2012年8月29日 (水) 掲載

◎市防災訓練 市民も実践

 函館市の防災総合訓練が28日、函館港港町埠頭(ふとう)(港町2)などで行われた。東日本大震災を教訓に、今年は消防や警察などの防災関連の行政機関だけではなく、住民参加型の訓練を函館西中(弥生町)で初めて企画。避難方法や避難所の運営など各自が体験しながら確認した。

 総合訓練は40回目で、同時刻に2会場で別の訓練を行うのは初めて。震度6強の地震が起き、津波警報が発令したとの想定で、従来の大がかりな訓練を披露する「展示型」から、住民の避難を重視した「実践型」に転換した。

 第2会場の西中での訓練には生徒や近隣町会、保育園などから約430人が参加。参加者は徒歩で次々と体育館に集まり、避難途中で道に倒れたけが人を運ぶ抜き打ち訓練もあった。

 会場では、車両から体育館へとリレー形式で水や支援物資を運んだり、地震に伴う火災や家屋の倒壊に備え、バケツリレーでの消火活動や住民らの手で担架を使った搬送救助を手伝ったりした。

 住吉町会の亀谷敏正副会長(67)は「住民主体となったことで緊張感や責任感も生まれた。避難の心構えはできた」と有意義そう。炊き出しを手伝った西中3年の齋藤沙季さんは「体育館が蒸して大変だった。いざという時は若い力で、助けられる人ではなく助ける人になりたい」と頼もしかった。

 一方、市地域交流まちづくりセンターの丸藤競センター長は「市の担当者の声が聞こえず、どこまで自分で判断すればいいのか分からない人が多かった。避難所で行動を束ねるリーダー役や臨機応変な役割分担が必要」と指摘した。

 また、港町埠頭での訓練には公的機関をはじめ、町会などから約800人が参加。無線などでの情報伝達やビル屋上からの救助など24の訓練を実施し、工藤寿樹市長は「多くの市民の参加による貴重な経験を今後に生かし、防災に強いまちづくりに取り組みたい」と講評した。(森健太郎、平尾美陽子、柏渕祐二)



◎イマジンホテルでマグロ解体ショー

 イマジンホテル&リゾート函館(函館市湯川町)で28日、戸井産の本マグロを提供する特別企画「まぐろ祭り」が開かれた。水揚げされたばかりのマグロが用意され、参加者は解体ショーを間近で楽しみ、マグロの味を心ゆくまで楽しんだ。

 戸井産マグロは、青森県大間産と並んで人気が高まっており、市民らに地元ブランドの味覚を味わってもらおうと企画した。今回で4回目。

 この日は戸井漁協の協力で94キロの本マグロが用意された。イベントは解体ショーでスタート。豪快な包丁さばきでマグロをさばいていくと参加者から大きな歓声が上がった。さばいたマグロはその場ですしや刺し身などで提供。参加者120人でマグロ1本を食べつくした。

 同漁協の森祐組合長は「お盆を過ぎたあたりから型が大きいものがとれ、漁は上向き。おいしいマグロを用意できた」と笑顔で話していた。(松宮一郎)



◎老舗ラーメン店「汪さん」31日で閉店

 函館市松風町8の老舗ラーメン店・汪さんが31日、多くの常連客たちに惜しまれながら、64年にわたる歴史に幕を閉じる。店主の村本勝美さん(68)は「たくさんの人たちにねぎらいの言葉をもらい、ありがたい」と話す。

 1948年に村本さんの叔母、汪志明さんが創業。チャーハンに甘めの餡(あん)を掛けた看板メニュー「掛焼めし」と、志明さんの明るい接客で多くの客の心をつかんだ。

 村本さんは高校卒業後、鉄道員を目指していたが、幼少から世話になっていた志明さんの頼みで店を手伝うことを決意。だが、「怒られてばかりで料理は全く好きになれなかった」。それでも、料理を食べた人の笑顔や、「おいしい」という言葉に、作る幸せを感じてきたという。

