2012年8月17日 (金) 掲載

◎上ノ国出身アイドル 太田さん凱旋ステージ

 【上ノ国】上ノ国小グラウンドで14日に行われた「かみのくに エゾ地の火まつり」で、町出身のアイドル、太田桜子さん(17)が凱旋ステージを披露した。グッズ販売や記念撮影、握手なども大人気。太田さんは「古里でのステージを盛り上げてくれた皆さんにお礼を伝えたい。大好きな上ノ国を思って、道南出身も意識して全国で活躍したい」と意気込んでいる。

 太田さんは、札幌を拠点に活動するアイドル「WHY@DOLL(ホワイドール)」の一員で、「さっちゃん」の愛称で人気急上昇中だ。昨年6月まで江差高校に在籍し、2年時にデビューとなり、現在は札幌の高校3年生。

 中学時代からモデルなどに憧れ、オーディションに応募し「ようやくつかんだチャンスを必ず生かしたくて」と新天地で充実した生活を送っているという。

 ライブ活動を精力的にこなし、今年3月にはCDデビュー。上ノ国でのステージは今回が初めてで、多くの同級生のほか、札幌からも大型バス1台でファンが駆けつけた。

 ステージ後もグッズ販売に人だかりができ、江差高校の同級生冨江菫子さん(18)と岡野亜季さん(17)は「さっちゃんがアイドルの雰囲気ですごいと思った。もっと人気がでるように応援したい」。工藤昇町長も「多くのファンができるように頑張ってもらいたい。上ノ国町としても応援したい」と激励する。

 両親の太田昭仁さん(52)とあけみさん(46)は「たくさんの応援に感謝し、まずは学業を優先して今後の人生をしっかり歩んでほしい。勉強ができてこそ視野が広がるはず」と期待している。

 9月には東京で3日間のライブを予定している。(田中陽介)



◎佐々木翔選手、五輪活躍報告 「応援で支えられた」

 【北斗】ロンドン五輪のバドミントン男子シングルスで、日本人初の5位入賞を果たした、北斗市出身の佐々木翔選手(30)が16日、北斗市役所を訪れ、高谷寿峰市長に大会結果を報告した。

 高谷市長は「8強進出おめでとう」とねぎらいの花束を贈り、「北斗の星として、リオ五輪(2016年)にもチャレンジしてほしい」と激励。佐々木選手は「次を考えるより、今は(ロンドンが)終わったことで頭がいっぱい」と答えた。

 高谷市長は佐々木選手の準々決勝をパブリック・ビューイングで応援。対戦した中国の林丹(リン・ダン)選手に迫った時「メダル獲得のパレードを考えた」と明かし、9月下旬に五輪出場したことによる市民栄誉賞を授与することを伝えた。

 佐々木選手は「五輪で試合中は自分にいろんな力が乗り移り、大勢に支えられていることが分かった。北斗からの応援もその一つ」と振り返った。19日まで地元で休養した後、9月7日から旭川で行われる全日本社会人選手権大会に向け、練習を開始する。(山崎純一)



◎トマト味のソフトアイス あすから発売「あぐりへい屋」

 【北斗】JA新はこだて(畠山良一組合長)直営のファーマーズマーケット「あぐりへい屋」(北斗市東前62、工藤寛生店長)は18日、市特産のトマトを使った新スイーツ「ゆいっこソフトアイス トマトミックス味」を発売する。北海道新幹線開業に向け、町おこしの起爆剤にしたい考えだ。

 市野菜生産出荷組合トマト部会(渡辺登部会長)が完熟まで育てたトマト「りんか409」をジュースに加工。地元産牛乳を使った濃厚なソフトクリームに、アイス感覚のトマトの食感が楽しめる。ジュースの割合を25〜30%に抑え、後味のすっきり感を出した。  7月26日の開店後、試作を重ねて完成。ワッフルコーンを使用、トッピングに道南ブランド米「ふっくりんこ」の米粉を原料にしたグリッシーニとラスクも。

 16日には試食会が開かれ、約20人が参加。渡島総合振興局の冨高健伯産業振興部長は「トマトの風味が残っていておいしい。色も鮮やか」と絶賛していた。

 保存が効くトマトジュースを使うため、通年販売する。1個350円で、1日100個限定。平日は午前10時〜午後5時、土・日曜は午前9時〜午後4時。月曜定休。問い合わせは同店TEL0138-77-7779へ。(山崎大和)


◎企画【JOMON第3部・岩手県平泉を訪ねてB】「浄土思想」の価値評価

 本堂の隣に広がる大泉が池。アメンボの波紋が時折あるだけの穏やかなたたずまい。安寧とした雰囲気に、平安時代の様相がかすかに伝わってくるようだ。

 中尊寺とともに、奥州藤原氏の栄華を今に伝える毛越寺(もうつうじ)。850年、慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)が創建、優美な庭園の姿が浄土思想の象徴として知られる。

