2012年9月26日 (水) 掲載

◎上ノ国で風力発電着工

 【上ノ国】電源開発が100%出資する「ジェイウインド」(東京、林田博社長)は25日、上ノ国町夷王山(標高159メートル)で手掛ける、国内最大級の風力発電事業の着工式を行った。風車12基(出力計2万8000キロワット)で、2014年3月の営業運転開始を目指す。

 建設場所は夷王山の八幡牧野内で、発電所名が「上ノ国ウインドファーム」。風車1基の最高地点は127.5メートル。2005年から各種調査が始まり、総事業費は90億円台という。

 着工式では関係者50人が神事に臨み、工藤昇町長は「自然再生エネルギーが見直されているときに、まさに追い風であり、一日でも早く北海道と国内へ電力が送られることを期待したい」と祝辞を述べた。

 工事は約1年かけて基礎作り、新年度に風車の部品組み立てなどの予定で、各地からの海上輸送で江差港を活用する。同社が手掛ける風力発電事業は、上ノ国町を含めて国内20地点となり、完成すると総出力が40万860`hになる見込み。 (田中陽介)



◎谷地頭温泉売却へ 市内業者に候補決定

 民営化に向け、函館市企業局が公募していた市営谷地頭温泉(谷地頭町)の売却先候補者が、市内で公衆浴場を運営する「ケーケーエム」(昭和2、金沢桃一社長)に決まった。今後、年内に正式契約し、来年3月に施設を譲渡する予定で、2年越しで売却が実現する見通しとなった。

 売却先の公募は、名乗りを上げる民間事業者が現れず、空振りに終わった昨年度に続き2回目。本年度は土地、建物の最低売却価格を3億1350万円(税抜き)と、前回より約4割・2億円引き下げ、公募条件も一部緩和していた。

 ケーケーエムは、市内で冠婚葬祭業を展開する函館平安システム(海岸町)のグループ会社。2002年開業の昭和温泉(昭和2)と、06年開業の山の手温泉(山の手3)を運営していて、温泉施設は今回が3カ所目となる。提案見積額は3億3350万円。

 同局温泉課によると、7月上旬の企画提案の公募段階では、市内外の3社から申し込みがあったが、5日の学識経験者らによる選定委員会には2社が参加。同社については「安定的かつ継続して公衆浴場経営を行うことが期待できる」として評価点が最も高かった。決定は20日付。

 同社の金沢俊司取締役は「市民に長く愛され、お湯も特徴的な温泉。できる範囲で時代に合わせて伝統を受け継ぎ、これまでと変わらず市民の健康と憩いの場にしたい」と語り、今後、施設内への飲食スペースの開設なども検討する考えを示した。

 同温泉は1953年に開設。近年は施設を改築したピーク時の98年の半分近くまで利用者が減少し、99年から赤字が続いていた。同課は「価格の引き下げは売却の大きな弾みとなった。市民や観光客のために末長く施設を運営してほしい」と話し、民間の経営手腕に期待を寄せる。

 今後は10月に仮契約し、市議会で関連条例の改正が可決されれば、12月にも本契約を結び、来年3月末に施設を引き渡す予定。 (森健太郎)



◎未来大の和田教授ら操業日誌<Aプリ開発

 公立はこだて未来大(中島秀之学長)の和田雅昭教授(41)=海洋情報学=らが、ホタテ漁に役立つ「iPad(多機能携帯端末)」向けのアプリケーションを開発した。ホタテ版のデジタル操業日誌≠ナ、現在販売するためのアプリの審査中。発売されれば同大のiPadアプリとしては製品化第二弾となる。

 和田教授はiPadを活用した研究で、留萌沖で捕れるナマコの資源管理に成果を上げてきた。留萌のナマコとオホーツク管内のホタテが同じ桁曳(けたび)き網漁のため、ホタテ漁への応用を考案した。