 2002年ごろからは、志明さんに店を任され、妻の市さん(65)とともに、お年寄りでも1人で気軽に入れる雰囲気を心掛け、観光客や地元の常連客たちに愛された。

 しかし、村本さんは年明けから体調が悪く、8月に病院で診察を受けたところ、すぐに入院が必要と告げられた。一時的な休業も考えたが「再開できる保証もなく、お客さんを待たせるわけにはいかない」と、のれんを下ろすことを決意した。

 店内は閉店を知って駆け付けた常連客からの花で埋め尽くされている。40年以上通う松川町の若山勝子さん(62)は「先代の志明さんをはじめ、皆さんの明るい人柄と気配りで、たくさんの人たちに愛されたのだと思う。一生忘れない」と涙を流し、閉店を惜しんだ。

 村本さんは「ここまで続けてこられたのは、家族の支えがあったからこそ。最後にたくさんの人たちから惜しまれながら辞めることができて本当に幸せ」と晴れやかな表情で話していた。(金子真人)


◎函館市、駅前周辺のデザイン公募

 函館市は、中心市街地のJR函館駅前・大門地区の活性化に向け、地区全体のデザインを公募する。民間事業者を対象に、駅前通りやグリーンプラザ、点在する電停・バス停まで含むデザインをプロポーザル(提案型)方式で募り、2015年度の北海道新幹線開業までに整備する考え。市は「市民や観光客が集い、楽しめるコンセプトでの提案を求めたい」と話している。

 市は、国からまちづくりへの重点的な補助を受けるための「中心市街地活性化基本計画」(2013年4月から5年間)の素案に、駅前通りの整備を盛り込んでいる。

 年度内の認定を目指すにあたり「駅前のデザインが核。地元としてどんなイメージかを国に提言したい」(経済部)として、民間のアイデアを取り入れることにした。同種のプロポーザルは札幌、富山市の路面電車や、宮崎県延岡市の駅周辺整備などで行われている。

 具体的にはWAKOビル前から旧玉光堂前(松風町)までの約400メートルと、グリーンプラザ約330メートルの両区間を対象に、地区の総合的なコンセプトや駅前通り、電停・バス停のイメージ図と独自提案を募集する。駅前通りは国道のため、市からの提案を経て国が整備する。

 市職員や学識経験者、経済界関係者、美しいまちづくり検討会委員ら8人程度でつくる審査委員会を設置。10月から公募を開始し、12月に委託先と契約を締結。2013〜15年度で整備し、新函館駅(仮称)開業を見据えて取り組む。応募業者の制限は特に設けない考え。

 9月4日開会予定の第3回市議会定例会に、関係経費1910万円を提案する。同部は「集客面など、行政では行き着けない面もある。全国から広く意見を聴きたい」としている。(千葉卓陽)


◎パワハラなくそう、函館商工会議所女性会など研修会

 函館商工会議所女性会(内山幸恵会長)と函館法人会女性部会(平野美智子部会長)は28日、市内のホテルで人権擁護研修会を開いた。講師に函館地方法務局の戸田正英人権擁護課長を招いて、近年、社会問題化している職場のセクハラやパワハラについて理解を深めた。

 この日は主催団体の会員のほか、函館青色申告会女性部や函館地区納税貯蓄総合連合会女性部などの経営に携わる女性約70人が参加した。

 講演で戸田さんは「企業と人権の関係」から説明。「セクハラやパワハラがない職場は、社員の働く意欲が増大し、企業全体の価値上昇にもつながる」とした。

 それぞれの特徴や具体例などを解説。「相手が嫌がる性的な言動や振る舞いはすべてセクハラ。現在は男性も被害者になる可能性もある」と述べた。

 また、パワハラについては「仕事ができる人ほど起こしやすい。人権侵害であり、企業の社会的なイメージも低下する」とした。防止策として「職場でどこからがパワハラになるかの線引き、ルールづくりをして、全員で共通認識を持つことが重要だ」とした。(松宮一郎)