2012年9月27日 (木) 掲載

◎函館初の見本市 野菜新品種ずらり

 新品種や道南での栽培に適した野菜を一堂に集めて紹介する「第140回品種見本市」が26日、市青果物地方卸売市場(西桔梗町)で初めて開かれた。種苗会社の担当者が地元の生産者や卸売業者らに各品目の特徴を説明し、道南野菜の可能性を探った。

 全国の種苗会社や卸売市場でつくる青果育種研究会(東京)の主催で、道内では2008年の札幌開催に次ぎ2回目。全国の種苗メーカー14社が計61品目を出展し、地元の農家や農協、農政関係者ら約300人が来場した。

 会場にはネギやトマト、ニンジン、トウモロコシなど各社自慢の新品種が並び、担当者が食味や栽培方法などをPR。来場者は試食しながら生産が道南の気候に適しているかや、収穫の量、時期などを熱心に質問していた。

 参加した新函館農協生産資材課の川股智明さんは「珍しいブロッコリーなど新品種も一度に見ることができ、参考になった。函館での生産や普及拡大に期待したい」と話していた。会場では東京青果の宮本修専務による「道南野菜への期待」と題した基調講演もあった。(森健太郎)



◎出番そろそろ まきストーブ

 朝晩の冷え込みが始まる中、函館市新川町28の「大和金属」(高岸良明社長)でまきストーブの製造、出荷が本格化し、職人が連日、鉄板の加工、組み立てに汗を流している。

 同社は1950年ごろ創業。厚さ0・6ミリの鉄板を加工し、高さ36センチ、長さ63センチの主力商品「玉子型」をはじめ、「角型」「時計型」などを手掛ける。生産台数は毎年2万1000台で推移。本道と東北各地に出荷し、農家や漁師らに利用されている。 工場では職人7人が「カンカンカン」と金づちの音を響かせながらストーブの出来を確認。朝から夕方までで一日約150台製造するという。

 高岸昌寛専務(36)によると、例年は8月中旬から注文が相次ぐが、今年は「異常気象」の影響で1カ月ほど遅れたという。売り上げは前年同期から約20%減少し、「今時期から忙しくなる年は初めて」と高岸専務。10月がピークになりそうという。

 「玉子型」(大)は3980円。函館市内のホームセンターで販売中だ。(長内 健)



◎自民新総裁に安倍氏 道南各党 反応さまざま

 自民党総裁選は26日、安倍晋三元首相(58)が国会議員の決選投票で石破茂前政調会長(55)を逆転し、新総裁に選ばれた。野田佳彦首相が再選された民主党代表選と合わせて次期衆院選の“顔”がそろい、道8区(渡島・桧山管内)の政党も、衆院選への準備を加速させている。

 自民党道連は道5区選出の町村信孝元官房長官(67)を支持、前田一男道8区支部長も党員として町村氏に投票した。前田氏は「町村氏は残念だったが、安倍氏には10年来指導いただいており心強い。決まった以上一つにまとまり、総選挙で政権奪還を目指す」と意気込んだ。決選投票で石破氏を逆転した結果に対しては「有権者の負託を受けての国会議員票には重みがある」と理解を示した。

 公明党函館総支部の茂木修支部長は「一度首相を経験した点が評価されたのでは。自公連立政権時の首相でもあり、関係は変わらないと思う」と好意的。「社会保障・税一体改革の3党合意を再度確認した上で、早いうちに信を問う共通認識に立つべき」と求めた。

 一方、民主党道8区総支部の道畑克雄幹事長は、立候補した5氏の政策に大きな相違点が見られないと指摘するとともに、「平和や原発などの問題で、今後国民の期待に応えられる政策が発信できるか大いに疑問」と、脱原発依存を掲げる民主党の政策との違いに言及。安倍氏については「一度は政権を投げ出し、健康状態にも懸念が残る」とした。

 共産党函館地区委員会の高橋佳大委員長は「安倍氏は憲法改正を認めているため、日本の平和と民主主義が揺らぐ恐れがある」と語る。政策面でも「原発ゼロを推進していない上、消費増税にもまっしぐらな姿勢。懸念材料が多い」と話した。


◎震災がれき 道南は処理なしの公算大

 震災がれきのうち、岩手県内の漁具・漁網(不燃物)の自発的な受け入れを表明している南部桧山衛生処理組合(江差町、上ノ国町など5町)が、受け入れ中止の方向で調整を進めていることが26日、道などへの取材で分かった。既に渡島西部広域事務組合(木古内町、知内町など4町)は受け入れないことを道に通知。搬入中止となった可燃物と木くずを含め、道南での全てのがれき処理が不要となる公算が強まった。

 環境省は、同県の漁具・漁網8万トンの処理見通しが立っていないとし、道に市町村などとの受け入れ調整を要請。道は8月、前向きな渡島西部、南部桧山のほか、稚内市、日高管内浦河町、胆振管内白老町の5団体・市町に職員を派遣、現状を説明した。

 道によると、南部桧山は受け入れの可否について、まだ態度を明らかにしていない。ただ、受け皿と想定する民間業者の最終処分場の種類が「安定型」で、受け入れ可能な5品目(廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラス・コンクリート・陶磁器くず、がれき類)に、漁具・漁網が該当しない。道は「現地には南部桧山の処分場で賄えるものはなく、受け入れは難しいとの認識だ。(道南に漁具・漁網が搬入される)可能性は低い」(環境生活部)という。

 渡島西部は今月18日の定例会で、困難との意向を表明。24日付の文書で道に伝えた。放射性物質への不安が払拭(ふっしょく)し切れないことや、付着物を取り除き裁断する作業が必要なことも加味した。(山崎大和)


◎接客姿勢、人間力が大切…帯広「北の屋台村」運営・久保さんが講演

 新都心五稜郭協議会(小笠原勇人会長)の9月例会と講演会が26日夜、マリエール函館(梁川町)で開かれた。講演会で帯広市の「北の屋台村」を運営する北の起業広場協同組合の久保裕史専務理事が「屋台村のマーケティングとマネジメント」と題し、人気の秘けつを語った。

 同協議会は本町・五稜郭地区の活性化に向け、まちづくり会社を設立。本町に屋台村をイメージしたフードコート「Gサイト」の開設を目指している。年間16万人が訪れる「北の屋台村」を学ぶため、久保さんを講師に迎えた。

 久保さんは屋台によるまちづくりを掲げ、2001年に帯広市の中心街に全国で初めて屋台村をオープンさせた。「当初は誰からも失敗すると言われたが、周辺に飲食店が増えたり、客が流れていったりするなどの効果があった。10年が経過し地域は変わっていった。まだまだ成長の途中」と紹介。

 また、「20店が軒を並べているが、屋台村は一つのチーム。自分だけ儲かればいいと思っている店主がいれば、全体をダメにする」と指摘。さらに「食事がおいしいだけでは客は満足しない。また来たいと思ってもらうためには、店主の笑顔や接客姿勢、人間力が大切」と強調した。(松宮一郎)