2012年8月15日 (水) 掲載

◎イカール国際ミュージックキャンプ開幕

 一流演奏家がクラシックの公開レッスンを行う「イカール国際ミュージックキャンプ 2012」が14日、函館短大(高丘町52)を主会場に始まった。初日は24人が受講。講師8人からピアノや室内楽の手ほどきを受けた。

 函館国際室内楽アカデミー(岡田照幸代表)の主催で、函館新聞社など後援。昨年に続き2回目で、ジュニア、一般両部門に70人が道内外から参加。20日までパリ国立高等音楽院室内楽科准教授の上田晴子さん(ピアノ)や東京音大教授のドミトリー・フェイギンさん(チェロ)らのレッスンを受けるほか、修了演奏会で短期間の成果も披露する。

 ジュニア部門の初日は函館・近郊、札幌、青森から児童・生徒24人が受講。「曲のスケールを大きく想像して」「会場によく響くよう意識を」などの助言を受け、真剣に試演を繰り返した。また、アイリッシュホイッスルなど世界の笛の音色を楽しむ「音楽おもしろ教室」もあった。

 2年連続で参加した函館北日吉小4年の中村一雄君(10)は室内楽のレッスンを受けた。「別の楽器と息を合わせたピアノ演奏は難しかったけど、30分でかなり上達した」と満足げだった。

 同部門は15日まで、16〜20日は一般のレッスンで各日午前9時から。聴講料1000円。同教室は17日も午後1時半から開催。最終日の21日は午後6時半から市芸術ホールでガラコンサートも開かれる。(長内 健)



◎函館でも「金星食」

 金星が月の後ろに隠れる「金星食」が14日未明、函館でも観測された。市内豊川町からは、隠れる瞬間は雲ではっきりしなかったが、再び現れる時は肉眼でも見えていた。

 国立天文台によると、好天ならば23年ぶりに日本の大半の地域で観察できるはずだったが、広い範囲で雲に覆われてしまい、場所は限られた。函館では午前2時45分ごろ、細い三日月の下に消え、同3時50分ごろ、月の右側から再び現れた。

 同天文台によると、金星食は数年に1度起きるが、今回のように夜間に日本の広い範囲で観察できる条件がそろうのは、次は51年後の2063年5月となる。(山崎純一)



◎ガゴメたっぷり つけ麺人気…「えん楽」で新メニュー

 函館市末広町の函館塩ラーメン専門店「えん楽」(吉川寿樹店主)が、新メニュー「がごめ冷(れい)つけ麺」を開発した。麺とつけ汁どちらにもガゴメがたっぷりで「夏にぴったり」と人気を呼んでいる。

 「函館がごめ塩焼きそば」に続くガゴメメニュー第2弾。7月末から販売を始め、現在は1日に10〜25食が売れて好評。

 ガゴメを練り込んだ麺を使用。しょうゆベースに少し酸味を効かせたつけ汁には刻みを入れてとろみを出す。とろろをトッピング、見た目と食感で粘りを楽しめる。ほかにチャーシューやメンマ、ゆで卵、なると、焼きのりも。つけ汁の酸味、とろみの具合をうまく出すのに苦労したという。

 吉川店主(41)は「のどごしが良く、とろみも出ておいしい。夏バテ予防にもなります」と話している。

 販売は9月末まで。1食650円。営業時間は午前11時〜午後7時。無休。問い合わせは同店TEl0138-24-8320へ。(山崎大和)


◎企画【JOMON第3部・岩手県平泉を訪ねて@】過疎の町 人あふれ

 無数の蝉の声が鳴り響く中尊寺境内。真夏のうだるような暑さと日差しを、樹齢400年ともいわれるスギの並木が和らげてくれる。深緑の香りを感じながら、家族連れが物珍しそうに古堂を眺めている。

 「いらっしゃい、ゆっくりしてって」と土産店の店主。店内をのぞくと平日にも関わらず、観光客であふれていた。かつて“黄金の都市”として栄華を誇った古都・平泉。人口8500人足らずの町は今、活気に満ちている。

