2012年9月18日 (火) 掲載

◎いけすイカ直行便 今季発送 函館市漁協

 函館市漁協(橘忠克組合長)は17日、漁船のいけすから直接水揚げしたスルメイカをチルド便で直送する「生け簀(す)イカ直行便」の今季の発送を始めた。異例の残暑で海水温が上昇、いけすイカが死んでしまう事態が相次いだため、発送開始日を1週間遅らせた。同漁協は、イカの確保にめどが付き安堵(あんど)している。

 毎年9月上旬〜10月上旬の期間限定で実施し、8月下旬から予約を受け付け。今年の注文数は今月10日現在で約7500個。昨年は約1万個を全国へ届けた。

 初日は、イカ釣り船が函館漁港(入舟町)に戻った午前3時半ごろから作業を開始。漁業者が船底の水槽から水揚げしたイカを素早く箱詰め後、陸で待ち構えた漁協や郵便局の職員らがしっかり封をして約300個を発送。1箱6匹入り1.2キロで3300円(送料含む)。

 函館駅前郵便局(若松町)の庄司直紀局長は「毎年人気の企画。今年は昨年より受け付け期間を2週間延ばしたので、数量的にも増えそうだ」と話す。「まだ海水温は高いが、函館のイカを待っているお客の期待に応えたい。水温が下がれば、徐々に発送量も増えるだろう」と同漁協。

 市農林水産部によると、市水産物地方卸売市場(豊川町)でのスルメイカの今月上旬の取扱量は、前年を38トン上回る214トン。9月上旬としては、2007年以降では08年(618トン)に次ぐ。6月〜9月上旬の取扱量も2335トンとなり、07年以降では3番目に多くなっている。

 注文は10月12日まで。郵便局のほか、同漁協ホームページ、ファクスTEL0138-22-3051で。問い合わせは同漁協TEL23-3195へ。(山崎大和)



◎藤城小児童、キンボールで全国準V

 【七飯】藤城小学校の児童でつくるキンボールクラブ「遊わっぱクラブ」の2チーム「ワッパーズRi(アールアイ)」と「ワッパーズWIN(ウィン)」が15日、岩手県盛岡市で行われた全国大会「第13回キンボールスポーツジャパンオープン・フレンドリーカップ」に出場。「Ri」が準優勝の栄誉を手にした。16日夜、函館に戻ったメンバーは「まさか初出場でここまでできるとは思わなかった」と喜びを語った。

 同クラブの「Ri」と「WIN」は、競技初心者向けの「フレンドリーの部・ジュニア」に出場。30チームが9ブロックに分かれた予選リーグでは、ともに3戦3勝。リーグトップで準決勝進出を決めたが、組み合わせの結果、「Ri」と「WIN」が同ブロックに入ることに。

 七飯勢の直接対決となった準決勝では「Ri」が勝利し、決勝進出を決めたが、「Ri」の若狭みなみさん(12)は「『WIN』のためにも頑張ろうという思いが強くなった」と語る。

 決勝は、富山県代表の2チームと対戦し、「Ri」は惜しくも準優勝となったが、野沢海斗君(12)は「ここまでいけるとは思わなかった。うれしい」。池田愛梨さん(11)は「決勝の相手はスピードと団結力がすごかった」と振り返った。

 選手らは、16日午後10時過ぎ、フェリーで帰函。キャプテンの青山龍人君(11)は「まだ実感がわかない」とはにかんだ。熱戦を見守ったコーチの小松明稔さん(44)は「キンボールは一生続けられるスポーツ。試合だけでなく、地域の触れ合いの機会としても続けていってほしい」と話していた。(森裕次郎)

 ◆キンボール カナダで生まれた屋内球技。1チーム4人編成で、1試合で3チームが競いあう。直径122a、重さ1`のボールを床に落とさないようヒット(サーブ)やレシーブを繰り返し、失敗すると他の2チームに得点が入る。



◎縄文遺跡群の価値紹介 世界遺産登録目指し札幌で国際シンポ

 【札幌】北海道、東北3県にまたがる縄文遺跡群の世界遺産登録を目指した国際シンポジウムが17日、札幌市中央区のロイトン札幌で開かれた。実際に遺跡群を視察した海外の専門家4氏が講演し、縄文文化の魅力や世界遺産登録の可能性などについて語った。

