2012年8月31日 (金) 掲載

◎構成資産に垣ノ島遺跡追加へ 世界遺産登録へ一歩

 【青森】2015年度の世界遺産登録を目指す「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」の登録推進会議は30日、青森県教委で開かれ、函館市南茅部地区の垣ノ島遺跡を含む3遺跡を構成資産の追加候補にすることを決めた。早ければ12月にも正式に追加され、道南は大船遺跡(函館市)と鷲ノ木遺跡(森町)を合わせ3資産が含まれる見通しとなった。

 同会議は資産の所在する4道県12市町で構成。垣ノ島遺跡の追加理由として、▽地元自治体の理解を得ている▽縄文時代中期から後期の記念物の多様性や早期の集落、墓制について示すことができる—などを挙げた。このほかキウス周堤墓群(千歳市)、大森勝山遺跡(弘前市)も加わり、構成資産は18になる予定。

 事務局を担当する同県教委の岡田康博座長は「国への推薦書案提出が来年に迫り、3遺産を盛り込む作業は厳しくなるが、当初のスケジュール通り準備を進めていきたい」と語った。

 同3遺跡は今年2月に開かれた登録推進専門家委員会で追加検討の意見が上がっていた。構成資産は12月中旬以降に開かれる登録推進本部で4道県案として正式決定。来年4〜6月には文化庁へ推薦書原案を提出する予定。

 函館市教委の山本真也教育長は「垣ノ島が大船とともに構成資産入りすると願っていたのでうれしい。登録に向けて今後も高いハードルがいくつもあるが、4道県で足並みをそろえながら頑張っていきたい」と話した。

 ◆垣ノ島遺跡…縄文早期前半(約9000年前)から後期(約3500年前)の集落跡。長さ約120メートルに及ぶ国内最大級の盛土遺構が象徴で、足形付き土版など当時の精神文化を表す遺物が数多く出土。9万2757平方メートルの広さを誇る。2011年、国史跡に指定。(後藤 真)



◎戸井ぶりブランド化へ 漁協がシール作成

 函館市戸井地区の戸井漁協(森祐組合長)は、一本釣りで漁獲される天然ブリのブランド化に乗り出す。手始めに、銀座三越(東京)で9月5〜25日に開かれる催事で試験販売。活締め処理したブリの目印となるシールも作り、売り込みを本格化させる。

 銀座三越にテナントとして入る吉川水産(東京)の目に止まり、函館市、函館魚市場(松山征史社長)が協力して販売が決まった。切り身販売のほか、刺し身や丼などその場で食べられるメニューも予定されている。

 この機会に、全国に知られる戸井マグロと同様にシールを作成。今後、函館の市場にもシールを張って出荷する考え。

 船上で素早く締めて血抜き、水氷に浸けて鮮度を保つ。これにより生臭さが消え、刺し身は絶品だ。「活締めは手間を掛けているのに、そうでないものと市場価格はさほど変わらない。区別して販売するいいチャンス」と同漁協。

 戸井沖は潮流がぶつかる好漁場。一本釣り活締めブリは、約50隻が7〜10月に漁獲するが、夏場はコンブ漁と重なるためブリ漁の本格化は秋。昨年実績は数量75トン、販売高3186万円。市農林水産部も、マグロに続く全国ブランドにと期待を寄せる。(山崎大和)



◎市電の価値を再確認…参加型デザインワークショップ

 学生や市民、事業者らが函館市電の未来を考える「参加型デザインワークショップ」は最終日の30日、4日間の現地調査などで練り上げた活性化策を市地域交流まちづくりセンター(末広町)で発表した。車内や電停などの斬新なアイデアがあふれ、移動手段にとどまらない市電の存在価値を再確認した。

 公立はこだて未来大、東京工業大、多摩美術大の3大学の共催。市民や事業者も参画し、デザインという切り口でスケッチや乗客への聞き取り、ミーティングを重ね、27日から「移動の未来」を考えてきた。

 発表会では、3班に分かれた学生や教授グループが寸劇や模型などを駆使して案を披露。ある班は車内に運転士のプロフィールを載せ、「顔の見える関係」をつくることを提案。市交通部の藤田光部長は「乗客との距離が縮まり、乗務員にも責任感が生まれる」とメリットを強調した。

 このほか、車内に沿線地図を置き、市民や観光客らが感じる魅力を小さな紙で貼り付け、「市民と観光客のコミュニケーションを考えた」グループも。教授らだけのプロ集団は、電停に着目し、カフェや買い物ができたり、車両ごとの物語を絵本にして提供したりするアイデアを発表した。

 最後に全員で意見交換し、市民からは「市電は単なる移動手段ではない」、事業者からは「市電は利用される皆さんの財産と再認識できた」などと建設的な声が広がった。未来大3年の高石梨香子さん(20)は「現場に出てみてデザインは実世界に溶け込ませることが大事だと分かった。市電への親近感がわき、大好きになった」と目を輝かせていた。(森健太郎)


◎自治労大会 全国から4800人

 地方公務員らでつくる全国最大の産業別労働組合「自治労」の第84回定期大会が30日、函館市民体育館をメーン会場に開幕した。31日まで2日間の日程で、全国から来賓や代議員ら約4800人が参加した。函館での開催は初めて。

 自治労の全国大会の道内開催は2001年の旭川以来。あいさつで自治労北海道本部の山上潔執行委員長は次期解散総選挙や来年の参院選について「間違いなく厳しい選挙になる」と述べ、労働条件の改善や新自由主義的な政策との決別を訴えた。

 連合の古賀伸明会長は「社会のひずみが許容できる範囲を超えつつある。労働運動をどう社会化するか大切」と強調。民主党の輿石東幹事長は公務員制度改革について「首相との間で党単独でも審議に入り、残された期間全力を尽くす確認をした」と述べた。

 社民党の又市征治副党首や道の高原陽二副知事、函館市の工藤寿樹市長らが来賓あいさつに立った。初日は昨年度の運動総括や会計決算などを報告。今後の闘争方針など議案5件を審議した。30日は役員を選出し大会宣言を採択する。(森健太郎)