2012年9月25日 (火) 掲載

◎自民総裁選の4候補が函館で熱弁

 自民党総裁選(26日投開票)の候補者演説会が24日、函館市大手町の函館国際ホテルで行われた。町村信孝元官房長官(67)は体調不良で欠席し、石破茂前政調会長(55)、石原伸晃幹事長(55)、林芳正政調会長代理(51)、安倍晋三元首相(58)の順に演説し、経済政策や尖閣諸島、北方領土対策について語り、支持を訴えた。

 函館では初めて開かれ、約1800人が来場。4候補が15分ずつ演説した。

 石破氏は尖閣諸島問題に触れ「尖閣ですきを見せれば、必ず北方領土で付け込まれる。災害に適用する船を函館に配備することを考えていかなくては」と指摘。大間原発にも言及し「函館にとって極めて重要。国際海峡なので領海は3カイリしかない。安全と安心の概念は違い、何でもいいから動かせばいいという話ではない」と述べた。

 石原氏は「大事なのは道内各地域で仕事があること」と、農林水産業や観光産業の振興を重点的に行う考えを強調。南茅部地区の大船遺跡に関し「知床の次の世界遺産にすれば、大きなスポットとして海外からも人を呼べる」と力説した。社会保障・税一体改革をめぐる3党合意にも触れ「効率化と重点化が社会保障を守る道」と述べた。

 林氏は候補者中最年少の若さをアピールするとともに、「米国や中国、韓国との関係を改善し、平和と安定を守る中で初めて経済再生ができる」と強調。対ロシア外交に関してはシベリア地域での資源開発に日本の協力が必要とし、「ロシア側も日本を必要としており、(プーチン大統領を)引き寄せることが戦略的な外交だ」と話した。

 安倍氏は冒頭で、5年前の首相辞職を謝罪。日米関係の改善とともに、領土の維持に向けて「今こそ憲法改正に挑戦する時。集団的自衛権の行使を認めなければ」と言及した。加えて公共事業の必要性を強調し、「函館(の主要水産物)は何と言ってもイカ。新幹線ができれば関連産業ができる。このための公共投資は行うべき」と主張した。(千葉卓陽)



◎アース技研が放射能測定業務開始

 ビルメンテナンス業や環境分析を手掛ける「アース技研」(函館市赤川町、外山淳代表)が、道南の民間企業で初めて、食品などの放射能測定業務を始めた。函館工業高等専門学校(高専、岩熊敏夫校長)が導入した放射性物質の測定器を分析に使う。道南の企業や市民からの検査を受け入れ、食の安全安心への貢献を目指す。

 今月6日に開業した同社は外山さん(43)を含め社員3人。全員が函館高専出身で、前職である環境分析の経験や知識を生かす。福島第一原発事故を受け、社会的ニーズが高く、継続性もある業務として放射能測定に着目した。

 同高専は今年5月に測定器(スウェーデン製、500万円)を導入。企業や市民も利用できるが、「検体を高専に持ち込んでする検査は、敷居が高いと感じる市民も多いのでは。当社が市民と高専のつなぎ役になれれば」と外山さん。同社と高専は測定業務に協力することで合意した。

 検体の引き取りから分析、報告まで一貫した業務を安く提供するのが売り。平均20〜30分で測定でき、1日当たり10〜15検体を引き受けられる。検査料は1検体当たり1万5000円。メーンは食品で、土壌などにも対応する。

 外山さんは「自主検査により、道南の産業を守ることにつなげたい」と強調。業務内容の周知のため、道南のJAや漁協などを訪問している。

 道南には、渡島保健所に放射性物質検査機器が設置されているが、一般からの検査依頼は受けていない。11月末か12月初めに導入し年明けから利用を始める市立函館保健所の検査機器は一般利用が可能で、検査料は約2万円という。  問い合わせは同社電話0138-47-3511へ。(山崎大和)



◎函館市が韓国訪問延期、竹島問題などで

 海外からの観光客誘致に向け、函館市や市議会、経済界などのトップが10月に予定していた韓国への訪問を延期することが24日、分かった。島根県の竹島問題をめぐり日韓関係が悪化していることが要因で、市は「今は静観するしかない」としている。

 函館市などの韓国へのトップセールスは2002年から毎年欠かさず行っていて、延期や中止になるのは異例。今年は10月中旬に市や市議会、函館商工会議所のトップらが韓国・ソウル市内の航空会社や旅行会社などを訪問する予定だった。

 一方、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領の竹島上陸などで、日韓関係が悪化していることから、市は当面の訪韓見合わせを決定。8月に補正予算250万円で韓国の旅行代理店や報道機関の関係者を招いて実施した函館観光体験の推移を見守ることにした。

 市ブランド推進課は「政治的なしがらみの中で、今は声高にPRしづらい。様子を見てタイミングを探りたい」と話す。来年1月には台湾へのトップセールスも予定されているが、尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化もあり情勢は不透明で、同課は「今後は東南アジアへのシフトも検討課題」としている。(森健太郎)


◎JRに「北斗函館」要望、新駅名で北斗市長ら

 【札幌】北斗市の高谷寿峰市長、池田達雄市議会議長らは24日、札幌市のJR北海道本社を訪れ、北海道新幹線新函館駅(仮称)の名称を「北斗函館駅」とするよう要望した。

 要望活動には高谷市長らのほか、北海道新幹線建設促進・地域振興調査特別委員会(水上務委員長)の委員8人、北斗市商工会の宮崎高志会長、市観光協会の佐々木博史会長が出席。同社の菅野光洋常務取締役・新幹線計画部長らが応対した。

 要望書は市長と議長の連名で、「北斗」の名称を入れることを望む声が市民からも多く、市議会においても所在地が明確となる要望名称を決議したと経過を記載。「全国の新幹線駅名でも、所在地以外の市町村名を付した駅が1カ所しかなく、2つの市町村名を付した駅名でも、ほとんどは最初に所在地名が付されている」とし、「北斗函館駅」での決定を求めた。

 さらに、新幹線開業を最大限に周知し、開業効果を波及させるため、早期の駅名決定が必要と求めた。

 応対した菅野取締役は「地元の意向は分かりました」と述べた。

 高谷市長らは、同社訪問の後、鉄道建設・運輸施設整備支援機構北海道新幹線建設局を訪問し、JRへの要望内容を報告した。(今井正一)