 雄武漁協(雄武町)の協力を受け、今年6月から研究に着手。ナマコ版を改良して開発したアプリは、投網や揚網の時間、ホタテや天敵ヒトデの資源状況をiPadの画面上に表示。これによりヒトデを低コストで効率的に駆除でき、ホタテの漁獲量が増加するという。

 審査が通れば、製品は米アップル社のアプリ販売サイト「App store」で取り扱う。価格は1万500円。

 和田教授は「まずは漁協の数隻で試験導入し、結果を残した上で全隻に導入できれば」と話している。(山崎大和)


◎大間原発無期限凍結を 函館市議会が決議可決

 函館市議会第3回定例会は25日、本会議を再開。大間原子力発電所(青森県大間町)の無期限凍結を政府などに求める決議を全会一致で可決した。本年度一般会計補正予算を原案通り可決、昨年度各会計決算15件を認定し、閉会した。

 決議は枝野幸男経産相、藤村修官房長官の建設容認発言に関し「工事再開と稼働は2030年代に原発ゼロを目指す政府方針と矛盾し、国民の期待を裏切る」と指摘。「建設推進は道南地域の意向を一切斟酌(しんしゃく)することがなく、断じて受け入れられない」と政府の対応を強く批判するとともに、「福島と同様の事故が起きれば、原発との間に遮蔽(しゃへい)物もなく、道南の住民の生命は危険にさらされる」としている。

 採決では市民クラブの1人が退席した以外、全会一致で可決。工藤寿樹市長は「原発凍結に向けて、全力で行動したい」と述べた。

 一般会計補正予算は歳入歳出に3億9293万円を増額し、総額を1267億1756万円とした。JR函館駅前・大門地区全体のデザインをプロポーザル(提案型)方式で公募する関係経費や、1日からの不活化ポリオワクチン導入に伴う関係経費、市民からの寄付で創設する観光振興基金積立金などを計上した。

 人事案件では教育委員に橋田恭一氏(71)、佐藤敬一氏(58)の任命に同意したほか、固定資産評価審査委員1人の選任、人権擁護委員候補者5人の推薦を決めた。

 また北海道新幹線新函館駅(仮称)開業に関する調査特別委員会を設置。委員長に出村勝彦氏(市政クラブ)、副委員長に日角邦夫氏(民主・市民ネット)を互選した。 (千葉卓陽)


◎児童ら入賞者20人表彰 明るい選挙啓発ポスター

 函館市選挙管理委員会(児玉明委員長)が主催した、本年度の「明るい選挙啓発ポスター」の入賞者表彰式が25日、市役所で行われた。小学校、中学校の各部で優秀3人、佳作7人の計20人に児玉委員長が賞状を手渡した。

 将来有権者となる児童・生徒に選挙への関心を持ってもらう目的で毎年実施している。本年度は小学校10校、中学校9校から302点が寄せられ、どのポスターも「あなたの一票が未来へつながる」などの標語を交え、選挙の大切さを呼び掛けている。

 優秀作6点はカレンダーとして11月下旬から配布するほか、来年1月中旬からは全作品をテーオーデパート(梁川町)、市役所1階市民ホールで掲示する。

 入賞者は次の通り。(敬称略)

 【小学校の部】▽優秀=金井凛(あさひ4年)藤島楓(東6年)高橋奏(中の沢6年)▽佳作=窪田頼人(昭和1年)梨木夢叶(あさひ4年)遠藤鈴奈(同4年)番匠ひな(同4年)森遥菜(北美原5年)田島由唯(柏野6年)三上世玲菜(中の沢6年)

 【中学校の部】▽優秀=横内里帆(本通1年)早坂南(港3年)坂口礼奈(的場3年)▽佳作=佐藤桃子(港1年)渡辺綾乃(本通1年)菊池真央(附属1年)山本早弥乃(光成2年)楠部有沙(桐花2年)長谷川沙絵(港3年)原七海(戸倉3年)  (千葉卓陽)