2012年8月30日 (木) 掲載

◎残暑モ〜うんざり 七飯・山川牧場 霧状ミストで暑熱対策

 異例の残暑が続く中、道南の牧場では暑さに弱い乳牛を守るため、暑熱対策に懸命だ。

 七飯町大沼町の山川牧場自然牛乳(山川明社長)では29日、搾乳牛舎内のミスト発生装置がフル稼働。天井に這(は)わせたパイプから一定間隔で噴き出す霧状のミストで、牛体の体感温度を下げる。日中気温が25度以上になると稼働させるが、今年は盆過ぎ以降、ぼぼ毎日使っているという。

 扇風機やダクトファンも利用し、牛体に直接風を当てて冷やす。同社では現在、乳牛約150頭(うち搾乳牛は約70頭)を飼っており、従業員の男性(39)は「夏バテで乳量が落ちないよう、しっかり管理している。早く涼しくなってほしい」と話す。

 渡島農業改良普及センター(北斗市)によると、暑熱ストレスは乳量や乳成分を減少させる。「牛舎内の環境を快適に保ち、牛が好む餌や水を与えることが重要」と呼び掛けている。(山崎大和)



◎文学館説明員の竹原さん 「啄木の函館」出版

 函館市文学館(末広町)の説明員、竹原三哉さん(70)が、歌人石川啄木(1886〜1912年)の評論集「啄木の函館—実に美しき海区なり—」を自費出版した。膨大な資料にあたり、啄木と妻節子の心情や当時の函館の雰囲気を浮かび上がらせた労作。竹原さんは「函館で過ごした132日間は人生最良の時間。暮らしぶりや文学仲間との交流に迫ることができた」と話している。

 竹原さんは元中学校教員で、2002年の定年退職後すぐにボランティアの説明員として同館で勤務を始めた。

 「それまでは有名な短歌2、3首を知る程度だった」(竹原さん)というが、全国から訪れるファンに説明するため、研究を開始。その際に論文をこつこつと書きため、10年間の成果としてまとめようと思ったのが出版のきっかけ。没後100年に合わせて発表した。

 本は2部構成で、第1部は「函館の啄木」と題した函館案内記。護国神社(旧招魂社)や大森浜、東浜桟橋など市内のゆかりの地を、一家の暮らしぶりや文学仲間との交流などさまざまなエピソードを交えて紹介した。17章からなる書き下ろしの文章で、夫婦の心情を描くことに腐心したという。

 第2部は小論集。「啄木歌碑『こヽろざし得ぬ人人の…』漂泊の顛末記」「函館税務署と啄木」など、08年と10年に書いた論文3編を収録した。竹原さんは「26年という短い人生だったが、立ち止まることなく、絶えずスタイルを変え成長していった。啄木の魅力と当時の函館の空気を感じてもらえれば」と語った。

 四六判、295ページ、2000円。同館や函館山ロープウェイなどで取り扱っている。問い合わせは同館TEL0138・22・9014。(松宮一郎)



◎秋サケ漁5日スタート 今年も不漁の可能性

 渡島管内の秋サケ定置網漁が9月5日、解禁される。昨年より3日早い。本来は同1日解禁だが、自主休漁(3日間)と自主規制措置(1日間)を昨年同様に取る。来遊数は昨年を上回るものの、近年でみると低水準となる見通し。予測通りの場合、3年続けて不漁の可能性がある。

 渡島海区漁業調整委員会によると、自主休漁期間は昨年と同じ。一方、自主規制措置期間は親魚確保の見通しが昨年を上回っているため、昨年より3日短い。漁期は各漁協で異なり、12月9〜20日の間に終わる。

 今年の秋サケ来遊数について、道総研さけます・内水面水試(恵庭)は河川遡上(そじょう)を含め、渡島を含む「えりも以西噴火湾」が前年比11%増の84万匹、「えりも以西道南」が同46%増の80万匹、渡島の一部と桧山を含む「日本海南部」が同2%増の84万匹と予測。全道は3852万匹で、過去10年では昨年に次いで2番目の少なさ。

 同委員会によると、昨年の渡島管内の漁獲実績(定置漁業による漁獲)は過去10年で最低の83万匹。10カ年平均と比べても約半分の水準となった。「近年の状況をみると、今年も不漁の可能性が高い」と同委員会。秋サケ資源の減少問題を受け、道や同水試などは対策会議を立ち上げ、原因解明に本腰を入れる。(山崎大和)


◎江差フェニックス野球少年団 結成40周年「今年こそ優勝」

 【江差】江差フェニックス野球少年団結成40周年記念大会兼第23回朝日新聞旗争奪少年軟式野球大会が1、2の両日、町内で開かれる。同少年団父母会の主催で、団員は「今年こそ優勝したい。いつも応援してくれる家族や地域の人と勝利の喜びを分かち合いたい」と張り切っている。

 同少年団は1972年の結成以来300人以上の団員を輩出し、出崎雄司監督(46)を含め5人のOBが甲子園出場を果たしている。現在部員は21人で、互いを思いやり「一球懸命」を合言葉に協調性と結束を重んじる。

 今季は、ホクレン旗争奪北海道少年軟式野球選手権大会桧山大会で3年ぶりに優勝。夏休みの全道大会で初陣を白星で飾ったほか、新人戦でも準優勝と勢いづいている。

 チームは昨夏、岩手県山田町の子どもらを招いて交流大会を実施した。「被災地の様子を知り、野球ができる幸せをかみしめて練習に臨むことで集中力が高まった」(関係者)と振り返る。

 記念大会には近郊の14チームが出場予定で、「フェニックスは自チームの冠大会で優勝したことがないので、今年こそはいい結果をお願いしたい。全チームがいいコンディションで試合できるように運営も頑張りたい」と父母らの期待も高まるばかりだ。

 主将の辻樹君(12)は「夏休み中にたくさん練習したのでチーム状況は最高。全員野球で初優勝を狙いたい」。出崎雄司監督(46)は「あいさつや礼儀、対戦相手への敬意など野球を通じて学ぶことは多い。記念大会は全力を尽くしてほしい」としている。(田中陽介)


◎新行改プランで質疑 障害者福祉施策で異論

 函館市議会の総務常任委員会(工藤恵美委員長)が28日開かれ、市が今年3月に素案を示した「新たな行財政改革プラン」(2012〜16年度)について質疑を行った。委員からは障害者福祉施策の見直しが盛り込まれている点に関し、異論が相次いだ。

 同プランは人口減少に伴う税収や地方交付税の減少、扶助費増加によって毎年度生じる財源不足の解消が目的。7月に具体的な対策項目をまとめ、各種補助金や公共施設、市民生活に直結するサービスの見直しなど、延べ92項目を盛り込んでいる。

 質疑では障害者の外出支援を目的に、身体障害者手帳1〜3級などの対象者にタクシーの基本料金分の金額を助成する「重度心身障害者等タクシー利用助成」などの見直しを打ち出した点に対し、板倉一幸氏(民主・市民ネット)は「行革で見直すべき項目ではないのでは」と指摘。市財務部は同事業が市単独の助成とした上で「現時点で自家用車を持っている人が利用している実態もある。所管部局からの意見聴取を経て項目に挙げた」と説明した。

 プランは9月下旬に原案を示す予定で、同部は各種見直しによる効果額を盛り込んだ収支見通しを、原案とのセットで提示する考えを示した。(千葉卓陽)