2012年9月24日 (月) 掲載

◎姉妹樹のよう日中友好さらに 中国から祝いの親書

 【乙部】町内の巨木「縁桂(えんかつら)」に触れるフェスティバルが23日、町内で行われた。開催に合わせて姉妹樹の友好関係にある中国張家界市から親書が届き、参加した350人の前で読み上げられた。

 縁桂は樹齢500年、高さ40メートル、幹の周囲最大6.1メートルのカツラの巨木で、縁結びの神が宿るとされる。隣り合う2本の木から伸びた枝が地上7bで結合して成長を続けた「連理(れんり)の木」で、中国張家界市にある同様の「重歓樹」と2005年に友好姉妹樹となった。

 親書は9月9日付で、同市の趙小明市長から寺島光一郎町長と町民に向けて送られた。祝賀状と題し「両者がともに努力すれば友好がさらに昇華し、中日人民の友好事業に新たな貢献をするものと確信している」とつづっている。尖閣諸島の領有権問題で、中国国内で反日デモが広がった後だけに、寺島町長は「親書を受け取り、縁桂のように互いを思いやる真心の必要さを強く感じている」と話していた。

 また、フェスでは、縁桂の前で奥尻出身の詩人麻生直子さん(70)が詩を朗読した。「一本の木が健やかに立っていられるのは支えている隣の木があるからだ。山全体のたゆみない力であなたを空へ押し上げているからだ。近くで苦しんでいる子どもや遠くで泣いている子どもたちに木よ、どうぞ守ってください」—。参加者は巨木の周りを歩き、樹木に両手を当てて神秘的な雰囲気を満喫した。

 乙部小2年の萬木乃愛さん(8)、優空さん(8)姉妹は「大きな縁桂の前で、しっかりお願い事をした」と話していた。    (田中陽介)



◎杉本さん日本一に 江差追分全国大会閉幕

 【江差】第50回記念江差追分全国大会は最終日の23日、江差町文化会館で決選会が行われ、東京都の杉本武志さん(38)=菊水会支部=が追分日本一の栄冠に輝いた。熟年大会は札幌市の木田弘さん(69)=札幌東白石支部=、少年大会は札幌市の東美羽音さん(9)=乙部鴎翔会支部=が優勝した。

 同大会は1963年に町民手づくりで始まり、国内外に愛好者のすそ野を広げてきた。予選を勝ち抜き、一般の部決選会に進んだ50人の中から最高位に選ばれた杉本さんは、追分に懸ける人々の思いが詰まった優勝旗を手に、歓喜の歌声を披露。「2年前の決選会で息切れして失敗し悔しい思いをした。今日はその雪辱を果たすことができた」と涙で声を震わせた。

 例年になく本州や道央勢の上位入賞が相次ぎ、道南から10位以内に入ったのは、地元江差町の山本康子さん(51)=鴎声会支部=ただ一人だった。

 早朝から客席で大会を楽しんだ札幌市の石ヶ森拓忠さん(82)は「江差追分が大好き。江差に来て良かった。また来年も来たい」と満足の様子。大会事務局長の小田島訓さん(57)は「50回大会の成功の原動力は、追分を愛する皆さんの思いが大きい。100回大会への歩みも見守ってほしい」と話していた。  ■江差追分全国大会上位入賞者(敬称略)

 一般=@杉本武志(東京)A川俣明彦(埼玉)B黒森このみ(札幌)C三浦麻衣(大阪)D柿沼初雄(栃木)E佐藤美枝子(札幌)F山本康子(江差)G佐竹春敏(浦臼)H中田桂敏(岩手)I村川真奈美(苫小牧)

 ◇熟年=@木田弘(札幌)A佐藤修三(秋田)B本田勝三(函館)C飯尾利雄(洞爺湖)D石黒長雄(留萌)E鈴木弘(音更)F植田征克(深川)G藤本哲(倶知安)H菅井妙子(小樽)I細木利良(音更)

 ◇少年=@東美羽音(札幌)A今井柚唯子(大阪)B田村つくし(江差)C竹野留里(室蘭)D高橋稜(江差)E前川みどり(江差)F西口真由奈(奈良)G鈴木清か(愛知)H田中菜々(江差)I小山田祐輝(札幌)  (田中陽介)



◎五稜郭市営住宅 待望の共同浴場 署名活動実りオープン

 函館市五稜郭町の市営住宅内に、団地住民が利用する共同浴場「いつでも元気」がオープンした。浴室のない部屋に住む高齢者らは5年前に近所の銭湯が廃業して以来、バスで温泉に通うといった不便を強いられてきた。団地住民たちは「長かったが、4年越しの願いがかなって本当にうれしい」と喜んでいる。

 共同浴場は5号棟の1階に開設し、今月4日から供用開始した。湯船は1つで、6人程度が入れる広さ。利用できるのは団地住民のみ。

 団地周辺では徒歩10分で通える田家町の銭湯「田家湯」が営業していたが、2007年に火事で廃業。半径1`以内に浴場施設がなくなり、最も近い温泉まで30分以上も歩かなければならなかった。

 団地住民は「げた履きで行けるお風呂がほしい」と、08年に「五稜郭市営住宅にお風呂をつくる会」を結成。署名活動を行って、市に陳情書を提出するなどの取り組みを重ねた結果、市が1600万円の工事費を負担し、共同浴場が建設されることになった。

 運動に関わった青柳シサさん(82)は「みんなでタクシーで行ったら割り勘で安上がりになるよとも言われたが、諦めないで運動してきた。たくさんの人に応援してもらったおかげ」と感謝する。

 入浴日は男女とも週2回で、今後利用状況に応じて開設日や時間帯を決める。風呂場の掃除や受け付けといった管理・運営は団地住民でつくる管理運営委員会で行い、水道やガスの料金などは420円の入浴料でまかなっていくという。

 浴場に通う和田キヌさん(80)は「バスだとお金が掛かるし、本当に不便だった。近くにお風呂ができるなんて夢のよう」とと話している。 (後藤 真)


◎「音だけで映画感じる」ユニバーサル上映祭閉幕

 【北斗】第7回北海道ユニバーサル上映映画祭(同映画祭実行委主催)の最終日は23日、北斗市総合文化センターで開かれ、映画上映のほか、中学、高校生によるワークショップが行われ、閉幕した。

 この日は「こどものそら(雪合戦)」のほか北大ショートフィルムとして「銀杏(いちょう)の樹(き)の下で」など4作品が上映され、合間にワークショップが行われた。  このうち、上磯中の生徒8人は、今回の上映会で障害のある人をサポートし、一緒に観賞した経験を発表。「もっと健常者と障害者が触れ合う機会があったら良い」「良い経験になった。ボランティアを求めている人がいたら、すぐに行きたい」などと話した。

 浜谷桜雪さん(3年)は「目をつむってスクリーンに向かったが、音だけで映画を感じることができ、視覚に障害のある人と同じことを考えることができた。今回の経験をクラスや、全校集会で発表し、広めたい」と話していた。 (山崎純一)