2012年8月26日 (日) 掲載

◎道新幹線 札幌延伸着工、長万部で起工式

 【長万部】北海道新幹線新函館(仮称)—札幌間(211キロ)の起工式が25日、長万部町のJR長万部駅前で開かれた。高橋はるみ知事、羽田雄一郎国土交通相らが工事の安全を祈願。開業する2035年度末には全国の主要都市を結ぶ国土の大動脈≠ェ確立することとなり、全道民の宿願が結実する。

 道と、営業主体のJR北海道、建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構の主催。道内選出の国会議員、道議、沿線自治体、経済界関係者ら約200人が出席した。

 主催者を代表し、同機構の石川裕己理事長が「(15年度の新函館開業で)新幹線がいよいよ北海道に乗り入れる。札幌までの完成後は、北海道の産業、経済の発展に大きく貢献し、我が国全体の発展にもつながる」とあいさつ。羽田国交相は「札幌から鹿児島までが新幹線のレールで結ばれ、日本の高速鉄道ネットワークが完成する。新幹線は都市間の活発な交流を促進し、道央と道南、東北との結びつきを強めることで北海道の自立的発展に寄与していく」と祝辞を述べた。

 同機構北海道新幹線建設局の高瀬昭雄局長が起工宣言を行い、高橋知事、羽田国交相、石川理事長、JRの小池明夫社長の4人がかま入れ。国会議員や沿線自治体首長らのくわ、すき入れが続いた。

 終了後、高橋知事は記者団に「これまで力を合わせて運動を続けてきたが、起工式はゴールではなくスタート。新幹線というツールを活用し、他の交通ネットワークと連動、連携させ、全道でバランスのある地域振興を図っていくことが、道庁に課せられた課題だ」と述べた。

 北海道新幹線は73年に青森—札幌間の整備計画が決定。05年に認可となった新函館—新青森間(149`)は15年度の開業に向けて工事が進められている。札幌延伸は6月に国土交通省が九州、北陸の未着工3区間と同時に認可した。総事業費は1兆6700億円で、35年度末までの開業を目指す。鉄道・運輸機構は本年度中に地元説明や中心測量に着手する。(今井正一)



◎羽田国交相、工期短縮へ努力

 羽田国交相は起工式終了後、記者団に対し、「新函館—札幌間は、200キロを超える長大な工事。子どもたちや孫たちの世代にレールをつないでいくためにも、着実に整備を進めていきたい」と語った。

 24年とされる工期については「技術革新も進むし、なるべく予算の範囲内で、民間の活力も使いながら」と前置きした上で、「1年でも2年でも早く完成させたいという思いは、地域の皆さんと私も同様。これからも努力を続けたい」と述べ、工期短縮に前向きな姿勢を見せた。

 続いて記者団の取材に応じた高橋知事は、「(工期について)大臣の口から、そのような言葉が出たことは大変うれしく思う」と述べ、今後も沿線自治体や経済界と連携しながら、国に早期の全線開通を求めていく意向を示した。

 また、「きょうはゴールではなく、スタートだ」と強調。「単に“工事のスタート”という意味ではない。新幹線という手段・道具を使い、広い北海道の中で地域のバランスをとりながら、いかに地域の活性化を図るのか。様々な事業・政策のスタートラインに立ったと思っている」と語った。(森裕次郎)



◎「昆布館」来館1000万人突破

 【七飯】コンブの歴史や生態が学べる「北海道昆布館」(町峠下)の来館者が25日午前、1000万人を突破し、達成セレモニーが行われた。1993年5月の開館以来20年目での到達。観光客らに長年親しまれる道南の名所の節目を祝った。

 同館はコンブの加工販売のヤマトタカハシ(福井県敦賀市、高橋一夫社長)が運営する展示販売施設。同社の工場に隣接し、入場無料でコンブを学べる直径16bのドーム型シアターや博物館を備えるほか、ここだけの限定商品が並ぶコンブ製品の販売や試食も人気だ。

 1000万人目となったのは、神奈川県海老名市から家族4人で来館した寺田駿ちゃん(4)。函館から八雲に向かう途中に立ち寄り、4人で記念のくす玉を割った後、同社の北村裕会長から3万円分の商品券や花束が贈られた。

 昆布館への来館は4回目という駿ちゃんの母洋子さん(39)は「北海道やコンブが好きで、函館に来れば毎回のように来ている。突然のことでびっくりしましたが、いい記念になりました」と笑顔だった。

 北村会長は「20年で日本の人口の1割近くが訪れてくれる施設に育ち、感慨深い。観光客や地元の方に支えられた感謝の気持ちでいっぱい」と話す。近隣の北海道新幹線新函館駅(仮称)開業を見据え、同社は早ければ来年度にもドームを大幅改装し、プラネタリウムにすることも検討しているという。(森健太郎)


◎市経済再生会議、函館観光の活路探る

 首都圏などの外部有識者を招いて函館の経済振興を検討する「函館市経済再生会議」の第4回会合が25日、ロワジールホテル函館(若松町)で開かれ、工藤寿樹市長がこれまでの議論を踏まえて実現や予算付けした事業を報告したほか、函館観光の活路について意見を交わした。

 同会議は経済や観光、デザイン分野など外部の専門家と意見交換し、市の経済政策やまちづくりに反映させようと、昨年8月に発足。会合は本年度初めてで、工藤市長や松本栄一函館商工会議所会頭のほか、委員5人が出席した。

 工藤市長は函館経済の動向として、企業誘致で3社が進出に名乗りを上げていることや、閉店した旧グルメシティ五稜郭店で大規模な建て替えに向けた動きがあることを明かしたほか、JR函館駅前通りの再開発を提案公募する方針を説明した。

 観光分野では、清水愼一立教大特任教授が新幹線開業を控えた函館観光の課題や展望についてスライドで紹介し、「函館のビギナーをリピーターに、リピーターをどう滞在、連泊させるかが鍵」と強調。団体に比べ消費額が多い個人旅行への対応や、観光ワンストップ窓口の早期開設を求めた。

 このほか、清水氏は函館が全国の観光地に比べ宿泊単価が低いことを挙げ、「観光を産業として確立し、経済効果を高めるため、お金を域内で循環させる仕組みづくりが不可欠」と指摘し、ハード、ソフト両面で函館観光のまとめ役の必要性を説いた。(森健太郎)


◎北高祭ファイナルにぎわう

 旧函館北高校(日吉町)の校舎が数年以内に解体されることを受け、同窓生が中心となって文化祭を再現した「北高祭ファイナル」(同実行委主催)が25日、同校で開かれた。幅広い年齢層の卒業生が集まり、名残惜しむように教室を見学。多彩なイベントを楽しんだ。

 伝統のみこし行列では約50人がキャラクターなどをデザインした5基を担ぎ、汗だくになりながらも「わっしょい、わっしょい」と力強い掛け声を発しながら約1時間かけ、町内を練り歩いた。一行は函館日吉が丘小、北日吉小を訪れ、子どもにお菓子をプレゼント。沿道の住民も「楽しいイベントに元気をもらえた」と喜び、熱い声援を送っていた。

 また、校内では模擬店や写真展、ステージ発表などが開かれ、会場は大盛り上がり。来場者は旧友との再会を喜び、演奏を楽しみながら思い出話に笑顔を浮かべていた。

 18期生の野崎道夫さん(47)は「これだけたくさん人が集まるとは思わなかったので驚いた。当時の懐かしい思い出がよみがえってくる」と笑顔で話していた。(平尾美陽子)