2012年9月29日 (土) 掲載

◎千軒そば収穫ピーク 福島で手間ひまかけ自然乾燥

 【福島】町特産「千軒そば」の収穫作業がピークを迎えている。ソバは2003年に閉校した旧千軒小学校の体育館に運ばれ、福島町千軒地区の農家などでつくる「千軒そば生産会」(佐藤孝男会長)の手によって、全国的には珍しい自然乾燥が行われている。ゆっくりと風を送り続けることで“うま味”が凝縮されたそばが出来上がる。

 収穫は28日から始まり、9月上旬に松前神楽が奏上された約4fの畑は終了。29日以降にほか2カ所計約1fの作業を進める。同会では10年以上にわたってソバづくりに尽力。今年11月で7年目となる体育館近く国道228沿いのそば店「千軒そば」(同会経営)も併設され、収穫から販売までを一手に担っている。

 自然乾燥は4段の特製台(縦2b×横1・8b×長さ10b)4台に収穫したソバを均一に並べ、送風機で24時間風を送りながら水分量が13〜14%になるまで3週間から1カ月ほど乾かす。その間は副会長の笹島義広さんが中心となり、1日に数回、特製の用具で均一に風が当たるようにソバを返す作業をする。笹島さんは「手間ひまは掛かるが機械による大量生産品には出来ない豊かな香りとうまみが自慢」と仕事に精を出す。

 佐藤会長も「今年はシカの害もなく生育は順調だった」と話している。新そばは10月下旬ごろから、同店のメニューに並ぶという。(小杉貴洋)



◎電源開発、大間原発建設再開方針 函館市長、差し止め訴訟も

 電源開発(東京)が青森県大間町で工事が中断している大間原発の建設を年内にも再開する方針を固めたことを受け、函館市の工藤寿樹市長は28日、市役所で緊急記者会見し、工事が再開されれば市が原告として差し止めを求める訴訟に踏み切る考えを明らかにした。10月1日には同社役員が市に説明に訪れる予定で、対岸の市として徹底抗戦の構えだ。

 「極めて遺憾なんてものではなく、とんでもない話。国民的な理解も得られない」。会見で工藤市長は、先の政府の建設再開容認に続き、事業者も矢継ぎ早に建設再開に前のめりな姿勢を見せることに対し、猛烈な不快感を示した。

 昨年の福島第一原発事故後、建設中の原発の工事が再開されるのは初めてのケースとなるため、工藤市長は「ずるずると新増設につながる恐れがあり、2030年代原発ゼロがなし崩しになる」と反発。今後、政権交代もはらむ中央情勢に「既成事実をつくろうと焦っている」と非難した。

 市総務部によると、28日に同社常務らが10月1日午後にも市役所を訪れ、工事に関する説明をしたい旨の連絡があり、工藤市長は「一緒に行動してきた北斗、七飯の首長や議長、経済界も一緒に対応したい」と述べ、透明性を確保するため、報道陣に公開で会談したい意向を示した。

 また、工藤市長は会見前、大間原発訴訟差し止め訴訟の原告弁護団共同代表の河合弘之弁護士と面談し、市が原告となって提訴する可能性を協議。工藤市長は「全国で同じ思いの弁護士に結集してもらいたい。準備経費は市が持つが、国民から寄付を募ることも検討中」と語った。

 近く実施する政府への抗議については、渡島管内全11市町、議会、経済界などと意思統一ができたことを明かし、道への説明や協力要請は10月4日、経済産業省や電源開発本社への上京は同15日の方向で調整している。道へは3市町の首長や議長、商工団体の代表らが、政府にはさらに農漁協団体のトップらが赴く予定。 (森健太郎)



◎大間再開 怒り頂点に 原告訴訟団、1日に現地で抗議集会

 「無謀だ」「非常識極まりない」—。28日の大間原発の工事再開方針を受け、建設差し止め訴訟の原告団からは函館側の同意を得ずに建設継続を決めた電源開発への怒りが渦巻き、反対運動をしても一向に声が届く気配がない現状にいら立ちを募らせた。原告らは10月1日、同社幹部が大間町など地元3町村に説明へ出向く際に、現地で抗議行動をする予定だ。

