2012年9月20日 (木) 掲載

◎シンガポール学生と函高専生が交流

 シンガポールの工科専門学校「リパブリック・ポリテクニック校」の学生24人(男性12人、女性12人)が来函し、函館工業高等専門学校(函高専、岩熊敏夫校長)の学生と交流している。19日には、函高専で共同実験が行われ、科学の楽しさを学んだ。

 国立高専機構(東京)とシンガポールのポリテクニック5校が結んだ交流協定に基づき、国際交流促進に向け函高専がリパブリック・ポリテクニック校に連携を提案して合意。初の来函が実現した。同校には1万4000人が在籍する。

 一行は17日に来函。22日まで市内の工場見学や観光などを体験する。  実験には、函高専本科2年〜専攻科2年の学生10人が参加。10班に分かれて「過冷却現象」を実習。各班で内容をまとめ、20日に英語でプレゼンテーションする。3年生のイサベルさん(20)は「自分たちの学校と講義や実験に違いがあり、大変興味深い。函館山や朝市に行くのが楽しみです」と話していた。

 来年3月には、函高専の学生がシンガポールを訪れる予定。(山崎大和)



◎大間原発建設容認発言受け、デモ金あす緊急抗議行動

 現職閣僚から大間原発(青森県大間町)の建設再開容認発言が相次いだことを受け、首相官邸前デモを応援する函館金曜デモ(通称・デモ金)は21日夜、市内で緊急抗議行動を行う。あんどんを持って市役所前〜金森倉庫を練り歩き、同原発建設中止を訴える。

 19日には、市内柏木町のNPO法人南北海道自然エネルギープロジェクト事務所で、有志7人が巨大あんどん4基を作った。「大間原発建設再開 怒」「危険なエネルギーNO(ノー)」などと書かれた用紙を、丁寧に木枠に張り付けた。このほか、木製40個、ペットボトル製20個の計60個も用意する。

 呼び掛け人の一人、ピーター・ハウレットさん(57)は「大間原発が2016年にも稼働した場合、40年使えば50年代まで動くことになる。30年代原発ゼロが目標なのに、この政策は本末転倒もはなはだしい。函館の怒りの声を結集するため、多くの参加を」と呼び掛ける。午後6時に市役所前に集まる。

 デモ金は28日休み、30日午後に千代台公園(千代台町)で、同原発建設に反対する大規模な集会とウオークを予定している。

 問い合わせは高橋さんTEL080-5590-4117へ。(山崎大和)



◎基準地価、渡島21年連続で下落

 道は19日、7月1日現在の基準地価(本年度地価調査)を発表した。渡島管内の1平方b当たりの平均価格は1992年度から21年連続の下落となる2万8700円。下落率は4・4%で、下げ幅は若干縮小したが、依然として厳しい経済情勢を反映した。函館市内の住宅地は3万7700円(下落率3.6%)で15年連続、商業地は6万7800円(同4.8%)で4年連続の下落。選定替えを除き、渡島、桧山の全地点で下落した。

 渡島管内の最高価格は商業地が函館市本町7の21の第一マルカツビルで、10万5000円(同4.5%)。住宅地は、同市本町29の11で7万3500円(同2.6%)。同市内の住宅地は郊外の住宅地で下落率が縮小し、大規模な分譲住宅地の開発も進み供給過多の状況で安値取引もみられる。商業地は、景気低迷や需要減退の影響が続いているが、下落の継続から「値ごろ感の醸成」がみられるという。

 渡島総合振興局は「下落率は縮小したが上昇する要素は見当たらない。新幹線開業を控えているが、土地動向にどのように影響するかみえてこない」(地域政策課)とする。

 函館近郊では、北斗市の住宅地が2万6200円(同3.3%)で下げ幅は縮小。商業地は4万6000円(同6.1%)で、4年連続で下落率が拡大した。七飯町は住宅地が1万8300円(同3.8%)、商業地は3万500円(同6.2%)。渡島のその他の町では、住宅地は長万部、木古内、商業地は木古内、森での下げ幅が大きい。

