2012年9月1日 (土) 掲載

◎旧グルメシティ五稜郭建て替えへ 市中心市街地活性化基本計画の原案公表

 函館市は31日、年度内に国の認定を目指す「中心市街地活性化基本計画」の原案を公表した。旧グルメシティ五稜郭店(本町)を商業施設と集合住宅を組み合わせた複合ビルに建て替えるなど、計53事業を盛り込んだ。計画達成に向け具体的な数値目標も示し、JR函館駅前・大門地区を含めた中心街のにぎわいづくりを進める。

 函市内のホテルで開かれた商業団体や金融機関、学識経験者らでつくる法定協議会「市中心市街地活性化協議会」で報告。計画が国に認定されると、対象エリア内の事業への補助額などが優遇される。

 函今年1月に示した素案を基に事業内容などを整理。原案は101nに上る。対象となる駅前・大門から本町・五稜郭地区の市電沿いの約200fや、2013年4月〜18年3月の5年間の計画期間に変更はない。

 函09年から空きビルとなっている旧グルメ跡地については「所有者が建て替えの意向」(市経済部)を受け、若者向けの商業施設やマンションなど高層の複合ビルに再整備。早ければ14年4月にも解体に着手し、17年度までに完成させる。  ビル内には小劇場や起業家支援、若者向けの多目的スペースなど「市民交流プラザ」を設置。市がワンフロアを買い上げ、公共空間を整備する。駅前で建て替え予定のWAKOビル(若松町)と同様に、高層階はマンションとなり、街なかへの居住も推進させる。

 函このほか、五稜郭地区では民間のまちづくり会社が屋台村のような屋外フードコート「Gサイト(五稜郭グルメ村)」を開設。20〜30店舗が並び、遅くとも14年秋までの開業を目指す。

 函一方、駅前・大門地区は、子育て世代や高齢者をターゲットに呼び込む方針で、老朽化した駅前通のアーケードを撤去するほか、建て替え後のWAKOビル内には現行の大門キッズスタジアムなどを集約した「子育て世代活動支援プラザ」を市が整備する。

 函事業効果を表す数値目標も新たに設定。17年時点の中心市街地の年間観光客数を10年比6・7%増の377万1000人、1日あたりの歩行者通行量を12年比3・9%増の4万2000人とした。協議会では「駐車場を整備し、消費機会を増やさなければ」と、函館駅前広場の機能拡充を求める声も上がった。

 函計画は11月までに原案を成案化し、来年1月に内閣府に申請、同3月の認定を目指す。(森健太郎)



◎シカ肉解体 間近で学ぶ 函短大付設調理製菓専門学校で特別授業

 函館短期大学付設調理製菓専門学校で31日、シカ肉の解体特別授業が行われた。学生たちは目の前でロースやモモなどの部位に切り分けられていく様子に見入っていた。

 授業は北の国ファーム(函館市米原町)の渋田喜徳さん、北海道産ファーム(同市亀田本町)の渋田孝さんらの協力を得て実施。職人の鮮やかな包丁さばきを興味深く見つめながら、シンタマやランプなど各部位の特徴について学んだ。

 解体後は渋田孝さんが精肉になるまでの流れを説明。「血抜きと温度管理が大事。血抜きに失敗すると獣独特の匂いが残る」と伝えた。

 切り分けた肉はソテーをして、全員で試食。同校の吉田徹教頭が「シカ肉は赤ワインや梅酒など少し酸味のあるソースと合う」と話し、ゴマソースや韓国風のタレなど6種類を紹介した。学生たちはそれぞれのソースをかけながら、シカ肉のおいしさを堪能した。(平尾美陽子)



◎いけすイカ 高温で死ぬ 暑さ続き海水温で

 函館のスルメイカ漁で、市場で高値取引される「いけすイカ」が水揚げ前に死んでしまう事態が相次いでいる。連日の暑さによる海水温の上昇が原因とみられ、死ぬと商品価値が下がってしまう。漁業者は一日も早い水温の安定を願う。

 高温となった漁船の水槽内に長時間入れられることで、イカが体力を消耗し死んでしまうようだ。

 市内の函館市漁協と銭亀沢漁協の所属漁船30隻が、いけすイカを水揚げ。一回の漁で1隻当たり70`の上限を設けているが、現在はどの船も上限まで出荷するのが難しい状況だ。いけすイカは活イカの次に高値が付くが、現在はその下のランクの発泡下氷や木箱での出荷を余儀なくされている。「価値が下がり、漁業者の収入も減っている」と市漁協。