 口頭弁論後、函館弁護士会館で開かれた報告集会には約50人が参加。再開方針の報を受け、参加者の表情には落胆と焦燥感がにじんだ。

 会場からは「官邸周辺デモなど全国で脱原発の声が高まっているのに、再開はとんでもない」「工事が止まったことで安心感が出て、市民の関心が著しく低下したと感じる。大間の危険性を伝えてもっと大きなうねりにしなければ」「市長が怒っているのなら、早く行動を取るよう働き掛けを」などの声が上がった。「経産相や官房長官の容認発言が、電源開発を強気にさせた。政府に最大の責任がある」との声も。

 同原発敷地内の「あさこはうす」を守る小笠原厚子さん(57)=北斗市在住=は「私有地があるのに原子炉設置許可を出し、建設を進めるのは異常なこと。再開後どんな圧力を受けようとも、土地を守り続ける」と強調した。

 大間原発訴訟の会の竹田とし子代表(63)は「原子力規制委員会は来年3月に安全基準を見直すと言っている。安全審査を受ける前の再開はあり得ない。市民、われわれの声も全然届いていない。抗議のやり方を考えないと」と話した。

 同会は集会で、12月17日に函館地裁に第3次提訴する方針を明らかにし、1、2次合わせて原告団の規模を500人超とする。(山崎大和)


◎JR北海道、函館駅北口にホテル建設計画

 JR北海道がJR函館駅北口にビジネスホテルの建設を計画していることが分かった。客室数は250室規模で、北海道新幹線が開業する2015年度の開業を目指している。同社では「建設の可否、今後のスケジュールなどについて検討段階」と話している。

 子会社のJR北海道ホテルズが運営しているビジネスホテル「JRイン」の形態で計画している。階数は未定。JRインは、札幌市と帯広市のそれぞれ駅近くにあり、函館で3軒目になる。

 建設予定地は、JR北海道の所有地で面積は2000平方b。駅北口に面しており、現在は月決め駐車場として使用している。

 駅前や付近には客室が200室を超えるホテルが数軒あり、JRがホテル建設に乗り出せばさらなる競争の激化は避けられない。函館商工会議所の松本栄一会頭は「駅前の活性化、さらには新幹線時代に向け、交流人口のボリュームアップにつながる」と歓迎。一方で「同業にとってはより一層厳しい競争が続いていくだろう」と話した。(松宮一郎)


◎ANAのホームページに函館特設サイト

 全日空(ANA)は28日、函館や道南地区への誘客を図るため、同社のホームページ内に特設サイトをオープンさせた。函館の観光、イベント、食の魅力を紹介しているほか、航空券やホテルの予約までできる利便性の高いサイトだ。同社函館支店では「函館の情報を全国に発信し、多くの観光客を道南に呼び込みたい」と話している。

 サイトの名称は「きらめく函館〜世界を魅了した夜景をあなたに」。函館市が首都圏などからの観光需要を掘り起こすため、宣伝経費として補助金を投入した。

 美しい写真と豊富な情報で函館の魅力を伝えているのが特徴。コンテンツも充実しており、季節の情報を紹介する「四季の函館」、食材にスポットを当てた「道南グルメ旅」などのコーナーが並ぶ。「今、きらめく函館」と題したコーナーでは、見晴町の香雪園で10月20日から始まる「MOMI—Gフェスタ」を紹介。冬に向けてクリスマスファンタジーを掲載するなど情報を常時更新する。

 情報発信だけではなく、誘客に結びつけるため、見やすい場所に航空券やパッケージツアー、ホテルの予約ができるように工夫。そのほか、10月1日からはウェブ利用者のコメントを口コミ情報として掲載する予定。

 アドレスは、http://www.ana.co.jp/domtour/area/hokkaido/promo_hakodate/(松宮一郎)