2012年8月8日 (水) 掲載

◎先祖に感謝 写真供養

 道南写真館協会(加藤昇会長)は7日、函館市豊川町の「北海道写真発祥の地碑」で碑前祭と写真供養祭を行った。同協会と北海道写真館連合会(原崎眞一会長)、一般の計約30人が参列し、先人の遺徳をしのび、市民から寄せられた古い写真を供養した。

 例年は写真の日(6月1日)に行うが、今年は同連合会の第60回大会を7、8の2日間に函館市内で開くのに合わせた。供養された写真は段ボールで25箱分で、中には人物のパネル写真や古いアルバムも。

 湯倉神社の伊部宗博宮司が祝詞を奏上し、原崎会長らが玉串をささげた。おはらいを受けた写真は、後日に焚き上げされる。原崎会長は「今年は写真師の開祖上野彦馬が横浜で営業写真館を開業してから150年目の節目であることや、今日の碑前祭、供養祭で一層、写真への気持ちを新たにしていきたい」、加藤会長は「先祖へ感謝し、明日への元気を頂きました」と話していた。(山崎純一)



◎シカのわな作動 すぐ通知…函高専生 通信システム開発

 エゾシカのくくりわなについて、すぐにどこで作動したのかを遠隔地の設置者に知らせるシステムを、函館工業高等専門学校(岩熊敏夫校長)の生産システム工学専攻の学生4人が開発した。鮮度の良いシカ肉を利用できるほか、かかっていない所を見回らずに済むため労力を軽減する効果があるという。

 同校で7日に開かれた成果報告会で、加藤雅宏さん(21)、河井康宏さん(22)、佐藤佑紀さん(21)、白尾光さん(22)が「農業分野へのリモートセンシングの活用」と題し発表した。エゾシカ肉専門店「北海道産ファーム」(函館市亀田本町、渋田孝代表)の依頼を受け、本年度から研究に乗り出した。

 同社は、函館空港奥の清水山付近に設置した、わな約130基を1日1回見回る必要がある。携帯電話のつながらない環境下でも2キロの範囲をカバー、さらにわなが作動した位置を判別し通知するシステム開発を要望した。

 発表によると、シカがかかると発信部の磁石が外れてトランシーバーの電源が入る。受信部の別のトランシーバーで受けた情報を処理しパソコン(PC)に伝達。PCから、わなの位置情報を携帯端末にメール送信する。実験では、通信は最長約350メートルで可能。費用はわな1基当たり1040円。

 佐藤さんは「中継器を設置すれば、2キロの範囲をカバーできる。距離の問題を解決し実用化につなげたい」と話している。

 このほか7テーマの発表があり、学生や教職員、依頼者ら約100人が聞き入った。(山崎大和)



◎縄文にちなんだ菓子2品新発売

 函館市南茅部地域の縄文遺跡にちなんだ菓子2品が今月から「道の駅」縄文ロマン南かやべ(臼尻町551)などで販売されている。

 どちらも縄文人が食料として採取していたといわれるクルミやクリを使い、一つは、七飯町の土産品企画販売会社「たかせ」(高瀬宣夫社長)が考案した「土器・どきッ!!せんべい」(4袋入り、480円)。道産の小麦、卵を原料に作った生地にクルミや市特産のガゴメコンブの細切りを入れて焼いた。出土した土器のかけらをイメージし、わざと砕いて包装した。もう一つは、函館元町ホテル(大町4、遠藤浩司社長)が市内の菓子店と考案した「土偶栗まんじゅう」(8個入り、500円)で、一口サイズのまんじゅうにクリをのせた。

 「縄文文化を感じながら食べて」と高瀬社長。同センターのほか、同ホテル、ホテル函館ひろめ荘(大船832)でも販売。問い合わせはたかせTEL0138・67・2469。(鈴木 潤)


◎開業効果の持続的波及を…渡島総合振興局 道新幹線活かす懇談会

 【北斗】渡島総合振興局は7日、2015年度の北海道新幹線開業に向けた道南全体の振興策を検討する「北海道新幹線の開業を活(い)かした地域づくり懇談会」の初会合を北斗市総合文化センターで開いた。

 道南全18市町と経済、観光団体など33機関で構成し、関係者約60人が出席。各機関の連携と情報共有を図り、本年度中に「道南地域アクションプラン(仮称)」を策定する。座長の中西猛雄渡島総合振興局長は「開業効果を一過性のものではなく、持続的に道南全体に波及させることが課題」とあいさつした。

 続いて、日本政策投資銀行北海道支店の武田浩次長が「九州新幹線全線開業からの示唆」と題して講演。九州では開業後、移動時間が短縮となった関西圏との双方向利用が増えていると指摘。その一方で、競合する航空機利用者は横ばいから1割減程度とし、「客の取り合いではなく、全体のパイが大きくなった分が新幹線に上乗せとなった」とした。

 また、北海道新幹線開業は東北、首都圏地域の人に道南を再認識させるチャンスとし、「十人十色の観光ニーズへの対応が必要。地域の資源に人の暮らしが見えるストーリーを取り入れて」などと話した。

 講演後、北斗市と木古内町、函館商工会議所などでつくる北海道新幹線新函館開業対策推進機構の3者が地域振興策などの取り組み事例を報告した。(今井正一)


◎1.2工区 5社のJV落札…水産・海洋センター新築工事

 函館市は7日、予定価格の低さを指摘され入札を延期していた函館国際水産・海洋総合研究センターの本館棟新築主体工事の入札を行い、1工区と2工区でそれぞれ5社でつくる共同事業体(JV)が落札した。

 入札には1工区(予定価格8億5408万円)に3JV、2工区(同8億3007万円)に3JVが参加。1工区は高橋組・三光工業・工藤組・ハウジングコバヤシ・平谷建設によるJVが8億4980万円、2工区は高木組・平林組・帝都建設・日商興産・菅原組によるJVが8億2600万円で落札した。落札率はともに99・5%。

 市は同センター本館棟新築主体工事(1工区・2工区)と、関連する設備工事の5件に関し、5月22日に入札を予定していたが、入札参加予定業者から「予定価格が低くなっている」との指摘を受けて入札を延期。設計業者が市との協議と異なる設計単価を用いて積算していたことが分かり、6月の定例市議会で予算を約3億円増額し、7月19日に条件付き一般競争入札の公告を出していた。

 市都市建設部は工区の面積を調整し、2工区で予定価格を2億円余り増額。ともに8億円以上となったため、今回の入札は1・2工区ともAランク2社とBランク3社のJVによる入札とした。

 議会の議決を経て10月上旬から着工する考えで、市都市建設部は「冬期間に地盤改良工事を行うことで、2014年3月の完成予定は変わらない」としている。また市財務部によると、今回の入札をめぐる談合情報は寄せられていないという。(千葉卓陽)