2012年9月13日 (木) 掲載

◎夢の豪華客船 船内にうっとり 飛鳥U入港

 郵船クルーズ(東京)が運航する国内最大の豪華客船「飛鳥U」(5万142トン)が12日、函館港に寄港した。港町ふ頭(函館市港町2)では歓迎セレモニーが行われたほか、高倍率の公募で選ばれた市民らが豪華な船内設備を見学した。

 飛鳥Uは本年度、函館に4回寄港する予定で、今回が3回目。11日に伏木港(富山県)を出港し、函館と青森を巡る3泊4日のショートクルーズの途中で、乗客約700人を乗せ、12日午前7時すぎに港町埠頭(ふとう)に接岸した。

 岸壁では歓迎式典が開かれ、片岡格副市長が「観光名所や豊富な海産物など函館の魅力を十分に楽しんで」とあいさつ。七飯町産のリンゴのワインなどが贈られた増山正己船長は「入港のたびに温かい歓迎をありがとうございます」と述べた。

 同日午後の船内見学会には50人の定員に対し、523人の希望者が殺到する人気ぶり。参加者はプールやカジノ、映画館など船内の豪華設備を見て回り、初めて乗船した七飯町の会社員村瀬直子さん(34)は「ホテルよりもきれいで感動した。宝くじでも当たったらいつか乗りたい」と話していた。

 同船は同日午後10時ごろ、ブラスバンドの演奏やいか踊りの見送りを受け、次の目的地の青森港に向けて出港した。(森健太郎)



◎白鳥さん全道一に 勝ち抜き歌謡選手権

 函館市宝来町の会社員、白鳥美幸さん(23)が9日、札幌で開かれた「第26回全道勝ち抜き歌謡選手権チャンピオン大会」(イベントセンターヒット主催)で初優勝した。昨夏63歳で亡くなった最愛の母冨美代さんの支えを力に、アマチュア歌手全道一≠ノ輝いた。

 同大会は演歌、歌謡曲などジャンルは自由で、アマチュアを対象に毎年開催。道内の各地区大会上位入賞者が出場できる。

 子どものころから演歌好きの冨美代さんに歌を教わってきた白鳥さん。小学高学年の時に歌謡教室へ通い始め、徐々に歌唱力を身に付けた。高校3年の時には北斗市で開かれた「NHKのど自慢」で優勝。近年は地元の催しにも年10回出演するなど、活発に活動している。

 その活躍の陰には、背中を押してくれた冨美代さんの存在があった。「祭りや大会にはいつも母が付き添ってくれた。その明るさに随分救われてきた」と白鳥さん。しかし昨年8月、冨美代さんは肺がんで帰らぬ人に。ショックは大きく、「歌をやめよう」と考えたこともあったが、「ここで終わったら(母に)申し訳ない」と、7年ぶりに同チャンピオン大会への出場を決めた。

 大会には全道から計28人が出場。白鳥さんは歌手大月みや子さんの「女の哀愁」を伸び伸びとした美声で歌い上げた。結果発表で名前を呼ばれた時、涙を抑えることができなかった。「母がどこかの席で見守ってくれた気がした。歌声は届いたはず」と振り返る。

 レコード会社から歌手デビューの話も持ち掛けられるが、あくまで趣味として活動を続けたいといい、「20代前半で演歌を本格的に歌う人は私しかいないのでは。母やお世話になった人への感謝を忘れることなく歌い続ける」と笑顔で話している。(長内 健)



◎昨年度連結決算 函館市2年連続で黒字 一般会計は実質赤字

 函館市の一般会計、特別会計、企業会計を合わせた2011年度全会計連結決算は26億5400万円の黒字で、2年連続で黒字を確保した。一般会計は10億3154万円の黒字だったが、地方交付税減少に伴う退職手当債発行などで、実質的には3億7000万円の赤字となっている。

 一般会計の歳入は、市税がたばこ税の伸長で市民税の落ち込みをカバーし、前年度比で約5500万円増加。一方で地方交付税は10年の国勢調査での人口減少が影響し、予算比で7億9300万円減少し、前年度比でも7億2000万円減少。臨時財政対策債を含めた総額では18億3200万円の大幅減だった。

 歳出では光熱費やコピー代などの経常費を約8億円圧縮、職員給与を1月から平均5・5%削減して1億3900万円を生みだしたが、交付税減額分の穴埋めはできず。基金を4億円取り崩し、退職手当債10億円を発行して黒字を保った。

 自主財源の割合の高さを示す財政力指数は11年度で0・450と、前年度比で0・12ポイント悪化しており、市財政課は「地方交付税の増減が大きく影響した結果」と分析している。

 特別会計では、自転車競走事業(競輪)と国民健康保険事業で単年度赤字を計上し、全体では6億850万円の赤字。企業会計では病院事業で4億5300万円の単年度黒字を計上し、09年度に約24億円(公立病院特例債を除く)あった累積赤字は6億8900万円まで圧縮された。

 自治体の財政状況は財政健全化法に基づき、@普通会計の実質赤字比率A全会計の連結実質赤字比率B実質公債費比率C借金の将来負担比率—の4指標を示すことが義務付けられている。11年度は@、Aとも黒字のため数値はなく、標準財政規模(市税と地方交付税)に対する借金返済の割合を示す実質公債費比率は8・2%で前年度と同率。借金の将来負担比率は96・4%と、前年度比で13・2ポイント改善した。

 市監査委員は意見書の中で「人口減少により、一般財源の大幅な増収が見込めない状況が続く。中長期的な財政需要を見通しながら、行財政改革の推進を」と述べている。(千葉卓陽)


◎旬の味覚ずらり 秋の道南フェアスタート

 旬の味覚を集めた「秋の道南フェア」が12日、丸井今井函館店(函館市本町)の地下催事場で始まった。会場には新鮮な野菜や水産物のほか、各市町を代表する食品がずらりと並び、大勢の買い物客が訪れにぎわった。18日まで。

 同店の主催で、渡島総合振興局も協力。フェアには函館、七飯、鹿部、木古内の1市3町から5店が参加した。

 オーガニック食品を取り扱う函館市のエヌ・ハーベストは、20種類以上のスパイスや有機紅茶、パイナップルなどのドライフルーツを販売。木古内町の秋山農園は、ナスや枝豆などの新鮮野菜を並べたほか、同町のご当地キャラ「キーコ」をあしらったべこもちを提供し、訪れた客が次々と手に取っていた。

 また、久上工藤商店(木古内町)の熟成味付ラム、山川牧場(七飯町)のロースビーフサンド、イリエ船橋水産(鹿部町)のタラコも人気を集めていた。(松宮一郎)