 例年だと8月の盆を過ぎると水温が下がってくるが、今年は残暑と少雨の影響もあり、水温が高いまま推移しているという。

 市漁協では、1日当たり300〜400件も注文が入る「ふるさと小包」も扱っており、今年は10日に発送を始める予定。今後、イカの確保が厳しくなることも予想される。

 道総研函館水試(湯川町)が8月23日に調査した函館沖の表面水温は24・8度。イカが長時間生存できる水温は22度とされ「高すぎる」と指摘。道南は、向こう2週間も気温が高めに推移する見込みで、漁業者の苦悩は続きそうだ。(山崎大和)


◎LCC効果で七飯合宿 東京の専門学校サッカー部、費用抑制で実現

 【七飯】日本工学院八王子専門学校(東京)のサッカー部が29日、東大沼多目的グラウンド「トルナーレ」で合宿に入った。「素晴らしい芝」と選手たちが口を揃える国内屈指の環境で、チーム強化に励んでいる。今回の合宿実現は、LCC(格安航空会社)の就航がカギを握っていた。

 同サッカー部はトップチームが関東リーグ2部で活躍する強豪。この日は、選手やコーチ、同校関係者ら約30人が町教委の歓迎を受けた。

 吉田雅幸教育長は「思う存分技術を磨き、皆さんの中から世界に羽ばたくトップアスリートが誕生してくれればうれしい」とあいさつ。同校の酒井隆也チームキャプテンは「七飯町の皆さんの全面的な協力で、北海道合宿が実現できた。しっかり練習したい」と述べた。合宿中には、道教大函館校との練習試合も予定されている。

 同校が七飯町を合宿地に選んだのは、千葉茂校長の父・昇さんが大沼出身だったことがきっかけ。昨年、昇さんが母校の大沼小学校に魚の観察用水槽を寄贈した際、代理で千葉校長が七飯を訪れた。トルナーレを見た千葉校長は「選手たちに、この素晴らしい環境でサッカーをさせてやりたい」と、合宿地の検討をスタート。しかし、合宿費は基本的に学生自身が負担するため、高額な航空運賃がネックだった。

 転機はLCC(格安航空会社)の相次ぐ参入。今回の合宿には、7月に就航したばかりのジェットスター・ジャパンの成田ー新千歳便を利用し、費用を大幅に抑えることができたという。これまでは長野県で合宿を行っていたが、LCCを利用することで、「(北海道の)コスト面でのデメリットはなくなった」(山野大星副校長)。

 同校の関係者は町教委の案内で、町内の教育施設や大沼周辺の観光施設も視察。山野副校長は「別のスポーツ部の合宿や新入生向けの宿泊研修の候補地としても(七飯町を)視野に入れたい」と前向きだ。改行 町教委は「七飯には大沼国際セミナーハウスなど、学生のゼミに適した施設もあるので、ぜひ利用してほしい」と話している。(森裕次郎)


◎新幹線特別委、今月に設置 函館市議会

 函館市議会の議会運営委員会(金沢浩幸委員長)は31日、北海道新幹線開業に向けた特別委員会設置に関し、9月4日に開会する第3回定例会の会期中に設置を決定することを決めた。

 設置を提案した市政クラブが、新函館駅(仮称)—現函館駅間のアクセスや、開業に伴う観光、産業振興を調査事項とする考えを説明。各会派は概ね了承したが、総務常任委員会で進めている調査との関係を整理するよう求める声も上がり、この日は結論を持ち越した。

 また、各常任委員会ごとの議員報告会に関し、11月14日に経済建設常任委員委、同19日に総務常任委、同22日に民生常任委で開くことを決めた。

                 = ◇ =

 第3回定例会は4日開会、会期は25日までの22日間。提出議案は本年度一般会計補正予算、観光振興基金の制定など19件。一般質問は7、10、11日の3日間で16人が登壇し、一問一答制を今回も試行する。

 昨年度決算15件は、委員8人からなる決算特別委員会に付託され、18〜20日に審議を行う。(千葉卓陽)