2012年8月9日 (木) 掲載

◎木古内—江差 廃止検討…JR北海道

 JR北海道が江差線の木古内—江差間(42キロ)について、廃止を検討していることが分かった。同区間の旅客が少なく、大幅な赤字が続いているためで、今月中に方針を決める。同社は木古内町、上ノ国町、江差町の沿線自治体との間で代替輸送などについて協議に入り、路線バスへの転換を検討するとみられる。

 江差線の木古内—五稜郭間(38キロ)は、2015年度の北海道新幹線開業後にJR北海道から経営分離され、道と沿線自治体が第三セクターで運営することが決まっているが、木古内—江差間については扱いが決まっていない。

 同社によると、同区間は現在、ワンマン車両が1日6往復している。輸送密度(1キロ当たりの1日平均利用者数)は2005年度には60人だったが、11年度には41人まで減少した。

 同社は「経営を圧迫している赤字路線で、将来的にも旅客の回復は難しい。廃止を含めて検討している段階」という。

 同社が廃止を決めた場合は、沿線自治体の木古内町、上ノ国町、江差町と4者で協議会をつくり、廃止時期を含め、代替輸送について交渉する見通し。住民の交通手段を確保するため、バス転換となる公算が大きい。

 沿線自治体3町はいずれも、JR側から具体的な話は受けていないとし、正式な申し入れがあれば近隣自治体や関係機関と協議して対応していく考えを示している。木古内町の大森伊佐緒町長は8日、「事前に話がなかったので驚いている」とした上で、「いつかこういう日が来るとは思っていた。今後はバス転換が考えられるが、地域の人たちの足を守れるようJRと3町で協議していきたい」とコメントした。(松宮一郎、田中陽介、小杉貴洋)



◎夏休みの楽しい思い出に…知的障害児ら対象にサマースクール

 道教育大学函館校の学生が中心となり、夏休み期間中に知的障害児らを対象に開く「サマースクール」(実行委主催)が8日、函館八幡小学校を拠点に始まった。16年目を迎える今年は制作活動やカヌー体験、プールなど多彩なプログラムを用意。11日までの4日間開催される。

 学生のほか、小中学生や高校生、社会人ボランティアなど約250人が参加。開会式では同大准教授で同実行委の細谷一博代表が「たくさん楽しもう、頑張るぞ」と開会宣言をし、参加者たちも「エイエイオー」と続いた。

 その後、各グループに分かれて活動開始。高校生グループは、魚屋や花屋、パティシエなどの仕事を疑似体験できるコーナーに参加。小・中学生グループは校庭で水鉄砲を使ったゲームをしたり、イカの衣装を身につけてイカ踊りを楽しんだりと、さまざまなプログラムを通して互いに交流を深めた。

 このほか、化粧品会社の協力を得て正しい洗顔方法などのレクチャーも実施。企業との企画は今回が初めてで「学校教育ではなかなかできないことを企画したかった」と実行委。

 実行委員長の根市ひかるさん(同大4年)は「夏休みの楽しい思い出になるように頑張りたい」と張り切っている。(平尾美陽子)



◎歩いて飲んで楽しんで…来月9日に西部地区バル街

 スペインの伝統的な飲食文化「バル」を函館市内の西部地区で展開する「函館西部地区バル街」(実行委主催)が9月7日に開かれる。18回目となる今回は、西部地区の飲食店を中心に、青森県などから69店が参加する。

 参加店が特別に用意したピンチョス(つまみ)と酒をはしごしながら楽しんでもらうイベント。

 午後4時半までに開店する「昼バル」は34店、開催日翌日の8日から13日までピンチョスの提供をする「あとバル」には42店が参加する。西部地区以外からの特別出店は江差や八雲、青森県などから11店ある。

 当日は3年に1度開催されるアートフェス「第2回函館トリエンナーレ」のオープニングイベントとして、写真を使ったパフォーマンスや、着物で来場した人にドリンクを振る舞う「きものdeバル」など、さまざまなイベントも行われる。実行委の深谷宏治代表は「函館の良さがわかるイベントなので楽しんでもらいたい」と話す。

 前売り券は3500円(5枚つづり)で、市内の松柏堂プレイガイド各店や参加店などで扱っている。当日券は4000円(同)。7日に市地域交流まちづくりセンター(末広町4)内に案内所「バル街i」を開設する。問い合わせはレストラン・バスクTEL0138・56・1570。(金子真人)


◎環境省、震災がれき 可燃物の道内受け入れ中止…太平洋セメント白紙≠ノ

 環境省の震災がれきの処理工程表で、岩手県の可燃物と木くずの広域処理に見通しが立ったとして、道内での受け入れ中止が決まった。セメント原料や燃料として使う可能性が浮上していた太平洋セメント上磯工場(北斗市谷好)での処理も白紙に戻す。

 工程表によると、同県の広域処理必要量約120万d(可燃物、木くず、不燃物の合計)のうち、可燃物と木くずの約30万トンは東京、大阪、秋田など12都府県で対応可能とし、道は受け入れ先に含まれていない。渡島総合振興局は「国、県、道の3者でマッチング(調整)を続けてきたが、他県がどんどん進んだので、道に来る分がなくなった」と説明する。

 北斗市と同工場に対しては、3月末に高橋はるみ知事が訪れ、協力要請していた。高谷寿峰市長は「5月と今回の見直しでがれきの全体量が減ったが、広域処理を求めた段階で必要量の精査をしていれば良かったのではないか。ただ、現在でも被災地で広域処理を必要としているならば、助けてあげたい気持ちには変わりはない」と述べた。

 市民団体「道南がれき問題を考える会」の長谷川昭一代表(56)は「まずは安心したが、漁具の受け入れが取り沙汰されている。広域処理の危険性を引き続き市民に啓発し、行政にも受け入れないよう働き掛けていく」と話した。

 一方、同県の漁具・漁網(不燃物)の処理見通しが立たず、国から要請があったことから、道は不燃物の受け入れ方針を示す、道南の南部桧山衛生処理組合、渡島西部広域事務組合と検討に入った。(山崎大和、今井正一、鈴木 潤)


◎ニューイトヘイ大門店 60年の歴史に幕

 函館市松風町4の老舗手芸用品店・ニューイトヘイ大門店が15日、たくさんの常連客に惜しまれながら、60年以上にわたる歴史に幕を閉じる。(金子真人)

 1947年に創業者の中澤竹也さんが、大門広小路(松風町9)に店を構え、北洋漁業の乗船員を相手に毛糸などを販売。1951年に、手芸用品の専門店として大門店を開いた。

 竹也さんの長男の真一さんの代には、化粧品を扱う店を中心に、市内で12店舗を展開。しかし、真一さんが2002年に亡くなり、家族は閉店も考えた。

 それでも先代が苦労して築きあげた店を続けたいという思いで、真一さんの妻の道子さん(65)が大門店、東京でメーキャップアーチストをしていた長男の徳郎さん(38)が帰郷し、化粧品を中心に扱う広小路店を担当。2店舗を継続させ、専門的な知識と、丁寧な接客で、多くの常連客に愛されてきた。

 だが、道子さんはこのたび、高齢の母の介護に専念するため、大門店の閉店を決めた。「先代や支えてくれたスタッフ、そしてお客様のおかげでここまで続けることができた」と感謝の言葉を口にした。閉店を知って訪ねてきた70代女性は「20代のころからお世話になっていた」と話し、長く地元で愛された店の閉店を惜しんでいた。

 広小路店は2003年に「cosme de ias(コスメドイアス)」としてリニューアルし、これからも徳郎さんが営業を続ける。