 「平泉」は昨年6月に念願の世界遺産登録を果たした。暫定リスト登載から足掛け10年。2008年に国内初の「登録延期」となるなど、多くの苦難を乗り越えての宿願達成だった。

 11年6月の登録後は例年を上回るペースで観光客が訪れ、昨年6〜12月の入り込み数は前年同期比約45万人増の160万人。昨年全体では東日本大震災の影響を受けながらも、前年比約3万人増の192万人に上った。

 平泉観光協会の畠山勝彦事務局長(47)は「震災直後はほとんど人が来なく、外国人客も原発事故の影響で昨年は例年の5分の1。修学旅行生も半分ほど減った。それでも前年を上回ったのはまさしく世界遺産のおかげ。閑散期だった冬にも、多く来ていただいたことが大きい」と話す。

 昨秋には町や町民の働きかけで、玄関口のJR平泉駅が改装された。周囲の景観に調和させようと壁を灰色から茶色に替えたほか、和の雰囲気を高めるために格子の数を増やした。土産店も中尊寺周辺で数店舗が新たに開店するなど、登録効果はあちこちで見えている。

 平泉は11世紀末に奥州藤原氏の初代清衡(きよひら)が本拠を岩手県南部の江刺から移したのが始まりとされている。以来、非戦・平和の願いを込めて建立した中尊寺など、浄土の地として文化が受け継がれてきた。

 平泉町の菅原正義町長(58)は「登録によって平泉が単なる観光地でないことが世界に認められた。これも多くの先人が文化を守ってきたのと町民の協力があってこそ。感謝の1年だった」と語る。

 中尊寺で約50年営業している土産・食事店「衣関屋(いせきや)」の千葉茂樹さん(44)は「今は町全体が盛り上がっている。これを一過性にしないように皆で頑張っているよ」。世界遺産をきっかけに、長らく過疎に悩まされてきた小さな町が、確実に生まれ変わろうとしている。

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 登録延期を乗り越えて悲願の世界遺産入りを果たした「平泉の文化遺産」。年間企画「縄文」の第3部では、登録をめぐる地元の取り組みを紹介し、「北海道・北東北の縄文遺跡群」登録実現に生かせるヒントを探ります。

 (後藤真が担当し、5回連載します)

 ◆平泉の文化遺産…2011年6月に世界遺産登録。岩手県平泉町の中尊寺、毛越寺、観自在王院跡、無量光院跡、金鶏山の5資産で構成する。正式登録名は「平泉—仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」


◎シニア層取り込め…市内小売業界

 少子高齢化や景気低迷で消費が縮小する中、函館市内の小売業界もシニア層をターゲットに置いた商戦やサービスを展開している。消費の呼び水にしようと各店舗が知恵を絞り、シニア層の取り込み強化を図っている。

 玩具専門店、トイザらスでは、8月から毎月15日、60歳以上のポイントカード会員を対象に、購入額5000円以上で代金を10%割り引くサービスを開始する。函館店(石川町52)の森圭介店長は「お孫さまとのお買い物を楽しみ、コミュニケーションを深める機会になってほしい」と話す。

 函館市内の百貨店、棒二森屋(若松町17)では、年金支給日とその翌日に60歳以上を対象とした「シニアパスポートデー」を実施。店頭で年齢を確認できる年金手帳などを持参し、「シニアパスポート」を入手すると、食品売り場で全品5%引きになるほか、衣料品や雑貨品なども優待される。「まとめ買いの方も多く、食品に関しては普段の5割ほど売り上げが増える。これからも一層のサービス充実を図っていきたい」(営業企画)。

 また、レジャー施設でもシニア層の利用増加に力を入れている。ボウリング場、ボウルサンシャイン函館(梁川町9パボッツ函館ビル4階)では、60歳以上が会員登録(無料)をすると、通常、大人1ゲーム500円のところ、終日300円で利用できる。現在、約100人の対象者が登録しているという。同ボウリング場の木村智史支配人は「3ゲームで2時間のウオーキングと同じ運動量となる。健康のためにもお得に利用していただければ」と話している。(金子真人)