 2011年5月、平泉はユネスコの諮問機関、国際記念物遺跡会議(ICOMOS=イコモス)から登録勧告を受けた。暫定リスト登載から丸10年をかけ、浄土思想の価値観がようやく認められた。

 中尊寺仏教文化研究所長の佐々木邦世さん(70)は「時代は変わるものだが、人の文化は変わらない。平泉は平和を願った人々の思いが反映されている」と話す。

 世界遺産登録にこぎつける上で大きなハードルとなったのが、08年の登録延期勧告。岩手県や町などは、平泉に込められた独自の平和への思いを再び世界に伝えようと、諦めることなく立ち上がる。

 岩手県は世界遺産の延期勧告から1週間後、達増拓也知事が中心となりユネスコ世界遺産委員会の委員国へ地元の熱意などを伝える行脚を始めた。逆転登録への“諦めない姿勢”を、県民や海外に示すのが狙いだった。

 その後、地元と文化庁が協議して作成する推薦書の練り直しにも着手。「浄土思想が分かりづらい」というイコモスの指摘を踏まえ、再び構成資産の見直しに入った。

 その結果、「文化的景観」という当初のコンセプトを採用せず、推薦ポイントを「浄土思想」に絞った。登録実現を確実にしようと浄土思想に関連の深い資産を優先し、前回の推薦書で示した9点の構成資産を平泉町内の6点に絞り込んだ。

 当然その過程で、資産を抱えていた奥州、一関の両市は反発。苦渋の選択の末、両市の資産は追加登録へ回すことに決まり、文化庁は住民説明会を開くなどして理解を求めた。

 奥州市世界遺産登録推進室の菊池敏彦室長は「もともとは文化庁が資産を拡大させたことで奥州市なども含まれた。皆で地域を挙げて取り組んできたのにという思いはあった」と打ち明ける。

 推薦書の再提出後、2010年9月にはイコモスの現地調査が行われた。調査は登録勧告に大きな影響を与えるため、浄土の世界観を目に見える形で表そうと、約150平方bの無量光院跡の池に水を張り、往時の庭園を再現。資産を紹介する説明板のデザインも統一するなど、以前の反省を踏まえ工夫を凝らした。

 調査に付き添った県教委生涯学習文化課の佐藤嘉広主任主査は「イコモスは資産の保存管理状態や推薦書との整合性、周囲の景観も調査する。いかに現地で普遍的な価値を伝えるかが重要だった」と振り返る。そして「草刈りやごみ拾いといった地道な作業も行った。少しでも良い印象を持ってほしいという思いでいっぱいだった」

 登録勧告の際、イコモスは構成資産から柳之御所遺跡を外すことを条件として提示。これも登録を最優先するために受け入れた。「伝えたいことを明確にし、国際的な目線に立って浄土思想を分かりやすく伝えたことが大きかった」と佐藤主任主査。登録の裏にはポイントを絞り、さまざまな代償を払う関係者の努力があった。

 ◆浄土思想…インドから渡来した宗教思想。仏教の教えの一つで、仏の居所である浄土に生まれ変わること(往生)を願うもの。寺院を造営し、浄土を思い浮かべることで往生できると信じられていた。仏国土ともいう。


◎函館市の11年度債0.190% 最安利率で借り入れ

 函館市が今年5月に発行した2011年度債(借金)における、民間資金の金利は最安値で0.190%で、前年度(0.453%)の半分以下の利率となった。発行額は約90億円で、近年の国の低金利政策の影響に加え、金融機関の入札で決めているため競争原理が働き、低利率での借り入れにつなげている。

 市財政課によると、11年度債の総額は一般会計で115億8600億円。大半は民間から調達しており、その多くは出納期間が閉鎖される5月末までに借りている。これ以外に財務省などが発行する政府系資金による起債もあるが、道などの調整で小規模自治体に配分されるケースが多く、年々減少傾向にある。

 民間資金を活用した起債は、銀行や信用組合などを対象に入札方式で決めている。金利が最も低い金融機関を引き受け先としながら、細目別に分けることで資金力に乏しい地元金融機関の応札を促している。11年度債では過疎債、退職手当債、合併特例債など細目に応じて6本に分割しており、最高値でも0.215%だった。

 本年度予算では金利を1.4%と見込んでおり、予算比で年間約1億円強の利息が節減される計算だ。

 市の起債発行額(一般会計ベース)は、旧4町村と合併した05年度の1576億円をピークに、11年度決算見込みでは1335億円まで減る見通し。市財政課は「今後は函館アリーナの建設などが控えており借り入れが増える可能性があるが、金利負担も税金で賄うので、今後も低い利率での借り入れを進めたい」と話している。(千葉卓陽)