 桧山管内では、全用途平均で1万3000円(同3.1%)で11年連続の下落。最高価格は住宅地が江差町豊川町106の1外の1万6900円(同5.1%)、商業地が同町中歌町59の2の3万8600円(同8.1%)だった。

 全道では、住宅地が1万8400円(同3.3%)、商業地が5万8400円(同4.8%)。札幌市内で需要回復がみられ、住宅地は同市内3地点、旭川市内1地点、商業地は札幌市内の3地点で上昇した。

 調査は国土利用計画法施行令に基づき道が実施。国土交通省が1月1日現在で判定する「地価公示」とともに一般の土地取引の指標として用いられる。管内の基準地は渡島76地点、桧山29地点。(今井正一)


◎反日デモ 観光に影響、中国客の宿泊キャンセルも

 沖縄県の尖閣諸島をめぐり、中国国内で連日続いたデモと反日感情の高まりは、函館市内の観光施設などにも影響を与えている。市内のホテルでは中国からの観光客のキャンセルが出たほか、関係者からは一気に冷え込んだ両国の関係を懸念する声が聞かれた。一方、民間交流を進める団体は市民レベルでの交流に影響はないとし、早期の問題解決を願っている。

 市内のあるホテルでは10〜11月の中国からのツアー7件、200人の予約がキャンセルになった。ホテルの支配人は「一番利用が多いのは台湾からの客で、全体的に見れば影響は限られている。ただ、早く問題が解決しないことには売り込みもできない」と話す。

 中国からの誘客に力を入れる全日空函館支店は今月、中国の旅行会社を招き、市内の観光地をPRするプロモーション活動をした矢先に反日デモが拡大した。同支店では「しばらくはプロモーション活動ができる雰囲気ではない」とため息をつく。

 函館市も6月に北京と上海で観光プロモーションを行ったばかり。市観光コンベンション部では「震災の影響から脱し、函館観光が持ち直しの動きを続けているだけに、今回の問題は残念」とし、「事態が好転するのを待つしかない」と話した。

 観光関係者からは両国の関係を懸念する声が上がる一方、民間交流には影響が出ていない。函館日中友好協会の東出隆司会長は「今の段階で本年度の留学生の受け入れや、行事の中止、変更はなく、市民レベルの交流には問題はない」と友好関係を強調。「尖閣諸島の問題は国と国との問題だ」と指摘した。

 留学生を受け入れ、さまざまなプログラムを行う北海道国際交流センターの池田誠事務局長は「長年の間に築かれた人と人のつながりがある。反日デモがあっても民間との交流に直接的な影響は起こらないのでは」と話していた。(松宮一郎、平尾美陽子)


◎西部地区の家賃補助対象、子育て世帯へ変更検討

 定例函館市議会は19日、決算特別委員会(浜野幸子委員長)を続行し、経済建設常任委員会所管分を審議した。市都市建設部は、市内西部地区で賃貸住宅の家賃を一部補助する「ヤングカップル住まいりんぐ支援事業」について、来年度にも対象を新婚世帯から子育て世帯に変更するなど制度を見直す方針を示した。

 佐々木信夫氏(市民クラブ)への答弁。

 市は高齢化が進む西部地区の人口流出を食い止めようと、1998年に事業を開始。JR函館駅前を含む市内西部地区20町を対象に、新婚1年以内の夫婦が民間賃貸住宅に入居する場合、月5000円〜1万5000円を最長5年間補助している。

 市住宅課によると、昨年度までに449世帯が制度を利用し、「少なくとも900人以上の居住促進が図られた」と説明。昨年度は新規の29世帯を含む124世帯に1377万円を補助し、月額平均補助額は9200円。

 一方、昨年11月の外部委員による市の事業仕分けでは補助期間後の定住率の低さなどから「見直しが必要(廃止を含む)」と判定。佐々木氏は「仕分け後の検討状況は」と質問し、戸内康弘都市建設部長は「子育て世帯への変更や補助期間の延長、所得限度額の引き下げなど、来年度予算要求に向けて補助要件の見直しを進めている」と述べた。(森健太郎)