している。

 アンケートは昨年4月から今年3月まで、函館山や五稜郭公園など市内の主要観光スポットで調査し、計2018人から回答を得た。

 道外客は73・2%と前年度比4・1ポイント低下した半面、道内客が26・8%と上昇し、震災の影響で旅行が「安・近・短」となった傾向もうかがえる。来訪回数では2回目以上のリピーターが全体で半数以上を占め、道内客では4回目以上が27%と最多だった。

 「誰と来たか」の問いでは、団体旅行がわずか2%にとどまり、06年度の24・7%に比べ10分の1まで減った。家族旅行は同7・5ポイント増の55・7%と急伸し、特に60代では同14・7ポイント増の66・7%に。市観光振興課は「震災で高まった家族を大事にする意識の表れでは」とみる。

 市内の宿泊については、1泊が同5・1ポイント減の56・4%だったのに対し、2泊が同3・1ポイント増の32・5%と3年連続で増加。同課は「広域観光や街歩きのメニューを拡充してきたことで、滞在日数は確実に伸びている」と手応えをにじませる。

 また、観光客1人当たりの平均消費額は3万1002円で、前年度より1233円減った。宿泊客の平均が3万2922円だったのに対し、日帰り客は7645円。これらの結果を基に市が試算した函館観光の経済波及効果は同192億円減の1506億円で、全体の入り込み数の落ち込みが響いた。(森健太郎)


◎日新小と尾札部中にアスベスト 全校調査チェック漏れ

 函館市教委は10日、戸井地区の日新小と南茅部地区の尾札部中の市内2校でアスベストが見つかったと発表した。2005年度に実施した全校調査でのチェック漏れが原因で判明した。今後、空気中の飛散状況を調べた上で17日にも検査結果を公表する。

 市教委によると、日新小は体育館の鉄骨柱14本にアスベストが吹き付けられていた。体育館は1977年に建設され普段はモルタルなどで囲まれているが、現在進めている耐震診断調査でモルタルを剥がしたところ判明し、1日に設計業者が市教委に連絡した。

 その後、調査不十分の可能性があった旧4町村の全小中学校を再度確認。その結果、尾札部中の技術室の天井裏でも使用が明らかになった。技術室は73年に作られている。

 市教委は13日にも使用箇所をビニールシートなどで覆い、応急処置する。2学期以降の使用については調査結果を基に判断し、早急に飛散防止策を講じていく予定だ。

 市教委はチェック漏れに対し、「以前の全校調査で東部4支所管内については、それぞれの教育事務所に任せていた」と説明。その上で、「旧市内の学校についてはしっかり確認しているので、安全性に心配はない」としている。

 全校調査では、小中高合わせ18校でアスベストが見つかっている。(後藤 真)