 文化庁と、4道県、関係12市町で構成する縄文遺跡群世界遺産登録推進本部が主催。同遺跡群の世界遺産登録に向け、国内外に学術的な価値をアピールする目的で開いた。

 約200人が出席し、同推進本部の副本部長を務める高橋はるみ知事が「縄文文化とその遺跡群について理解を一層深めてほしい」とあいさつ。次いで、海外の専門家が講演し、国際記念物遺跡会議(ICOMOS、イコモス)考古学遺産管理委員会共同代表のダグラス・コマー氏(米国)と、同委員会委員のジョン・ピーターソン氏(同)、同委員会専門委員のシンティア・ダニング氏(スイス)、中国社会科学院考古研究所考古学センター副所長の劉國祥(りゅうこくしょう)氏(中国)の4氏が事例発表などをした。

 自然と人間が共生しながら約1万年続いた縄文文化について、コマー氏は「実際に視察し驚くべき発見をした。世界遺産登録に向け説得力のある事例」との認識を示した一方で、「登録に伴う周辺整備や開発を慎重に進めながら管理維持する必要がある。登録に向けた推薦書類にはどのように管理保全していくかをきちんと説明し、世界の模範となるよう期待したい」と述べた。

 4氏の報告のほか、縄文遺跡群世界遺産登録推進会議座長で、青森県教育庁文化財保護課の岡田康博課長が世界遺産登録に向けた取り組みを紹介。シンポジウムの前に行われた4氏と国内専門家による意見交換について、縄文遺跡群世界遺産登録推進専門家委員会の菊池徹夫委員長が「(4氏には)縄文文化の精神性を理解していただき、好意的な評価をいただいた」と述べた。(鈴木 潤)


◎被災地にきれいな花を 美原老人福祉センターがビオラの種寄贈

 函館市美原老人福祉センターの園芸クラブは17日、東日本大震災被災者向けにとビオラの種1000袋分を被災者支援団体「函館・むすびば」(丸藤競代表)に寄贈した。

 同クラブは講師を務める樹木医の齋藤晶さんの指導で野菜や果物を育てており、種はそこから集めた。市内西部地区の16郵便局でつくる「函館西部会」も、日ごろ集めた種を持ち寄った。

 この日は同クラブを代表し、齋藤さんが丸藤さんに種を手渡した。岩手県釜石市に30回以上足を運んでいるという丸藤さんは「大変ありがたい。落ち込んでいる人が大勢いる中、美しい花が咲けば気持ちにゆとりが生まれるはず」と願い、齋藤さんは「子ども同士で種を植えることで連帯意識が生まれる。きれいな花を咲かせてほしい」と笑顔で話した。

 種は釜石市の仮設住宅運営センターに送り、団地の花壇に植えられるという。(長内 健)


◎北海道馬頭観音研究会が紹介冊子発刊

 北海道馬頭観音研究会(高久賢会長)はこのほど、「渡島・桧山の馬頭さん」を発刊した。両管内に現存する241基の馬頭観音を紹介した冊子。道内では開拓の早い地域だけに「建立年代の古いものが多く、他の地域では見られない特徴をもった馬頭さんが現存している」(高久会長)と説明している。

 馬頭観音は馬の慰霊や安全守護への信仰対象として数多く建立された。同研究会を主宰する高久会長(78)=胆振管内白老町在住=は教員を退職後、「本道開拓に大きな役割を果たした馬の文化を記録したい」と本格的に道内での研究を開始。市町村教委や郷土史家らの協力を得て、これまでに後志、空知、十勝、胆振、日高、石狩の調査を終え、冊子を発刊している。

 調査の結果、道内3425基のうち、渡島管内には196、桧山管内には45の馬頭観音があることが分かった。江戸時代に建立された道内20基のうち、両管内に16基が現存するなど、「全体数は多い方ではないが、歴史のある馬頭さんが多数残っている」(高久会長)という。

 珍しい特徴をもった馬頭観音としては、森町禅昌寺にある屋号入りのものや、函館市恵山の尻岸内八幡神社に残る「大山祇神(おおやまずみのかみ)」と合体したものが挙げられるという。第13代松前藩主の崇広が愛馬の名を記して建立した「駿足東雲墓」や札幌開拓に功績を残した大友亀太郎が七飯町につくった馬頭観音も貴重だ。

 冊子はA4判72n。両管内の全241基を市町村別の一覧表で記録しているほか、冒頭ではカラー写真で大半を紹介している。1冊1500円で販売している。問い合わせは同研究会(рO144・83・2200)。